100分de名著 『力なき者たちの力』ヴァーツラフ・ハヴェル
第1回 『噓の生』からなる全体主義
第二次大戦中はナチスに蹂躙され、戦後は社会主義体制にのみこまれ、自主的な判断をしようとすると戦車に踏みつぶされてしまう東欧。
とりわけチェコスロバキアは常に大国のはざまで決して主体とはなれず、受け身としてしか存在できなかった。
その結果、巧妙な全体主義、官僚支配体制、監視社会等々二十世紀の暗部の集積地となった。
一言でいうと、独裁と消費社会が結びつくことで生まれた「ポスト全体主義」と呼ばれる新たな現象だ。
それは強圧的な独裁ではなく、「精神的・倫理的な高潔さと引き換えに、物質的な安定を犠牲にしたくない」という人々の欲望につけこむ形で、
高度な監視システムと個人の生を複雑に縛るルールをいきわたらせる社会体制だった。
第一回は、ハヴェルたちが立ち向かった抑圧的な体制のしくみを明らかにすることで、現代社会にも通じる歴史の暗部を浮き彫りにする。
Stacey Kent - Quiet nights of quiet stars (Corcovado)
100分de名著 索引
100分de名著 『力なき者たちの力』第2回 『真実の生』を求めて 「52」
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