車窓に加古川の流れを見ながら北上します。
交通量も少なくて快適なドライブ日和でした。
道路に沿った加古川の堤に曼珠沙華の姿を認めましたので、路肩に車を停めてシャッターを切りました。
花には蕾も多く、まだ花の盛りには少々早いようです。
丹波市稲継で国道175号線と別れ、県道7号線、通称丹波の森街道に入りました。
中国地方の海岸沿いは今まで何度も訪れているのですが、今回のように山間部へ入って来たのは殆ど初めてのようなものです。
5~6百メートル級の山が連なり、長閑な里山の光景が周囲に広がっています。
何となく懐かしさのような気分が充ちてくるのは何故なのでしょうか。
暫く走ると、路傍に独鈷の滝・不二の滝の案内図が目に留まりました。
急ぐ旅でもないし、初めての土地なので寄り道することにします。
ハンドルを右に切り、車を進めて行くと程無く、杉木立の中に寺が現れ、小川に沿って遊歩道が林の奥へと続いています。
一番奥の駐車場に車を停めて、歩き始めました。
遊歩道の横に浅山一伝斎という人物に関する掲示板があります。
どうやら江戸時代の剣術家がこの地で修行を積み、浅山一伝流という古武道の流派を起こしたようです。
まるで、杉の林の中から天狗様が出てきそうな雰囲気です。
小川には木橋が架かり、石を積んだ道が奥へと続いていました。
坂を登って行くと、白い大蛇が岩を登ってゆくような独鈷の滝が姿を見せます。
周囲に人の気配はなく、爽やかな大気に程よいミストが満ちて、とても贅沢な空間に巡り会うことができました。
滝の横の石段を、更に登って行くと
岩の裂け目に社が見えます。
どうやらこれが剣豪・浅山一伝斎を祭った「浅山不動尊」のようです。
更に歩を進めると、不二の滝が岩陰から絶え間なく水を落としていました。
もと来た道を引き返し、先ほどの小川の上にお寺を訪ねました。
岩瀧寺は弘法大師が弘仁年間(809~823年)に開基したと伝えられる古刹で、姿の良い山門に続く石段にはツリバナが可憐な姿を見せていました。
本堂の裏山は、紅葉の季節には見事な光景を見せてくれそうです。
赤い前垂れを付けた石仏が微笑ましい奥丹波の秋の日和でした。
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