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至福の時に溶け入る

2024-10-17 00:07:13 | 東北&北海道 夏の花旅

 岬の先へ歩を進めました。

 

 
 地球の孤を微かに感じさせる水平線が青い空と海を隔て、散策路は北国の花に包まれていました。

 


 岬の先端に立つと、微かに白穂が揺れる海風の中、親潮流れる蒼いキャンパスに幾つかの岩礁が描かれていました。

 


 海の香を存分に胸に満たし、元来た道を戻りました。


 恋する灯台の尾根に駆け上る草の斜面が、エゾカンゾウに染まります。

 


 岬を訪ね来た人達が、花に染まる桃源郷で、至福の時に溶け込んでいました。

 


 散策路を戻る途中、西の斜面もエゾカンゾウで覆われていることに気づきました。


 斜面の先に、海を隔てて、あやめヶ原へと続く台地が横たわります。


 あの台地に沈む夕日に照らされた、エゾカンゾウの鮮やかな光景が脳裏に浮かびました。 やっぱり此処は、恋する灯台に相応しい場所のようです。

 


 霧多布岬を出発して、浜中湾に沿う道道142号を東へ走りました。


 頭の中に凡その地図があるので、ナビに目的地を入れずに、走り続けました。

 


 私は学生時代を含め、北海道で20年程の歳月を過ごしました。

 

 北海道で知らない街はないと言い切れるほど、仕事や趣味で北海道のほぼすべてを走り回りました。


 しかし今走る場所の景色は初めてです。


 根室も3~4回は訪ねましたが、いつも国道44号かJRを利用してきました。

 

 霧多布岬を経由する道道142号を走るのは今回が全く初めてなのです。


 国道142号は、根室から別当賀駅辺りまで走ったことがありますので、別当賀駅を目標に車を走らせました。


 そして去年の夏、花咲線の普通列車から眺めた、国道142号の景色の中に身を置けたことの達成感に浸りました。

 



 ん~ 我ながら、ほとんど意味はないかな、と思います。


 でもいいんです、それが人生の贅沢と言うものです。

 

 そんな贅沢が人生を豊かにしてくれるのです。


 さて、別当賀駅の脇の踏切で時刻を確認すると16時半を過ぎていました。


 今日はもう、根室まで足を伸ばすのは無理です。


 路傍に車を停め、ナビに野付半島ネイチャーセンターを入力しました。


 野付半島も数少ない未訪問先で、根室湾の海岸線を北上する、国道244号も走ったことがありません。


 そして私は、国道244号から野付半島へ伸びる道道950号分岐点付近のコンビニで、夕飯と晩酌、明日の朝食を購入し、野付半島へ車を進めました。

 

 

 

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ラッコが浮かぶ海

2024-10-16 00:18:37 | 東北&北海道 夏の花旅

 霧多布湿原でオオカサモチが白い花を掲げていました。


 その横でアザミが微笑みますが、ん~ 貴方は何アザミさんでしょうか?

 

 

 

 霧多布湿原の駐車場から霧多布岬へ車を走らせました。


 10分程で岬の駐車場に着きました。


 駐車場は多くの車で埋まり、キッチンカーが客を集めていました。


 「国定公園特別地区」の看板にラッコの絵を見たので、内容も確認せずにパチリ。

 


 今、記事を書くに当たって、看板を見直すと、湯沸岬(通称:霧多布岬)と書かれていました。


 ところで一般的には、湯沸岬をユワクミサキって読みそうですが、トウフツミサキが正解です。しかし灯台はトウブツミサキ灯台と読むそうです。


 「湯沸岬灯台」は一青窈のヒット曲をモチーフにした映画「ハナミズキ」のロケ地として知られます。


 この辺りは海キリが頻繁に発生し、晴れたかと思えば急にキリが立ち込め、恋をした時の気持ちのように、世界を急に見えなくさせるとの理由で「恋する灯台」に認定されたそうです。


 灯台へ続く散策路でバズーカ砲のような望遠レンズを手にした小父さんやお姉さん達が海を見つめていました。

 

