春の雨にありけるものを立ち隠り妹が家道にこの日暮らしつ(万葉集巻10。作者未詳)
「春雨に」とすれば5音となるところで、同時代の短歌に5音の例も多いのに、上記では原文を見ても意図的に6音としている。1首全体のバランス上歯擦音を嫌ったのだろう。
現代では、伝統詩型のうち短歌というジャンルだけが細々と生き残り、ちょっと意固地になっているので、字余りは仲間はずれにされがちな風潮があるが、1首が5句で構成されている場合には音数は、実はさほど問題とはならない。
上記の歌においては、単に調子を整えているだけだが、字余りにすることにより意味若しくはニュアンスを付加することも、短歌の資格の傷とはならない。
長編の夢を見ている東大の理科系学部に合格したり(短歌人2016年2月号。椎名夕声)
「理系」とすれば7音となるが、東京大学では昔からずっと「理科2類」などと称しており、表現上リアル度が違う。そもそもが、理系文系の2区分は日本だけのものだという。
この夢は、すごくリアルな夢で、予想問題が的中し、満点疑い無しと高揚。しかしこれから何年も大学に通い、専門職に就くのも大儀だと、夢のなかで思ったことであった。
専門家というものは、大きな責任を負うということも知ってしまった。
福島の原発事故が、将来どのように認識されるのか心配だ。単に想定が甘かったとか、軽い過失的に認識されたら、被害者ははらわた煮えくり返るだろう。津波が防護壁を越えたことだけが言われるようでは、ポイントを外してしまう。電源装置の設置場所が低かったというのが事故原因であり、馬鹿げたことだった。事業者と許可者と、誰も異議を唱えなかった。多数の意見を入れたところで、結局責任者は不在だったのだろう。法的には社長が責任者だが、シロートだろう。もちろん、シロートだからといって責任が軽くなることは無いが、本当の責任者は誰なんだ。専門家の中に責任者はいる。
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