繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

EVのニュースに関して

2015-12-28 14:17:28 | 日記
今日も、EVの記事をどこかのWebサイトで見ました。
「航続距離が伸びる」というものでした。

EVを航続距離だけで語るのは「ユーザーに誤解を与える」と私は思っています。
カーメーカーやジャーナリスト?の多くの方も「航続距離」で語ります。

ユーザーが実感する、内燃機関のクルマに対するEVの最大のマイナスポイントは確かに航続距離ですが、本来ユーザーにとっては、その初期の航続距離が経年変化でどれくらいキープされるのか?というような事も大切な事のはずです。
また、カーメーカーの保証はどうなのか? 
「200kmの航続距離」等とカーメーカーから公表されても、それがどんな条件でそうなのか?ということは公表されません。

一方、プラス面で言うと、EVの場合「回生エネルギー」をとりますから、それをうまく使った走行が出来るスキルのドライバーであれば、航続距離は伸びます。山坂のある地域をうまく走ると意外なほどバッテリーメーターは下がりません。
また、「急速充電」はバッテリーに良くありませんから、それを繰り返したEV車のバッテリーの劣化は大きいと思います。
(毎日、早食いでお腹いっぱい食べていたら、胃を壊しかねませんよね)
また、極寒冷地ではバッテリーの働きは鈍くなります。(人間も寒いと縮こまりますよね)
この他にも様々ありますが、バッテリーには様々な意味で「人間っぽい」? 部分があるのではないでしょうか?
つまり、一言でその性格を言い難いし、使い方でその働きは変わるのです。

カーメーカーはユーザーにアピールしやすいように、わかりやすいようにと「航続距離」で言いますが、その事自体は良いのですが、「使い方で変わる」というある意味「リスク」のようなものもキッチリと公表した方が、ユーザー理解も深まりかえってEVが普及する要素となると私は思っています。

あと、「EVは環境車」というのは間違いではありません。
走行時はCO2 を確かに出しません。
しかし、CO2を語るなら「エネルギー観点」が必要になります。つまり、「EVの充電に使うエネルギー」はどこからきているのか?
 2012年時点のエネルギー供給元は、LNGが42.5%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で、88.4%。
火力発電の割合は2009年当時では61.7%。現在、火力発電依存は増加しています。これはご存知のように原子力発電所の稼働停止があるからです。
原発稼働が少なくなった日本では、以前より「CO2を多く出して発電」しています。
ただ、それでもEVはガソリンや軽油を燃やしてクルマが走るよりかはマシかもしれませんが(本当のところは公表がなく、よくわかりません。)、いずれにしてもEVが走る為の電力は全体からすればほんの僅かですが、その電力を作るのにCO2が排出されています。

このように見てくると、EVを航続距離だけでユーザーに訴えるよりは、その環境車という構図が分かりにくくても、ハードが分かりにくくても、ユーザーに少しずつでもキチンと訴える責任があると思いますし、また長い目でみればその方がユーザーにとっても作り手にとっても国にとっても「有益」なのではないでしょうか。