絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

県展指導を振り返って 2

2011-05-17 | 絵画指導
私はテーマと構図が良くないと、絵を始めさせないとお話しました。
このテーマについては、今まで語らなかったこととして、もう一つ注意事項があります。

それは、画家のアイデンティティということです。

MNさんは、人形の絵ばかり描いています。一度上手く行ったので、二匹目のドジョウを狙ってと言われるかもしれませんが、
一人の画家には、それなりのテーマを持たせて、前回に描いた絵の発展というような形を取るように指導しています。
一枚描いてみたら、そこでの問題点を見つけた。そのため今度はこのようにしてみたという感じです。
それは、画家の工夫として受け止められます。
事実、やっている内に、こうなったらどうだろうと思いつくことはあるもので、その絵ではできないことを思いつくものです。
だから、それは、次の絵の課題にしてみたらどうですか?ということがあるのです。

しかし、あまりに同じものばかり描いていると、しかも絵が良くなっていかないと、マンネリとして受け止められ、二匹目のドジョウを狙っているなと思われてしまいます。だから、ある程度続けたら、次の新しいテーマを見つけないといけないとも思います。MNさんの場合は、人形を変えました。
これも、日ごろから絵になる物はないかと探している内に、見つけた新しい人形です。
人形を変えると顔が違いますから、人物画で言えばモデルが変わった状態になります。
また、衣装が違いますから、また違った感じになるでしょう。
組み合わせる他の物も、変える必要が出て来ます。

そんな風に、工夫が必要になります。しかし、この絵はあの人の絵だなと分かることも重要なのです。

初めて見るセザンヌの絵でも、ああこれはセザンヌの絵だなとわかります。それは、セザンヌというアイデンティティがあるのです。そうなったらしめたものです。それをその画家の個性というのです。

私が教えている方たちのテーマは、みんな他の人とは違うものを追究させていますが、それと同時に同じテーマで3年くらいは続けて描かせています。
そして、その間にも次のテーマの取材を続けて、新しいテーマに取り組む時は、かなり練られていると良いと思います。
今回、石膏の静物を描いたESさんは、昨年がビーナス像でしたが、今年はメヂチ像です。二年間ランプのある静物を描いて入選し、昨年が石膏でした。ことしは石膏の二年目です。

こんな風に、一つのテーマを二年か三年くらい続けるように指導しています。ESさんは、そのランプのある静物を他の展覧会にも出しているので、二年で変わりましたが、作品は3点以上描いていると思います。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンガルー

2011-05-17 | 読書
井沢元彦さんの逆説の日本史を読んでいたら、面白いことが書いてありました。

オーストラリアでの会話で、欧米人が原住民に面白い動物がいたので、あれは何という動物かと尋ねたら、原住民の人がカンガルーと答えたそうです。
それ以来、その動物はカンガルーという名前になったそうです。

この話、どこが面白いの?と思いますよね。

実は、このカンガルーという言葉は、「私は知らない」という言葉なのだそうです。
その原住民の人は、その動物の名前を知らなかったので、そう答えたのです。
原住民の言葉がよくわからなかったため、欧米人がその言葉を動物の名前だと勘違いしたのです。

と、書いてありました。
面白いでしょ。

ーーーーーーーーーーーーー
この話は、日本が最初「倭」と言われたことについての例として、出ていました。
倭とは、どうしてそのように言われたのかという考察です。

中国の文献に倭が出てくるけれども、その言葉は、おそらく日本に来た中国人が原住民に聞いて、わと答えたのに、倭という漢字をあてはめたのだろうという考察ですが、果たしてその答えた原住民が国ということをどうとらえたか?カンガルーと同じようなことがあったとしてもおかしくはない。という例でした。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする