これは随分以前に読んだ脱出不能物です。
著者の半村良さんは『戦国自衛隊』など時間SFで有名ですが、SF以外にも幅広い作品を手がけていました。実際SF作家としては初めて直木賞を受賞しましたが、受賞した作品はSFではありませんでした(『雨やどり』1975年)。
半村さんの凄いところは、作品世界のロジックの「もっともらしさ」です。野田昌宏さんの「SFは絵だ」という言葉は有名ですが、私はこれに「もっともらしさ」を是非付け加えたいのです。
この『異邦人』という作品にも、もっともらしさが充満しています。
選挙違反の容疑を受けた男が逃亡の末に、ある地方都市に潜伏しようとする所からこの話は始まります。その都市は人口は10万人程度いるのですが、鉄道線路からは外れていて、外部との交通はバスしかありません。そのような不便な環境であるにも関わらず、そこそこの繁栄をしていて中心部には百貨店や大規模な地下街まである。市役所には「市民権保護課」という何の仕事をするのか良く分からない部署がある。
主人公が住み着いて間もなく奇妙な現象が始まります。次第に外部との連絡が取りにくくなるのです。そしてある日遂に主人公は都市から外へ出られなくなってしまうのです。それどころか、市民は次第に外部世界への関心を失っていきます。やがて・・・
奇怪な現象の原因を説明するために、一種の情報宇宙論とでもいうべき(作品の中ではこういう言葉は使っていませんが)理論が展開されます。それが何とももっともらしいのです。そんな訳は無いと思いつつも、なんとなく引き込まれていきます。お勧めの作品です。
著者の半村良さんは『戦国自衛隊』など時間SFで有名ですが、SF以外にも幅広い作品を手がけていました。実際SF作家としては初めて直木賞を受賞しましたが、受賞した作品はSFではありませんでした(『雨やどり』1975年)。
半村さんの凄いところは、作品世界のロジックの「もっともらしさ」です。野田昌宏さんの「SFは絵だ」という言葉は有名ですが、私はこれに「もっともらしさ」を是非付け加えたいのです。
この『異邦人』という作品にも、もっともらしさが充満しています。
選挙違反の容疑を受けた男が逃亡の末に、ある地方都市に潜伏しようとする所からこの話は始まります。その都市は人口は10万人程度いるのですが、鉄道線路からは外れていて、外部との交通はバスしかありません。そのような不便な環境であるにも関わらず、そこそこの繁栄をしていて中心部には百貨店や大規模な地下街まである。市役所には「市民権保護課」という何の仕事をするのか良く分からない部署がある。
主人公が住み着いて間もなく奇妙な現象が始まります。次第に外部との連絡が取りにくくなるのです。そしてある日遂に主人公は都市から外へ出られなくなってしまうのです。それどころか、市民は次第に外部世界への関心を失っていきます。やがて・・・
奇怪な現象の原因を説明するために、一種の情報宇宙論とでもいうべき(作品の中ではこういう言葉は使っていませんが)理論が展開されます。それが何とももっともらしいのです。そんな訳は無いと思いつつも、なんとなく引き込まれていきます。お勧めの作品です。