KHさんの県展制作

KHさんが、港の風景に挑戦してくれました。
ご主人の生まれ故郷の風景だそうです。リクエストに答えて描いたそうです。
やや構図に心配がありますが、そういうリクエストなら、それで描きましょうということになりました。



白い物が多いので、明暗のコントラストが少なくて難しい感じです。
右奥の建物が、手前のものより目立つので、隠すとすっきり見えます。
絵としては、その部分を霞ませて、描けば良いのですが、そうすると尚更白っぽい絵になってしまいます。
今の段階では、この部分だけ見ると素敵なのです。
だから、もう一つの方法は、手前をもっと強くする方法ですが、それには、光を考えて明暗のコントラストが必要です。
ただ、本人は、この日はぼんやりしていたので、あまり影が感じられなかったのだと言います。

勝手に想像して描くのもできないので、と言ってました。
確かに良く分かっている人が描かないと、手落ちが一杯できる可能性はありますね。

私は、思いきって、右奥の建物を取り去って、遠景の風景画繋がっているようにしてしまう方法はどうかと話しましたが、
ご主人の思い出の道なので、そういう乱暴なことはできないということでした。

それと、この場所は今回の被災地でもあるので、いま、港がこのような状態では無くなってしまったということです。
で、あれば、尚更この風景のまま残したいですよね。

Hさんの県展制作

Hさんが、完成しました。
この絵は、左からの強烈な光がテーマなので、それを出すように描いてくれましたが、
私は、このタイプの絵は、ワイエスのような表現が頭に浮かぶので、それを意識してやってみてくださいと
話していました。なかなかワイエスのようには、行きませんね。

でも、蔵の絵をシリーズでやっていて、そろそろテーマを変えないとということで、
自分で探してきたので、よく頑張ったと思います。
完成度はあると思います。空間もよく捉えています。木がやや平凡なので、どうかなと思っています。

Nさんの県展制作 完成

Nさんが、もうギブアップですと言ってから、苦労に苦労を重ねて、なんとか完成させました。

最後まで気になったのは、花の形が三角形になること、トップを削ると丸い感じになること、
どちらにしても形が良くありません。花が中央にあるので、左に元々はなかった大きな黒っぽい木を加えることから始めたので、
そこから工夫が始まりましたが、どうしても花を引っ込めることができませんでした。
やり直した時に、花を描くときは、少し描いては下がって見て、また少し描いては下がるということを繰り返して、多すぎないようにと話しましたが、やりすぎてしまいました。
それで、描いた花を弱める作業をいろいろやりました。

最後にいろいろ変えたことが、あります。

１、左の奥の木が強いので、後ろに下がらせる。
２、手前の積んである木の根っこなどが、直角三角形になっている。
３、その色が紫色で、嫌味な感じがする。
４、草の表現をもっと自然に見せる。

このようなことを考えて、最後はやりました。

直す前は、このようでした。



良い答えはいくつもあって、どのようにするかは画家の考え方次第ですが、ダメな答えもたくさんあるので、
そのダメな答えにしないことが重要なのです。