 
 私も海を覗きますと、居ました! ラッコです。

 


  穏やかな海に2頭のラッコが浮かんでいます。


 この場所はラッコまでの距離が遠いので、私のバカチョンカメラは上の画像がギリギリですが、別の場所では、こんな写真や

 

 
 こんな写真が撮れますので、誰もがラッコに夢中になる気持ちは良く分かります。

 


 そんなラッコが寛ぐ海への断崖をエゾカンゾウが黄色く染めていました。


 数㎞しか離れない霧多布湿原で、エゾカンゾウの花が終わっていたのが不思議です。

 


 この辺は頻繁に海キリが発生するので、それが影響しているのかもしれません。


 海キリが絶え間なく斜面に水を供給することが、エゾカンゾウの生育を促しているのでしょうか。


 もしそうであれば、今日こんなに晴れているのはとても幸運なことかもしれません。


 湯沸灯台は、白い長方形の建物の上に赤白のツートンカラーの本体が乗ります。


 そしてふと、恋する灯台だから赤白なのかな?との疑問が生じました。


 そこで試に「赤白灯台」でググると、「灯台に関するQ&A」というページに、「北海道などの雪国では、雪で見えにくいことから、赤と白、白と黒に塗分けられた灯台もあります」と記されていました。

 

 フムフム、そう言うことか、ごもっともです!

 

 

 

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今の季節なればこその花

2024-10-15 00:14:17 | 東北&北海道 夏の花旅

 遊歩道の脇で、ヒオウギアヤメが花弁に綾目模様を見せていました。


 その横でマルバダケブキが黄色い花を輝かせていました。


 馬は毒を含むマルバダケブキを食べません。

 

 ヒオウギアヤメも根茎に毒を持つので馬は食べないそうです。

 

 あやめヶ原は放牧馬が作り出した花園なのです。

 

 


 ハマナスが、ローズピンクの花を咲き重ねていました。

 

 ハマナスに一度でも触れれば分かりますが、鋭い刺が枝を覆うので、馬は見向きもしません。

 

 

 ブリザードが吹きすさぶ厳冬を耐え、短い夏を謳歌できるのは、生き残る術を備えたモノ達だけなのです。

 


 
 あやめヶ原に別れを告げて、琵琶瀬展望台にやってきました。

 

  
 標高100mの台地の下に霧多布湿原が見えます。

 


 展望台から先へ進むと、道道123号は台地を下り、湿原の横を走り始めました。

 


 暫く走ると、道路脇にパーキングを見つけたので、車を停めて標示された案内図を確認しました。

 

 どうやらここに、湿原観察用の木道が設置されているようです。

 


 遊歩道入口のインフォメーションセンターに、湿原を彩るエゾカンゾウやワタスゲの写真が掲げられていました。

 

 私もこんな風景が見たくて訪ね来たのです。

 


 遊歩道を進んで木道を目指すとすぐに、エゾカンゾウやノハナショウブの花を目にしました。

 

 

  
 しかし人生はいつも、願い通りにはいかないものです。


 入口付近で数本のエゾカンゾウやノハナショウブを目にしただけで、木道から湿原を見渡すと、草の緑と黄褐色のイネ科が広がるばかりでした。


 霧多布湿原も、エゾカンゾウが湿原を染める季節は過ぎ去ったようです。

 

 
 今回もダメかと、少々落胆しましたが、花を訪ねる旅では良くあることです。


 直ぐに気を取り直し、何が咲いているかと、今なればこその観察を始めました。


 花の季節を外して観察に来る人は極めてまれです。

 

 何か新しい発見があるかもしれません。

 (発想が前向きでしょ、しかし、負け惜しみだよね、とも言われます)


 ノリウツギが葉の間に蕾を蓄えていました。 

 

 ノリウツギは別名をサビタと言い、ガクアジサイ同様に本来の花の周囲を装飾花が飾ります。

 

 装飾花は冬になるとドライフラワーとなって枝に残ります(右下写真)。

 

