モンスタードライブイン

　これも面白い。中篇です。著者は「テキサス・ナイトランナーズ」で有名なジョー・R・ランズデール。
　舞台はアメリカによくある巨大なドライブンインシアター。巨大なスクリーンが５面以上あって数千人を収容できる。そういうドライブンシアター「オービット」に、ある金曜の晩、主人公の少年と友人たちが集まった。オービットは「ゾンビ」などのB級ホラー映画のオールナイトで満員で盛り上がっている。ところが突然、「怪彗星」が襲来し、シアター施設全体が奇妙な黒い物質に取り囲まれて観客も従業員もシアターの内側から出られなくなってしまった。娯楽の殿堂が徐々に恐ろしい舞台に変貌していく。
　そういう物語なのですが、主人公の友人たちの抱えている心の闇や傷が実体化していく恐怖がしかし軽妙な描かれています。