邦画ブラボー

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「闇を裂く一発」

2012年10月13日 | ★ハードボイルドな映画

峰岸隆之介(徹)は

赤木圭一郎にも負けない魅力があると

思うんだけど

なぜかコレといったヒット作が無い。(「サード」ほんの一瞬の出演でしたが良かったですね)

これは貴重な主演作。

しかも脚本が黒澤映画も手がけている

菊島隆三とくれば、

観ないわけにはいかないじゃありませんか!

監督は村野鐡太郎。

 

あまり知られていない作品だけど

露口茂、加藤武などキャストも超渋め、

演出もタイトで面白かった!

 

なんといっても

登場人物の肉付けが秀逸です。

ちょっと「野良犬」を思わせる

雰囲気もあった。

言葉尻から、

人となりが浮かびあがってくる手腕がさすがである。

 

ベテランアナログ刑事、

露口茂は防弾チョッキも着ない。

「サングラスをかけるやつは好かん!」

「オレは仕事で興奮してくると咳が出るんだ」

峰岸はオリンピックを目指す射撃の名手。

凶悪犯罪が起こり 露口とコンビを組まされる。

最初はぎくしゃくしている関係も次第に打ち解けてくるが・・・

 

はっとさせられる台詞も満載だ。

「若い者は何か夢中になれるものが必要なんだ」

「人間なんて一皮むけばみな同じだ。悪いことをしたやつが悪人になる」

たたき上げ刑事らしい含蓄のある台詞が

露口茂の声で言われるとまた味わいもひとしお。

青い峰岸君にもちゃんと見せ場は用意されています。

 

野球場でのラストは抜群に臨場感があり

はらはらさせられる。

佐藤允は

冷酷非情な犯人役がぴったりはまってます。この人の

悪役はほんとに怖いですね。

 

峰岸隆之介も他界してしまった。

感無量。

ただ峰岸の射撃仲間として

今も現役で良く物真似もされている

平泉征が若さいっぱい、精気あふれるキャラを演じていて

現在の落ち着いたお姿との対比に

またまた隔世の感を強くした。

 

男っぽくて乾いた感じのカッコイイ映画でした。

 

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