 そして、こんなお話があります。


 昔アイヌの若者が美しい娘に恋をしました、若者は娘に恋心を伝えますが、娘は「サビタの花が散る日がきたら」と答えました。

 

 この物語の結末は、若かりし頃の私の思い出に重なりますので、最後まで書く気にはなりません。

 

 

 

 

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ヒオウギアヤメが花園をパープルレッドに染めていました

2024-10-14 00:19:57 | 東北&北海道 夏の花旅

 釧路市街をバイパスで迂回し、国道38号から44号に入って走り続けると、右手前方に、厚岸湾に浮かぶ大黒島が見えてきました。


 今日はこれから、国道44号に別れを告げて厚岸大橋を渡り、海沿いに延びる道道123号を東へ向かう予定です。

 


 厚岸の街を見下ろす高台にある「道の駅 厚岸グルメパーク」に車を停めました。


 左側の厚岸湖と右手の厚岸湾を結ぶ水路が厚岸市街の先に見えます。


 しかし昼時のレストランは満員で、廊下の椅子に座って客が空席待ちをしていました。昼食の為に、ここで時間を費やすのは勿体ないと思いました。


 季節毎に咲く花を訪ねる旅の昼食はコッペパンかおにぎりで十分です。


 初めて訪ねる土地の花を見逃せば、再び巡り合えるチャンスは殆どありません。


 私は先を急ぐことにしました。

 


 
厚岸市街を抜けて厚岸大橋を渡りました。

 


 ここから先は、昨年の「青春18きっぷのブログ」に記した、赤い線のルートを走るつもりです。

 


 厚岸大橋を渡ると、道道123号は木立に包まれていました。

 

 10分程走って「あやめヶ原」の標示を右折しました。

 

 信州の別荘地のような爽やかな雰囲気の道を700m程も進んで、その先の駐車場に車を停めました。

 


 
 駐車場の管理棟に掲げられた、ガイドマップの一部を切り取って、現在地を示します。
 

 

 駐車場横のゲート先に、あやめヶ原が海に突き出た先端の、チンベの鼻まで散策路が続いていました。

 


 ゲートから数十m進むと、周囲に草原が広がり、薄紫のヒオウギアヤメが陽の光を浴びていました。

 


 あやめヶ原は標高100m程の台地に広がる原生花園で、100種以上の野草が花を咲かせ、馬が放牧されるので、断崖の淵に牧柵が設けられています。

 


 ヒオウギアヤメの最盛期で、ライトブルーの海原を背に、パープルレッドの花が花園を染めていました。

 


  チンベの鼻に立つと、太平洋に大黒島と小島が浮かびます。


 無人島の大黒島は、海鳥やゼニガタアザラシの繁殖地として保護されています。

 


 来た道を戻りながら、北海道なればこその景色を堪能しました。


 緑の草原の上に、白い雲が浮かべた青い空。


 草原に緩やかな曲線を描く小道が、彼方の森へ伸び行きます。

 

 絵のようなシンプルで伸びやかな光景ですが、こんな景色を国内で目にすることは殆どありません。

 

 

 

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半世紀ぶりの願いが叶います

2024-10-13 00:04:52 | 東北&北海道 夏の花旅

 7月3日の朝、私は帯広から南下し、太平洋沿いに広がる晩成(ばんせい)原生花園を目指しました。


 全てナビ任せなので、何処をどう走ったかは全く分かりません。

 

 何処を走っても同じような景色が続きました。

 


 8時半頃に、海を望む晩成原生花園に到着しました。


 私は50年程前、帯広で学生生活を過ごしましたが、サークル活動の仲間が、この辺りの植物相が面白いと語っていました。


 一度は訪ねたいと思いましたが、交通の便が極めて悪く、車がないとテントを背負って、歩いて巡るしかありません。


 そのころ私は、日高や大雪の山に意識が向いていましたので、十勝平野が海に接するこの辺りを訪ねる機会はとうとう得られませんでした。


 と言うことで今日は、半世紀ぶりの願いが叶います。


 って、ちょっと大げさですね。

 


