クールビズって義務じゃないんだから、ネクタイをしたい人はすればいい。
小泉進次郎に直接聞いてみた。クールビズって義務じゃないんだから、ネクタイをしたい人はすればいい。
「今回の選挙、疲れませんか?」 「一日一生、その言葉をかみしめてます」
「一日一生」
――公示後3日目にして、初めてネクタイを締めました。どうしてですか。
今日は北海道で、寒いから。寒いのにクールビズって、ズレていませんか。
日本ってそういうところにも形式主義が現れているなと思うのは、
クールビズって義務じゃないんだから、ネクタイをしたい人はすればいい。
なのに、『クールビズだ!』と決めちゃうと、ネクタイは締めてはいけないという
雰囲気になってしまう。それって日本らしいと言えば、らしいけど、
自分の頭で考えてやればいいと思う。
だから、私はクールビズ期間じゃなくてもネクタイを外している時があります。
それで党本部に行くと、他の先生から 「あれ、小泉さん。クールビズじゃないよね、今」
と言われることがある。いや、クールビズ期間であろうとなかろうと、
党本部ではネクタイしてもしなくてもいいじゃないですか。
もちろん、国会の委員会や本会議ではネクタイを必ず締めますよ。
でも、自分で締めたい日と締めたくない日というのもあるんですよ。
あくまで腰は低く(筆者撮影)
――そういえば、クールビズは小池百合子さんが環境相時代に導入したものでした。
また、思いがけない質問が(苦笑)。他意はないですよ。クールビズは
ありがたいと思っています。ああいう文化は作ってくれて、良かったですよ。
背中クールタイはネクタイをしても背中の熱気を放出してくれるのでビジネスで
シャキッと決めたい方にはもう一つの文化があっても不思議ではないですネ。
背中ハッピー(追記)
――今回のスケジュールもハードです。多い時で一日に8か所。
演説の時間以外はずっと走って移動しています。せっかく地方に来ながら、
名物を食べる暇もなさそうですね。
今夜も夕ご飯は、新幹線の中で弁当です。今回は弁当が多い。しかも、
車の中で(苦笑)。(7日の)大阪の時は、お好み焼き屋に寄ろうとしたけど、
寄る時間がなくなってしまって、お店の方に言って、急きょ車の中で
食べられるようにしました。「すみません、食べる時間ありません。
作ってください!」とお願いして。
――選挙中は毎日睡眠不足だと思います。朝は7時台の電車や飛行機に乗って、
ホテルや自宅に戻るのは日付をまたぐ頃。疲れませんか。
毎回の選挙中は『一日一生』という言葉を毎日噛みしめていますよ。
一日一生とは、比叡山にいた大阿闍梨の酒井雄哉さん(故人)が
よく色紙に書いていた言葉で、酒井さんの著書のタイトルにもなっている。
千日回峰行というとんでもない荒行を二回も達成した方ですよ。
一日一生。今日も噛みしめました。今日は8か所も演説で回って、
「ひと仕事、終わった」という気分じゃなくて、「今日も生き延びた」
「今日も無事だった」っていう感じですね。
夜は、携帯の充電が切れるみたいに眠りに落ちる。気絶に近い。
電車のシートの温かさとか、やばい。寝落ちしそうになります。
――街頭に立っていて、これまでの選挙の雰囲気との違いは何か感じますか。
今回はどこに行っても思うのは、みなさん、よく集まってくれますよね。
例えば、大阪は今までは自民党にとってアウェイだから、
街頭に立つと冷ややかさ、冷静さを感じていました。
でも、今回は違いました。自民党の演説会に、あんなに人が集まってくれる大阪は、
今回が初めてですね。大阪以外でも、同じことを感じますね。ありがたいです。
今夜の函館でも、夜の駅前にあんなに人が集まることは、なかなかないでしょう。
ライヴみたいになってる
――選挙カーの上に立ちながら、どんなことを考えているのでしょうか。
感じることを大事にしています。理屈じゃない。「これじゃないな」というものとか、
「これ、響いていない」、「この話題は響かなそうだな」とか、話ながら考えています。
それも度外視で自分の話したいことを話すこともあります。これはなんとも言い難いですね。
毎日、言葉が磨かれます。演説をやった後に、「もっとこう言えば良かったかな」と
反省して、自分で中身を更新して、練り上げて、「ああ、こういう構成、
