日本は「神の国」か
侘輔 日本は神の国だという話を子供の時に聞いたはないかな。
呑助 元寇の時に神風が元の軍船を破壊し、日本は勝利したという話を聞かされたような気がします。
侘助 そうだよね。幕末の時にも英仏軍に日本は占領され植民地にされることはなかった。佐幕派も討幕派も英仏軍の力を借りて戦わなかった。その結果、日本は英仏に植民地にされずに済んだという話かな。
呑助 中国はアヘン戦争に敗れ、イギリスの植民地にされてしまったが日本は独立を維持した。それは幕末の志士たち、佐幕派も討幕派も優れた人間だったからだという話ですかね。
侘助 そうなんだ。日本人は中国人や朝鮮人より優れているんだという主張をする人が未だにいるようなんだ。
呑助 いや私もそんなふうに思っていますよ。なんかとても日本人であることに快さのようなものを感じますからね。
侘助 そうなんだ。元寇の時、元は軍船を支配下の朝鮮人船大工に軍船を作らせた。その軍船に蒙古軍兵士を乗せ、九州に攻めてきた。その時、たまたま台風シーズンだったため、元の軍船は台風に壊され、元軍は敗退した。朝鮮史の研究家旗田巍(たかし)は朝鮮人船大工は元の支配に敵意を持っていたため見た目は立派な軍船だったが、台風にはひとたまりもないようなガタガタの軍船をつくった。その結果、鎌倉幕府は難を逃れることができたと説明している。またなぜ元は台風シーズンに攻めてきたのかと言う点でも朝鮮人の協力なしには軍船を運行できなかった。出発時期、航路は朝鮮人の協力なしには日本に攻めてくることはできなかった。朝鮮人の反元軍に対する気持が鎌倉幕府を救ったことを証明している。神風は朝鮮人の元軍に対する非協力だったんだ。
呑助 へぇー、そうなんですか。日本人は朝鮮人に感謝しなくちゃなりませんね。
侘助 幕末の場合もね。1842年、清はアヘン戦争に敗北し、南京条約を結ぶ。その結果、大量のアヘンが中国に流入する。賠償金600万ドルの支払い、清の財政は逼迫する。このような状況下に太平天国を実現するという大農民反乱が1851年に起きる。南京が陥落し、太平天国軍の支配下にはいる。このような大農民反乱を英仏軍は清政府に協力し、鎮圧に乗り出す。この太平天国軍と戦うために英仏軍は日本にまで兵力を割くことができなかったんだ。徳川幕府側の佐幕派が討幕派と戦うために仏軍に協力を求めても仏軍は中国に軍隊は張り付いていただろうし、討幕派が英軍に助太刀を求めても協力したくともできない状況が英軍の中国における事情があった。
呑助 中国の大農民反乱が日本の植民地化を救ったというわけですか。
侘助 そうなんだ。幕末当時の日本人が聡明だったから日本は西欧諸国の植民地にならずに済んだというのは全く間違った歴史認識なんじゃないかと思う。中国民衆の反清・反英仏闘争が日本の植民地化を防いだというのが正しい歴史認識のようだ。
呑助 日本は神の国でもなければ、なんでもなく、東アジア民衆の力によって侵略されることのない国であったということなんですね。