邦画ブラボー

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「怪談;蚊喰鳥」

2008年08月19日 | ★恐怖!な映画
じとじとと降り続く雨に
お化け効果音。
おどろおどろしいタイトルロゴ。
これぞ正統派怪談だ!

遊園地のお化け屋敷が苦手な人には
拷問のようなシリーズかも!
出演者も豪華絢爛で見ごたえ十分だ。

王道まっしぐらの出だしを見たら
せっかく全作品放送されるのだから
「怪談研究家」としては(あくまで自称)
ただ怖がるだけではなく物語に散りばめられた「キーワード」と、
現代人が怪談から学べる
教訓」を掘り下げ、
日本の怪談の魅力を徹底的に追求したいと
思いました。

えっ、偉そう~~~

さて
「怪談蚊喰鳥」

キーワードは、
 蚊帳の中で横たわる長襦袢美女
 按摩 
 マザコン小悪党
 井戸
 墓
 金
 悪婆
 按摩笛
 である

長屋で臥せる盲目の兄には恋焦がれる女がいた。
兄を看病する同じく盲目の弟を
佐藤慶がひとり二役で熱演。
兄弟はそろって按摩だった。

かなりの金を残して死んだ兄の意向を伝えようと、
弟は女の家を訪ねていくが
女にはヒモがいた。
女と男は按摩を色仕掛けで騙すことに。

江戸情緒あふれた夏のしつらえもみどころ。
ほとんど舞台は家の中だけなのに
しっとりじっとりとした夏の気配が伝わってくる。

最初おとなしかった按摩は女をものにしてから
だんだん態度が大きくなり
亭主面をするようになる。
不気味なことにその顔には
兄と同じ大きな痣が出現していくのだった。

この後当然修羅場があるのですが
腕力も無い按摩の強力な武器
それは
異常なまでの「しつこさ」であった!

女の抜け毛を集めて
大事に持っていた兄按摩の執念も薄気味悪いが
ヒモに半殺しにされても
血まみれで立ち上がってくる弟按摩のしぶとさには怖気だつ。

津川雅彦
軽妙な味がある色悪ぶりに
三浦布美子がまた江戸風味のいい女で、
浮世絵から抜け出してきたような着物の着方、
仕草、台詞、全部が抜群に色っぽい。
「常磐津の師匠」といったらこんな女でしょうが
なんといっても
佐藤慶の粘りつくようなべたつき演技には驚愕!!

嬉しいことにどんでん返しも
用意されており、ドラマとして秀逸。
タイトルの蚊喰鳥は蚊を喰う鳥、蝙蝠のことだそうです。
「たっぷり血を吸った蚊をさらに喰おうという強欲な鳥ら」という意味でしょうか。

浅ましさ愚かさ生(性)への執念
罪深い人間の業がこまやかに演出されている。

教訓:●業つくばりの人間は亡霊よりもおぞましい
     ●按摩を殺すと祟る

時代劇専門チャンネルにて

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