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以前このブログでウクライナ情勢について書いた際に、ロシア・旧ソ連の作家ニコライ・オストロフスキー(1904-1936)の『鋼鉄はいかに鍛えられたか』(岩波文庫 上・下 1955年 写真は原書の表紙です。ソ連大百科事典から引用させて頂きました)を紹介させて頂きました。ウクライナ人の若者パーヴェル・コルチャーギン(愛称パフカ)がロシア革命下のウクライナでボルシェビキ(後のソ連共産党)活動家として成長していく姿を描いています。作者自身の経験が反映された半自伝的作品です。この本は、私が18歳の時に高校の同級生だった在日コリアンのA君のお父さんから頂いたものでした。その時一度読んでいたのですが、最近再読ました。この本は全部で約400頁もある長編で、第1部と第2部に分かれています。今回再読して分かったのですが、私は以前読んだときに第2部の途中で読書を中断していました。再読するまでは中断したこと自体も忘れていました。なぜ読むのをやめたかというと(思いだしたのですが)、1920年代前半から顕著になり始めたロシア共産党党内闘争の描写の中にトロツキー派を非難する件があったのでした。それで私は「ああ、この作者はスターリン主義者なんだな」と思って読むのを止めたようです。当時の私はスターリン主義批判とか、トロツキーの著書を熱心に読んでいましたから、もうてきめんに読書を続ける熱意が失せてしまったのでした。A君のお父さんには悪いことをしてしまいました。今回改めて通読して、作者のオストロフスキーは私が思っていたほど単純なスターリン主義者ではなかったことが分かって今は反省しています。(続く)