 海岸線に沿って、同じ高さのミズナラが茂みを連ねていました。


 稚内の海岸線同様、冬はブリザード吹きすさぶ景色が広がる筈です。

 


 道路脇にエゾフウロが咲いていました。


 その横に見知らぬ花を見かけたので、帰宅して調べるとフランスギクのようです。

 

 

 

 海岸に沿う舗装道路の右手にホロカヤントウ沼の湖水が広がります。


 ホロカヤントウ沼は汽水湖で、常に海水が入り込み、ワカサギ釣りの名所として知られます。

 


 晩成温泉がポツンと一軒家の風情で佇んでいました。

 


 しかし、期待していたエゾカンゾウの姿はなく、悠久の時を思わせる湖面が茫々と広がるばかりでした。

 

 
 晩成を出発し、国道336号を北東に走り、次に長節湖(ちょうぶしこ)を目指しました。


 湖に到着し、「天然記念物 長節湖畔野生植物群落」の標識を目にしました。

 


 ハマナスが湖畔に咲き揃い、

 


 ヒオウギアヤメとマルバトウキかと思う花を見かけました。

 

 

 
 波打ち際へ歩むと、都会では決して味わえない、人の気配を感じさせない海が単調なリズムで波を寄せていました。


 こんな景色に心安らぐのは、70数年に亘って晒され続けた人々の軋轢から、解き放たれるからなのでしょうか。

 


 今回の訪問で、ホロカヤントウや長節湖で期待した、エゾカンゾウ等が草原を染める景色には出会えませんでした。


 しかし私は、北海道でしか味わえない風の香に包まれた満足感を胸に、あの日あの時と同じ景色の中に続く、昆布刈石の海岸道路を、水平線の彼方へ向かって走り始めました。 

 

 

 

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あら! あんた、今日は自転車じゃないのね

2024-10-12 00:07:05 | 東北&北海道 夏の花旅

 長万部から帯広までは350㎞程ですから、15時頃には到着する筈です。

 

 交通量の少ない、ストレスのない道を、鼻歌交じりに走り続けました。

 

 
 千歳で高速道路を降り、空港近くの安価なガソリンスタンドで給油し、千歳東ICから道東自動車道に入りました。

 


 30年程前に北海道で暮らしていた頃、道東道は未完成でしたから、高速道路だけを走って帯広まで行くのは今回が初めてです。

 


 トマム辺りを過ぎると、峰々に牧草地が広がりました。


 昔は十勝地方に入るときは日勝峠を越えましたが、渓谷沿いの見通しの悪い国道を、ひっきりなしに大型車が走り、充分な緊張感を強いられたものです。


 それに引き換えて今は、ハンドルに手を添えるドライブで、日高山脈北端の稜線を超えて行きます。


 運転中なので、道路左手の牧草地は撮影できませんが、トンネルを抜けると、見覚えのある山容と風景が車窓に広がりました。

 


 15時前に帯広に到着したと思います。


 私は帯広で最初にNさんのお宅に伺いました。


 9年前に自転車で北海道を縦断したとき、台風の雨風を凌いで広尾から帯広へ走り、一晩泊めて頂いたことがあります。
 
 Nさんとは学生時代からのお付き合いで、半世紀以上もご厚誼を頂いており、帯広へ来たら、ご挨拶に伺わない訳にはいきません。


 前触れなく突然、玄関のチャイムを押すと、Nさんは私の顔をみるなり、

 「あら! あんた、今日は自転車じゃないのね」と言われました。


 今日は来客予定とのことで、ご挨拶を40分程で済ませ、次に、昔お世話になった、大病院の院長をなさったK先生のお宅に伺いました。


 本来であれば、最初に電話でご都合をお聞きするのが礼儀ですが、先に記した通り、電話番号のメモを忘れてきたので、K先生のマンションのエントランスに立つと、唐突にインターホンを押して、「突然ですみません、芦川ですが」と名乗りました。


