
黒川弘務検事長が朝日、産経の新聞記者らとの「賭け麻雀」によって辞職へという一件は既に周知の事実ですが、処分は懲戒にあたらない訓告で、約6000万円とみられる退職金も全額支給されるのだそうです。この事件の一報を聞いて私がすぐに思い出したことは、漫画家でタレントの蛭子 能収(えびす よしかず)氏が賭け麻雀で逮捕された1998年11月20日の事件です。蛭子氏は警察署で10時間の取り調べを受け、罰金十万円を支払い前科一犯になっていました。無類のギャンブル好きの蛭子氏のことで、さもありなんと思った一方で、私は1980年代初め頃からの蛭子氏の作品『地獄に堕ちた教師ども』 (1981年)、『私はバカになりたい』(1982年)、『私の彼は意味がない』 (1982年 上の写真です)、『私は何も考えない 』(1983年)などの割と熱心な読者のつもりでありましたから、この事件は割とショックでした。
しかし考えてみますと、黒川検事長と蛭子氏は全く同じことをしていたのですから、黒川氏も蛭子氏と同様に処罰されるべきではないでしょうか。まして黒川氏は人を処罰する側の検事長です。日本国憲法第14条第1項には「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とあり、法の下の平等を定めています。日本国の全ての法を順守させる立場の黒川氏が法の下の平等から逸脱して処罰を免れ許されるのだとすれば日本は無法の地となるほかはないでしょう。このことだけは許されるべきではないと私は思います。