100分de名著 平家物語 索引
日本古典の中で老若男女を問わず誰も知っている作品といえば「平家物語」。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり」という有名なフレーズを学校で暗記させられた人も多いはずです。
単に古典作品としてだけでなく組織興亡の写し絵として読まれることも多くなった「平家物語」ですが、「ハブ(中心軸)」「光と闇」といった概念を使って一歩深く読み解くと、現代社会を生き抜くヒントの宝庫となります。
そこで「100分de名著」では、「平家物語」に新たな視点から光を当て、価値観が大きく揺らぎつつある現代とも比較しながら、乱世を生きる知恵を学んでいきます。
「平家物語」は、鎌倉時代に成立したとされる軍記物。元々武士階級だった平家ですが、平忠盛が寺社を寄進したことを契機に昇殿を許され繁栄への階段を駆けのぼります。
後継者・清盛は着々と天皇家との姻戚関係を結び、国家の人事権をほしいままにするまでに。
最初は平家の力を利用していた後白河法皇は、平家の増長ぶりに怒りクーデターを起こしますが失敗し、最終的には幽閉されます。
天下をわがものにしたかに見えた平家一門ですが、清盛の病死によって坂を転がり落ちるように没落していきます。
そこには、繁栄への驕り、源氏勢力台頭の軽視、天地自然の流れの見誤りがありました。
平家は、京を追われ、浮草のように西国や瀬戸内海を漂い、やがて壇ノ浦へと追い詰められ、源氏との最後の海戦を挑むのでした。
平家の栄華と没落のすべてを描きつくした「平家物語」ですが、平家一門や彼らと対立する人々が、一族や組織の存亡を賭けてしのぎを削る姿には、
「人間関係の築き方」「組織興亡の分かれ道」「失敗から学ぶべきこと」等々…今を生き抜く上で貴重な教訓にあふれています。
また、興亡を分けるのは、天の利、地の利、時の利など、さまざまな要因を見定めることが重要だということも教えてくれます。
能楽師の安田登さんは、一族、組織の興亡を描ききった「平家物語」は、人間学や組織論、歴史に対する洞察などのヒントの宝庫であり、混迷を深める現代社会にこそ読み返されるべき名著だといいます。