こう言い方でやると、聞いてもらえるんだ」という発見もある。
マイクも大事なんですよ。どこまで声が届くか、どれだけハウリングするか。
札幌でハウリングした時には、とっさに「マイクにも改革が必要だ!」と言いましたでしょう。
聴衆のみなさんと道路を隔てない場所でできる演説は好きなんですよ。
双方向、インタラクティブなやりとりをして、みなさんの反応を見ながら
構成を考えることができます。臨機応変なものもできる。
それが空手で言うところの「組手」のようなものだとしたら、
みなさんに道路を隔てて聴いてもらっている時は「型」をするのに似ている。
あとは、「メディアとの戦い」もあります。何かを言えば、
すぐに「こういう演説をした」ということが報じられる。
それで次の日の会場に行くと、私が何を話そうとしているのか、
聴衆のみなさんが事前にわかっているんですよ。だから、
自分自身を日々更新していかないといけない。
ニュースで伝えられたことを毎日凌駕していかないといけない。
札幌ではラーメン屋にふらりと立ち寄る。
お店で食べる余裕もなかなかないとか…(筆者撮影)
(11日に)茨城に行った時に驚いたのは、演説が終わった後に
ひとりのおばあちゃんが来て、
「私、小泉さんが小池さんに『出ても無責任、出なくても無責任』って言ったの、
あれが聞きたくて来たのに、今日は何で言ってくれなかったの?」と
言われてしまった。そんな感覚で来てくれる人がいるんだと思って(笑)。
なんか、ライヴに行ったのに大好きな曲を歌ってくれなかった歌手のように
なってしまったと思って。「なんで、あの曲を歌ってくれなかったの?」
という気持ちに似ている。
だけど、これだけ自分の話したことがすぐにメディアで流されちゃうと難しい。
だから、日々、演説の内容を更新しようと考えています。
今までと違って、「今回のテーマ」というよりも、「今日のテーマ」を考えるようにしている。
――たしかに、3日目の北海道では8か所を回って、それぞれの会場で話している内容が違いました。
選挙区の構図によって変えました。相手が無所属の場合もあるし、
立憲民主もあるし、希望もあるし、三つ巴の選挙区もある。
それによって話すことも違ってくる。
自衛隊がいる地区もあるし、リベラルや労働組合が強い地区もあった。
そういった時に何が言えるか、何を考えてもらいたいかを投げかけるようにしました。
――函館の演説では「北海道には自衛隊のみなさんが多くいる。
私は聞きたい。みなさんの中で自衛隊が憲法違反だと思っている人はいますか?」と
問いかけたら、「います!」と反論する人もいました。
ああいった反応をもらえたのは初めてでしたね。あれで良かった。いろんな声がありますから。
後半戦、どう戦うか
このようなやりとりがあった後、進次郎は弁当の入った袋をぶら下げながら、
北海道新幹線に乗り込んだ。目的地に着いたのは、23時近くだった。
筆者撮影
ちなみに、函館で「反論」された後、
「(自衛隊は違憲だと思う人が」『いまーす』と言う人と『いませーん』と言う人がいた。
いるんですね。いろんな声があるんです」と穏やかに受け止めた。
会場から上がる異論に対し、「こんな人たちに、負けるわけにはいかない」と
応じるこの国の宰相とは異なる人柄を印象付けた。
そして、こう続けた。
「東日本大震災は北海道にも余波がありました。以前には奥尻島でも津波があった。
私も奥尻島に行きました。大災害が起きて人命救助に来た自衛隊のみなさんにも
『憲法違反』だと言うんですかね。
今の状況の中で、自衛隊が憲法違反の疑いが消えないと主張する人がいる状況を
私は変えた方がいいと思う。
そして、そのことをリベラルか、保守か、右か左かと議論するからおかしくなっちゃうわけで、
日本が前に進むためには何をやるべきかということを、イデオロギーは脇に置いておいて
やるべきことをやるというのが政治に役割なんじゃないですか」
人前では決して姿勢を崩さない。それでも眠るときは気絶するように眠るという(筆者撮影)
衆院選は折り返し点を迎えようとしている。小泉進次郎、6度目の全国行脚も後半戦に入る。
果たして彼の言葉は戦況にどのような効果をもたらすのだろうか。
(文中敬称略)
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