 先生は満面の笑顔でエントランスへ降りてきて下さり、ご自宅で1時間程会話を弾ませた後、「食事に行きましょう」とのお誘いを頂きました。


 帯広に来ると必ずご馳走になるのですが、遠慮すると「恥をかかせないでよ」と仰いますので、その後は素直に甘えさせて頂いております。


 楽しい時間を過ごさせて頂きました。


 最初に入った割烹料理屋が満席で、次は適当に屋台風の店に入り、私は遠慮なしにジョッキを3~4杯程も空け、先生は気さくな雰囲気を十分に楽しんで頂けただろうと思います。

 

 

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函館山が陽の光を浴びていました。

2024-10-11 00:07:46 | 東北&北海道 夏の花旅

 7月2日早朝、フェリーの2等船室で熟睡していた私は、「当船はまもなく函館港に到着します」のアナウンスで目を覚ましました。


 荷物を整えてデッキに出ると、見慣れた姿の函館山が目の前で陽の光を浴びていました。

 


 
 函館市街はまだ、陽の光が十分に行き渡らず、殆どの家が、彼はたれ時の光の中で家主の目覚めを待ちます。

 


 
 フェリーは定時に函館港に着岸しました。


 フェリーのドアが開くと青い空が広がりました。


 いつ見ても、北海道は空がより青く見えるのは何故なのでしょうか。

 


  北海道最初の目的地は長万部のあやめ公園です。


 函館市街の先の国道沿いに松並木が続きました。


 去年の夏、青春18きっぷの旅で普通列車の窓から見た赤松が、今日は手に取るほどの距離にあります。
 

 

 民家の庭に、クリの木が満開の花を咲かせていました。


 東京でクリの花を見たのは5月下旬から6月上旬ごろですから、日本列島を北上し、1ヵ月程も季節を遡ったことになります。

 


 フェリーでの睡眠時間は3時間半程なので、どこかで仮眠を取ろうと思いながら車を進め、道央自動車道に入りました。


 高速道路は片側一車線でした。


 交通量は少なく、すれ違う車は殆ど見かけません。

 


 途中の八雲PAで仮眠をと考えましたが、あまりにもスムーズなので、そのまま目的地の長万部あやめ公園まで走り通しました。


 あやめ公園の駐車場に着くとすぐ、私は運転席の背もたれを倒し、眠り込んでしまったようです。


 1時間以上寝ていたかもしれません。窓ガラスを照らす朝日で目を覚ましました。

 


 車外に出て公園を見渡しましたが、広い園内は緑一色で、花の姿は見当たりません。


 管理棟の方に「花はこれからですか?」と尋ねると、「今年は花が咲くのが早かったので、一週間程前に咲き終わりました。

 

 管理棟の後ろなら少しは咲き残っているかも知れません」とのお話でしたが、状況は以下の通りでした。

 

 
 長万部で、国道沿いの野草花園や歌才湿原を車で一巡りしましたが、野の花の季節は終わっていました。

 

 昨年の「青春18きっぷ花の旅」で記したように、花の季節は6月中旬のようです。 


 これらの状況から、この辺でウロチョロするより、早めに道東に向かう方が花に会えると判断し、再び長万部ICから道央自動車道に入り、帯広を目指すことにしました。

 

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岩手山山裾の友人を訪ねる

2024-10-10 00:33:52 | 東北&北海道 夏の花旅

 花巻市で、ハナショウブの原種の様子を確認した後、私は車を盛岡市近郊の雫石町へ走らせました。


 雫石町で、大学時代の同窓生の大松君が牧場を経営しています。


 実は昨春、同窓会の件で電話をすると、彼は脳梗塞を発症し入院することになったと言うのです。

 

 電話の様子は、それほど切迫しておらず、見舞いには行きませんでしたが、今回は必ず顔を見に行こうと考えました。


 彼は9年前、九州博多の同窓会に、昼まで牧場で働き、午後の飛行機で福岡に駆けつけてくれました。それ程に誠実な人柄ですから、もう50年以上の付き合いになりますが、一度も彼の悪口を耳にしたことがありません。

