第91回Goodシネマ
『裸の島』(はだかのしま)2019.10.26 予定
瀬戸内海の孤島で、自然と闘いながら生きる家族の姿をセリフなしで追った映像詩。
瀬戸内海に浮かぶ水のない小島で、2人の子供と暮らす千太、トヨ夫婦。
別の島から桶に水を汲んでは小舟で運び、段々畑を登りながら作物に水をやる作業など、夜明けから日没まで黙々と畑仕事に励む夫婦の姿が映し出される。
宿禰島(すくねじま)
1960年(昭和35年)11月23日公開の日本映画である。
監督・脚本・製作は新藤兼人 95分
乙羽 信子(おとわ のぶこ)
殿山 泰司(とのやま たいじ)
タイトルバック ~映画「裸の島」より~ "Naked Island"
瀬戸内海の一孤島。周囲約五〇〇メートル。この島に中年の夫婦と二人の子供が生活している。孤島の土地はやせているが、夫婦の県命な努力で、なぎさから頂上まで耕されている。
春は麦をとり、夏はさつま芋をとって暮す生活である。島には水がない。
畑へやる水も飲む水も、遥るかにみえる大きな島からテンマ船でタゴに入れて運ぶのだ。夫婦の仕事の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされた。
子供は上が太郎、下が次郎、太郎は小学校の二年生で、大きな島まで通っている。
ある日、子供たちが一匹の大き鯛を釣りあげた。夫婦は子供を連れて、遠く離れた町へ巡航船に乗っていく。
鯛を金にかえて日用品を買うのだ。暑い日の午後、突然太郎が発病した。
孤島へ医者が駈けつけた時、太郎はもう死んでいた。
葬式が終り、夫婦はいつもと同じように水を運ぶ。突然、妻は狂乱して作物を抜き始める。
訴えかけようのない胸のあたりを大地へたたきつけるのだ。夫は、それをだまってただ見つめている。
泣いても叫んでも、この土の上に生きてゆかねばならないのだ。
灼けつく大地へへばりついたような二人の人間は、今日もまた、明日もまた、自然とはげしくたたかっていくのである。