亡くなったシドニー・ポワチエ氏の主演作『招かれざる客』(スタンリー・クレイマー監督 1967年 アメリカ)も興味深い映画でした。アメリカの進歩的な新聞社の社主の愛娘が連れてきた婚約者は黒人だったというお話です。自分は絶対に人種差別をしないと思い込んでいた白人の社主が内心の差別意識に気づいて苦悩するという、1967年という60年代の公民権運動の成果が様々に形を成していった時代を背景として、それでも一筋縄では解決できないアメリカの差別問題を抉り出した傑作でした。
映画の中で娘とポワチエ氏演じる黒人医師のカップルは、これから自分たちにふりかかってくるであろう、様々な障害や社会の無理解を全て覚悟の上で、自分たちから生まれてくる子供が未来のアメリカ合衆国大統領になるだろうと二人の両親達に語る場面があります。確かそういうセリフがあったのです。2009年にバラク・オバマ大統領が誕生した時(この映画公開から約40年後)に思ったことが、このセリフでした。オバマ氏は1961年生まれなので、二人の子供の世代と言っても良いと思うのです。そういう意味では、この映画はアメリカの未来を言い当てていたといえるかもしれません。私の記憶違いの可能性もあるので、今度もう一回映画を見直してみたいと思います。