湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

高本公夫と風花良その1

2010年10月08日 | 詩歌・歳時記
秋競馬が始まった。
このブログを書くようになって、また「趣味人倶楽部」と言うところで、
詩歌を発表するようになってから、一時の熱は冷めつつあるのだが、
されど競馬である。

最初は純情ないちファンであった。
東京競馬場で、或いは後楽園の場外馬券売り場で、一喜一憂していた訳だ。
            
ある日、高本公夫という人の著書を読んでから、競馬への考えが180度転回したのだった。
「馬と話ができる男」。そんなタイトルだった。
競馬はレースの前から、結果は解っている、
ロマンなどとは程遠い演出された、経済的なものだ。
それが主張の根本だ。あらゆる事象、方向から力説する文章に、納得させられたのであった。

出走表に総てが込められている。
年間に一勝もできない騎手や、調教師もいるのだ。けれど、皆さんいい暮らしをしていると。
また、選挙のある年の大レースでは、波乱が続くと。
目から鱗だった。
それを称して「サイン読み競馬」「暗号馬券」と言う。
早速実践。「欅特別レース」。
モリノチェーンソーという名の馬がいた。
欅にピッタリ。試しに単勝買って見た。
一着だった。
                              
先週の中山競馬、スプリンターズSもサイン馬券が炸裂した。
同じ日の夜、フランスでは「凱旋門賞」の大レースがあり、2頭の日本馬が出走する。
ナカヤマフェスタ・ぜっけん7番だった。
阪神競馬場では、メーンレースのスタート直前、7番の馬が放馬した。
ピンっときた。これがサインでなくてなんとする。
即ち、7番の単勝を2千円、発売締め切り間際、追加で購入。
香港の「ウルトラファンタジー」ゼッケン7番見事逃げ切り勝ち。
配当金29.3倍だった。5万8千円の収入。

高本さんは先年亡くなった訳だが、その後、風花良という青年が颯爽と登場。
脳ミソの替わりにコンピューターが入っているような切れる男だ。
高本さんが昭和のアナログ馬券師ならば、
彼は平成のディジタル競馬紳士とでも謂えよう。

映画の子守唄 「青年編」

2010年10月04日 | 詩歌・歳時記
高校は彦根市郊外にあった。
朝は汽車と電車を乗り継いで、登校した訳だが、
帰りは親友とふたり、彦根駅までゆっくりと歩いたものだ。

芹川の堤を進み、やがて道は「七曲り」と呼ばれる一角へと入る。
やたら曲がり角が続く。
両側はびっしりと仏壇屋が並び建つ。いわゆる「彦根仏壇」の産地の中心地だ。
指呼の間に、天守閣が望める。だが、なかなかに辿り着けぬ。
これは城下町の縄張りの設計の鉄則だ。敵の攻撃に対する防御の一戦略である。
                         
もう一度芹川に架かった橋を渡ったところが、当時の繁華街、銀座だ。
今はご多分にもれずシャッター通りだが。映画館が三つあった。
親友は「眠狂四郎」「座頭市」のファンであった。
雷蔵の冷徹な様式美。円月殺法のゾクッとくる刀身の回転の輝き、緊張感にあふれていた。
また、勝新の人間味に満ちた、それでいて目にも止まらぬ早業のリアリティー。
「破れ唐人剣」は忘れられない一作だ。

いわゆる「青春歌謡映画」が華やかなりし頃。勿論、お目当ては西郷さん。
「涙をありがとう」「この虹の消える時にも」……。一度に二回観たものだった。
その度に胸をよぎるのは、「早く東京へ帰らねば」という思いだった。

曲がヒットすると、こぞって映画化だった。園マリ「逢いたくて逢いたくて」。渡哲也が主演。
「あんこ椿は恋の花」。香山美子がヒロイン。はる美ちゃんは妹役だったかな。

同級生に映画館主の息子がいた。ピンク映画専門館。
そっと、入れてくれた。胸ドキッもので、淫靡な期待に震えながら見た銀幕。
何か変。いきなり鳥の大群が襲ってくる。ヒッチコックの「鳥」だった。
急激にしぼむ高揚感と裏腹に、一気に引き込まれていった。
本格的に洋画に触れた、最初だった。