邦画ブラボー

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「座頭市と用心棒」

2006年09月12日 | ★ぐっとくる時代劇
「フレディVSジェイソン」とか
「エイリアンVSプレデター」
など、
企画ものってたいていコケますよね、
それがこの作品に限っては・・超がつくほど面白い!

だって岡本喜八がメガホン&脚本も書いているのだものね。

冒頭、嵐の中にいる市を見た途端、
これはすごい!」と誰もが思うだろう。
凄まじい殺気と恐ろしいばかりの美しさに満ちているのだ。
カメラは宮川一夫。

「もう地獄は嫌だ。」

いいですねえ~そうだそうだ市さん!
市の頭は「不知火検校」を思い出させる剃髪。
シリーズ最初の頃はたしかこんな風につるつるだったはず。
このほうが断然凄みが出る。

風がびゅうびゅう吹く町が似合いすぎる「用心棒」は
黒澤の「椿三十郎」「用心棒」から抜け出してきた三船敏郎
キャラ設定といい、台詞といい、顔で人をぶった斬るところといい
オマージュ的な匂いがぷんぷん。

ファンにはこたえられない。
ただし呼び名はあくまでも
「せんせい」「しぇんしぇい!」だ。

大暴れするシーンの音楽を伊福部昭が「ゴジラ」のように
ドラマチックに彩ってくれているのが嬉しい!

かつて平和だった里は荒れ果て、
真っ青な顔の殺し屋岸田森
同じく顔面蒼白夜叉顔メイクの米倉斉加年
修羅場もたっぷり魅せるさすがの滝沢修
ミスター「肉弾」寺田農
濃いぞ細川俊之、おおアラカンも出ているし・・
くんずほぐれつの地獄絵が繰り広げられる。

赤一点に
梅の花のような若尾文子

岡本喜八の得意とする
大人数による殺陣シーンもたっぷり用意されており、
「化け物」と「けだもの」、
「座頭市」と「用心棒」、どっちのファンも楽しめる娯楽作に仕上がっている。

餓鬼が争う、
この世の地獄のようなシーンの音楽にもうなった。
市は悪くなきゃねえ。そして乾いたタッチが良い!

この映画は残念ながら地上波では絶対放送されないであろう。
放送禁止用語だらけなのですから。

なにしろパワーがある。

こういう映画を見ると元気が出る!

*映画の中のイイおんな*
若尾文子:文子さまも花である。崩した着物の着方が仇っぽく、
寒々しい荒野にぽっと咲く紅い梅の花のようである。
振るいつきたくなるような色香を漂わせていまっせ!

1970年.  岡本喜八 監督作品
脚本   岡本喜八 吉田哲郎
撮影   宮川一夫
音楽  伊福部昭
美術 西岡善信

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