暖か味のあるものが好きです。
春になると、そんな雰囲気がいたるところから感じられ、
少しほっとしたりします。
最近、知り合いから教えてもらい、
CDを買った。
ヴィオラダガンバ奏者ソフィー・ワテヨンの最後のCD。
シンプソンの曲集が収められている。
彼女は、最近若くして亡くなった。
名前はよく聞いていたのだが、
去年行ったベルギーナミュール音楽祭の前年度のガンバ講師は彼女だったそうだ。
学生発表会である中国人のガンバ生徒が
大泣きしながら、大声で彼女にこの曲を捧げますと言って
マレかなんかの曲を演奏していたそうだ。
私はその時はレッスンを受講していて、
現場におらず、帰国してから、そんな事を色々聞いた。
CDの演奏は、一音目から暖かく、
彼女の人柄はどんなものなのかわかるような、
優しい音色だった。
いつもいつも頭を優しくなでてくれるような、
いつも慰めてくれるような、
そんなCDです。
CDの演奏と、私一人だけの、空間にしてくれる。
語りかけるような演奏だから
耳が自然と引き付けられるんだと思う。
ただただ、優しいだけでなく、
単純に幸せってだけでなく、
純粋に暖かいだけでなく、
人生の苦悩も、人の痛みも、
冬の凍える寒さも知って、
その上での暖かい慈愛に満ちた音。
本当は去年の講習会で彼女の音を間近で聴けたのかと思うと、
とても残念な気持ちになる。
そんな才能溢れる人の命を消してしまう神様に
どうして?と聞きたくなります。
彼女が残した解説の言葉もとても綺麗。
ジャケットの写真には、チョコレートをつまんでいる光景が。