繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

「クルマが売れない」を再考する。

2015-11-23 14:09:06 | 日記
クルマは新車で買った時の価格から、経年による価格落ちが大きいというのは、多分公知の事実となっていると思います。

先週の日刊自動車新聞の私の連載記事(11/17火曜日より毎週)にも「クルマが売れない」というお題でその理由を大きく幾つかあげましたが、今回の「経年による価格落ち」については書いていませんので、ここで書いてみたいと思います。

新車と中古車になった時の価格で価格落ちを一概に言うのは、ご存知のように、当然そのクルマ毎に程度は異なりますから難しいです。
しかしながら、カーセンサーネットで大ざっぱに調べてみました。
車種は流行り廃りがあっても中古車価格に影響しますので、比較的おちついていると思える「クラウン」を例題にしたいと思います。勿論ハイブリッドモデルじゃないもので。
ホントに大ざっぱですが・・・しつこい!!???

2.0アスリートS-T 新車価格 450万円。
それにナビとドアバイザーを付けて、 4,740,840円。
税金・諸費用が、 290,067円
合計 5,030,907円

ざっと、2.0アスリートS-T を新車で取得するのに500万円必要と言うことになります。
それが、中古車になって、
1年後 約370万
3年後 約300万
5年後 約230万~260万円
7年後 約160万~200万円
10年後 約130万未満
だいたいですが、こういう価格での販売になります。
ということは、ユーザーからみて売る時の価格はおおまかに70%前後では無いかと思われますが、多めの80%としても、
1年後 約370万×80%≒300万円
3年後 約300万×80%≒240万円
5年後 約230万~260万円×80%≒180万~210万円
7年後 約160万~200万円×80%≒130万~160万円
10年後 約130万未満≒100万円未満

今時、保有期間は伸びて平均10年になろうとしています。そんな中、10年経っても特にクラウンなら故障も殆ど無くまだまだ走れる状態と想像します。
つまり、10年10万キロなんて、今の車にとればへっちゃらでOKと思います。
なのに、約500万で買ったクルマが10年で100万未満となるのです。年間約40万円の償却?です。
これが、3年で打った場合は、(500-240)÷3≒87万
年間約87万円の償却?です。

この下がり率は誰がみたって大きいですよね。
だから、買う前にこれだけ償却することを覚悟しなきゃいけなくて、一旦買ったら長く乗る傾向になるのは容易に理解できます。

こうやって計算してきた中で、機能がなく情緒しかないので、クルマとは全く比較にはなりませんが、たとえば「ダイヤ」そう「ダイヤの指輪やイヤリングなど」と無理やり比べて見たいと思います。
これらは、確かに一旦買うと指輪等はサイズもあり、当然売るとしたら価格は大幅に下がりますが、ある一定以上は下がりません。10年でも20年でもはたまた、孫子の世代まで手入れがよければ、受け継ぐ事ができます。
その間、当然、持って身につけて楽しめます。(車検や毎年の税金はありません、笑)
機能はありませんが、まぁ一言で言うと自分の価値観で情緒的に楽しめ、周りの人達への自慢?にもつながります。
たとえば婚約指輪で憧れの1カラット位を見ますと、カルティエでは200万円台~で買えます。さらに高級店のハリーウインストンでは300万台~で買えます。
これらはいずれにしても超有名高級ブランドで、何年たっても欲しいという人は絶えません。

カルティエ 

ハリーウインストン

こうやって考えてくると、確かにクルマには機能がありますがその機能も日本のインフラでは十分発揮できていません。
(詳しくは、日刊自動車新聞連載記事、11/17火曜日「クルマが売れない」に書きました)
全体的に道路は狭く、高速道路は高価な有料で、一般国道も信号が多く、混合交通で事故リスクもあり・・・。

私は日本で、クルマ社会・文化など今の状態からもっと発展させたいと思っていますが、この日本では「これでもクルマに乗るか !」的な感じがします。
その一方で、国の基幹産業と位置づけられています。

そんな中、カーメーカーは日本国内より、アメリカやアジアなど外国での商売に眼がいっているように思います。
当然、収益源だからです。
近々のロスのモーターショーにも日本のカーメーカーは東京モーターショーより多くの新型車を発表投入しているようです。

このように資本主義ですから、自然とお金のある方へ流れるのですが、それだけでは当然まずくて、各国で産業をどうするかはお国の意思=政策である程度コントロールしていくものではないでしょうか。
今のままでは、日本のクルマの販売台数は益々下がっていくのではないかと危惧しています。