東宝が初めて手掛けたやくざ映画。
珍しく仲代達矢がやくざ役を演じてます。
設定が昭和初期ということで
振り回すのはドス。着流しの任侠の世界。
安藤昇
丹波哲郎
栗原小巻
田中邦衛
黒沢年男
夏八木勲
天本英世
江波杏子・・・
と
豪華な顔ぶれが並びます。
栗原小巻は清純なお嬢さん役で
掃き溜めに(失礼)鶴のごとし・・・
青森が舞台。
やくざ同士の抗争を描いてますが、
ねぶた祭りを大胆に使うわ
バックに鳴り響くのは高橋竹山の津軽三味線ですから、
それは盛り上がりますわ。
五社エンターテイメントは決して観客を裏切りません。
ゴージャスなこの映画の肝は、
なんといっても安藤昇のたたずまい。
一言セリフを言っただけでずっしり・・
背筋がぞぉ~~~っとする本物の迫力があります。
祭りの太鼓の乱れ打ちを披露する場面は
お宝映像でしょう。
のちに仲代さんがインタビューでも
「安藤昇さんの迫力が素晴らしい映画です」と言ってます。
出入りの場面は
高倉健さんを意識したとか・・・とバラしてました。
確かに
丁寧語で乗り込むところ、ちょっと似てます。
見せ場はいくつかありますが、
もっとも印象的だったのは
田中邦衛が二人組の色っぽい女殺し屋に惨殺されるシーン!
五社監督の「これでもか!」の
ねちっこいサービス精神が感じられます。
それにしてもただならない色っぽさだなと思って調べたら、
ピンク映画出身で寺山修司に気に入られて天井桟敷に移った
新高恵子さんだったんですね。
あまりセリフはありませんが、着物から大胆にのぞかせる太腿とか、素晴らしいです。
残酷な修羅場も五社監督の手にかかれば
濡れ場のような色っぽさを感じさせられるんですよね。
残酷絵みたいな、嗜虐美っていうんですか。
その極みが仲代VS夏八木の
津軽の荒海を背にしての死闘です。
二人とも半裸、血まみれで戦うのですが、見ようによっては
究極のラブシーンのような???バックミュージックは津軽三味線です。
男の美学が散りばめられた、五社版血とエロスの世界へようこそ!!
1971年 五社英雄監督作品