日月 *HIZUKI* 日記

 天然石、手作りアクセサリーのご紹介と店主の日記

映画日記

2018-11-06 | 日記
定休日にほとり座で神宮希林 わたしの神様を観ました。

もうずっと前になるのですが、樹木希林さんがインドの聖地を巡るという番組があって、希林さんの死生観を垣間見ることができました。

今回の映画は、70歳になった希林さんが初めて伊勢神宮に参拝に行くというドキュメンタリーと知って、更に深いお話が聞けるのではないかと…

ほとり座は、20席の小さな映画館。
追悼上映ということもあって満席でした。

冒頭は、希林さんの自宅の紹介から始まり、
着古した服で、拭き掃除をしながら
「物の冥利を考えて使う」
「自分の身を始末していく感覚で暮らす」
というお話をされて、それは伊勢うどんの老舗での女将さんの贈り物を断る徹底ぶりへと繋がっていました。

喜んでもらってもらえると思っていた女将さんが引かなくて、押し問答になるのが面白かったなぁ。
そのやりとりが、頑固にも意固地に見えずに、笑えてしまうのも希林さん。

そして映画は、希林さんのお伊勢参りと式年遷宮までの様子を追いながら、日本人の祈りを見つめます。

伊勢神宮で手を合わせ一心に祈る人達。
海にお供えものをして、手を合わせる海女さん。
木に祈りを捧げて切り出す木こりの方。
震災の爪痕の残る仙台で、小さな拝殿を建てて、怒りを悲しみに変えて祈る人々。

日本人にとって、祈りとは何だろう?

「あまりにも しずけきかみぞ ちぬられし てもてつぐのを すべをおしえよ」

私が一番心に残ったのは、この短歌の作者である歌人・岡野弘彦さんと希林さんの対談でした。

終戦で自戒の念に駆られた岡野さんが伊勢神宮に参拝し、自分はこれからどうしたらよいのかと神さまに問いかけた時のことを詠まれた短歌です。

神さまは、何も言ってくれない…というのが答えでした。

「あまりにも しずけきかみぞ」という言葉には真実があると思います。

一心に祈るほど、邪心は消え静けさと受容がやってきます。

ラストシーン。
願い事はしないという希林さんが、新しい内宮に手を合わせた時、一瞬風が吹いて白い布がふわりと舞い上がりました。
まるで少女のように嬉しそうな顔。
美しかったです。

希林さんのご冥福をお祈りします。


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2018-11-06 | その他の商品
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