ベルギー生ビール「ヒューガルデンホワイト」を楽しむ
侘輔 今日楽しむのはベルギービールの生を楽しむんだ。
呑助 ビールの本拠地というとドイツですよね。特にベルギービールというのはどんな特徴があるんですかね。
侘助 単に日本でベルギービールというと上面発酵のエールビールと自然発酵のランビックビールを指して言う場合が多いんだ。
呑助 上面発酵ビールとは何なのですか。
侘助 大麦の麦芽(モルト)の中には糖化酵素(アミラーゼ)があるんだ。このため麦のでんぷんが糖分に変えられる。この麦汁の中にビール酵母を入れると発酵が始まる。アルコールが生成され、ビールが生まれて来る。
この時、酵母が麦汁の上面に浮いてくるのでこのビールを上面発酵ビールと呼んでいるようだ。
呑助 エールというとイギリスの飲み物という感じがしますが、ベルギーにもあるんですね。
侘助 もともとビールには長い長い歴史があるんだ。その大半は上面発酵のビールが主流だった。メソポタミアからエジプトにかけての地域で上面発酵ビールが造られ、ローマ帝国の時代にビール製造の技術がヨーロッパ全域に広がった。その代表的なビールがエールビールなんだ。そのビールがイギリスで作られ続けてきたということかな。
呑助 ドイツはビールの本場というイメージがありますよね。
侘助 ドイツビールの本拠地というとどこだと思う。?そこはミュンヘンじゃないかな。ミュンヘンはバイエルンの首都、高地ドイツの中心地だ。この地域はシュバルツバルト、黒い森と言われている地域なんだ。その一つの町、ピルゼンで造られていたビールがラガービールの発祥地だといわれるようになった。ここは高
地なために気温が低い、発酵に時間がかかった。そのビールの酵母は発酵がほぼ終わると下面に落ちて来る。だからそのビールを下面発酵ビールというようになった。このビールの発見は十九世紀中ごろのことなんだ。それ以来、このタイプのビールが世界中に広がった。この冷やして飲むこのビールをピルスナーというようになった。ピルゼンで発見されたビールだからね。
呑助 今日楽しむベルギー生ビールはどちらのタイプのビールなんですか。
侘助 「ヒューガルデンホワイト」はピルスナータイプのビール、下面発酵のビールなんだ。だからベルギービールの特徴、自然発酵のランビックビールのようなタイプのビールじゃない。ランビックは実に酸っぱいビールで、慣れない人には美味しいなんてとても言えないビールかな。
呑助 ヒューガルデンとは、何ですか。
侘助 村の名前のようだよ。この村にある醸造所というようなことなのかな。
呑助 日本のビールも大半がピルスナータイプのラガービールなんでしよう。
侘助 下面発酵のピルスナータイプのビールは軟水に適しているようなんだ。
呑助 日本の水はヨーロッパの水と比べて軟水だといわれていますから、良いんですね。
侘助 黒い森の中を流れる山岳地帯にピルゼンやミュンヘンを流れる川の伏流水は軟水のようだから、下面発酵のピルスナータイプのビールに合っていたんだろうね。低地ドイツから北の方に位置するベルギーの川の伏流水はもしかしてなんすいなのかもしれない。だから実に滑らかで軽く薄いイエローのヒューガルデンは女性に人気らしい。