 

 しかし私は、雫石へ向かう途中で、大きなミスに気づきました。


 今回の旅で会う予定の人達の住所や電話番号を記したメモを忘れたのです。


 10年以上前に一度、大松牧場を訪ねましたが、ナビ無しで行ける自信は全くありません。

 

 そこで私は、雫石町交番のお巡りさんに、「岩手山の山裾の大松牧場に行きたいのですが」と尋ねました。


 巡りさん達は机の上に大きな地図を広げると、難なく牧場を探し出してくれたのです。


 雫石町交番の皆様、その節は本当にありがとうございました。


 予定より時間が遅くなったので、雫石の駅前食堂で、腹ごしらえをして牧場へ向かうことにしました。


 注文したのは、ご当地名物の「よしゃれそば」です。


 そばの上に、この地で採れた山菜がテンコ盛りでした。


 都会では味わえない、素朴で奥深いそばで腹がいっぱいになりました。


 よしゃれそばを説明するHPを見つけたので、リンクさせて頂きます

 

 


 牧場を訪ねると、搾乳作業が19時半頃に終わるというので、再度出直すと、奥様が車椅子で出てこられました。


 驚いて話を聞くと、昨年、腰痛症治療の為に脊椎を固定していた金具が外れ、神経を傷つけ、足を動かせなくなったそうです。


 大松君が脳梗塞の治療を終えて退院した翌日、奥様が整形外科病院に入院したとのことで、言葉もありませんでした。

 

 さだまさしの「無縁坂」の歌詞にこんな一節があります。

 

 「運がいいとか 悪いとか 人はそれぞれ口にするけど そうゆうことって 確かにあると・・・ 」

 

 そして悲しいかな、私にできることは限られます。

 

 それでも、久しぶりに大松君と会って、積もる話に花を咲かせた後、私は青森港へ向けて車を走らせ、予定通りに、青森港26時発のフェリーに乗ることができました。

 

 

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アヤメ、ショウブ、ハナショウブの名の混乱

2024-10-09 00:44:13 | 東北&北海道 夏の花旅

 毛越寺あやめ園で、念願のハナショウブに出会うことができました。


 そしてここでも、花は盛りを過ぎていました。

 

 しかし、そんなことで文句を言うと、「文句ばっか、言ってんじゃねーよ」って、またチコちゃんに叱られそうです。

 


 
 毛越寺あやめ園のハナショウブに心満たされ、次に「花輪堤ハナショウブ群落」を目指しました。


 ところで「あやめ園のハナショウブ」に違和感を感じた方、貴方は言葉に注意深く、敏感です。

 

 今更ですが、アヤメ、ショウブ、ハナショウブは誰が何と言おうと全く異なる植物です。


 ショウブは全国の池や沼などの水辺に生育するショウブ科の多年草です。

 

 全草に芳香のある精油成分を含み、根茎から幅1-2㎝の剣状の葉を伸ばし、5-7月頃、小さな花が集まった、こん棒状の目立たない地味な花を咲かせます。

 

 

ショウブの葉          ショウブの花穂   

  
 ショウブは漢字で「菖蒲」と書き、この字は「あやめ」とも読みます。

 

 そして本来「あやめぐさ」と呼ばれたのは、上の写真に示したショウブですが、18世紀以降に、人々はアヤメやカキツバタなどのアヤメ科アヤメ属の植物を「あやめ」と呼びはじめ、何時の間にか、「あやめ」と言えば、美しい花が咲くアヤメ科の植物を意味するようになりました。

 

 

 アヤメ             カキツバタ 
   

 更には、そのアヤメやカキツバタと区別する為に、「葉がショウブに似て、美しい花が咲く植物」を「はなしょうぶ」と呼び始めたようです。


 ハナショウブはアヤメとは明らかに異なりますが、現在は慣習的に広く「あやめ」の名で呼ばれ、あやめ園、あやめ祭り等のほぼ全てが、ハナショウブを植栽し、ハナショウブを愛でる祭りなのです。 


 ややこしい話ですが、更に読者を混乱させる話があります。


 実は、ハナショウブはノハナショウブを原種とする園芸品種なのです。

 

 

      ハナショウブ 品種「文の糸」      ノハナショウブ         


 ノハナショウブは日本、中国、朝鮮半島の水辺や湿原などに分布する多年草です。

 

 日本では、以下の3か所がノハナショウブの自生地として国の天然記念物に指定されています。


 花輪堤ハナショウブ群落 (岩手県花巻市)


 斎宮のハナショウブ群落 (三重県多気郡明和町)


 栗野町ハナショウブ自生南限地帯 (鹿児島県姶良郡湧水町)


 そしてノハナショウブの色変わり種が、江戸時代の頃に栽培され始め、江戸、伊勢松坂、肥後熊本などで品種改良が進み、我が国独自の園芸品種群が開発されたのです。


 日本人は野生植物の色変わり種を採取保存し、新品種を作り出す作業を江戸時代の頃から続けてきました。


 世界を見回しても、江戸時代の頃から、そんなことを続けてきたのは日本人だけです。 


 ということで、今回なぜ私が「花輪堤ハナショウブ群落」を訪ねたかが、ご理解頂けたでしょうか。

 


 私はノハナショウブが咲く自生地を目に焼き付け、満ち足りた思いで車に戻りました。

 

 

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宮城と岩手のアジサイ園巡り

2024-10-08 01:00:53 | 東北&北海道 夏の花旅

 アジサイの小道を進むと、杉の斜面がアジサイに覆われていました。


 谷間なので、園内他所より開花が遅れていますが、それにしても見事な光景でした。

 


 帰り道はノンビリと、アジサイを観察し、眺めながら戻りました。


 下の写真で、左がアジサイ、右がガクアジサイです。


 右のガクアジサイは、4枚の大きな花びらが目立ちますが、これは「萼(がく)」が作る装飾花です。装飾花の後ろに見える、小さなプチプチが、雄しべと雌しべを備えた本物の花です。


 ガクアジサイも秋になれば、花の場所に実が生るので、実際にご覧になると「なぁ~るほど」と思うはずです。


 そして左下のアジサイは、本物の花が全て装飾花に変化しているので、実は生りません。 

 

 


 アジサイを堪能し、「チャチャワールドいしこし(入園無料)」に別れを告げ、次に「みちのくアジサイ園」を訪ねました。


 宮城県と岩手県の県境を越え、丘陵地帯の道をナビのガイドのままに走ると、細い路の脇にアジサイ並木が現れました。

 


 駐車場に着くと、数多くの車がスペースを埋めていました。

 

 入園口の看板に、「みちのくアジサイ園」は岩手県一関市の杉山の中に設けられた日本有数のアジサイ園で、約400種40万株のアジサイが東京ドーム4個分の広さに花を咲かせます」と記されます。

 


 当初は、ここでアジサイの品種別の特徴を観察するつもりでした。


 しかし、入口から覗き見たアジサイは予想を遥かに超えるボリュームで、園内を周遊するカートを利用しても40分程かかるそうです。


 丁寧に園内を巡れば、ここで一日が終わりそうです。

 


 しかし私は、今夜26時の青森発-函館行きフェリーを予約し、明日からの4日間、北海道の高速道路乗り放題の「道トクふりーぱす」を予約しているので、ここで長居する訳にはいきません。


 「次の機会は、此処を主目的に訪ね来よう」と自分を説得し、早々に、次の目的地の平泉毛越寺へ車を走らせました。


 15分程で平泉に到着し、毛越寺の門を潜りました。

 

 平泉を訪ねる来るのは2015年の夏以来です。  


 あの時は8月上旬でしたが、旅のブログに「今度はアヤメ、ハナショウブの季節に訪ね来たい」と記しました。  

 

 そして今日、やっとその思いが叶います。


 そうなんです、何時の時でも、思いと願いと努力は続けた者だけが勝つと、私は信じています。

 

 

 

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