睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

農耕民族の懐かしい原風景が失われていく

2018-08-01 12:15:34 | 時事・世相・昭和~令和




広い畑の一画に朽ち果てた鶏舎がある。

反対側にトタン板が風に揺れる牛舎と崩れかけのサイロがあった。
コケコッコーの鳴き声で起き、モォーモォーで餌を催促される、
そんな往時が偲ばれる懐かしい原風景だ。

ここんちの爺様は毎朝3個の生卵とコップ1杯の牛乳を飲んでいた。
さぞかし頑強なガタイで馬車馬のように働いたんだろう。
92歳の天寿を全うした爺様が鬼籍に入って20有余年、
跡取りが農耕を放棄したので鶏舎も牛舎も朽ちるばかりだ。

爺様はよく文句を言っていたと

「俺らはこの地に親の代から住んでいる。
あとから来たよそ者に鶏糞のにおいをなんとかしろとか、
牛のなき声がうるさいとか、とんでもない話だバカ野郎」

うん、うん、よく分かる。
爺様が生きていれば相槌を打てたのに...。

信金に勤めている跡取りの長男はぼくらの麻雀仲間のひとり、

焼鳥屋で酒を酌み交わす飲み仲間でもある。
前に彼を迎えに行ったとき、庭の芝生の真ん中に小さな砂場と
おもちゃを見つけた。

よちよち歩きの孫のために作ったそうで
孫は特別に可愛いと云う。
写真を見せながら3人の孫を紹介する爺バカチャンリン、
うちは孫いないんだけどww

彼の息子も百姓をする気はないとのこと。
二代農地の継続がなければ畑は荒れて野原に戻る。
農耕民族の日本の源流はどこに流れて行くのだろう。

そう思いながらわが身を振り返れば、
親が残した山の家は
なんとか維持しているが、
両親が丹精込めた畑はタダで人に貸している。

雑草が生い茂ってご近所に迷惑をかけたくないが本音。

これからもっと少子高齢化が進むと彼やうちみたいな
農耕放棄の世帯が当たり前になっていく。

これからの日本の舵取りはたいへんだ、
頼むよアベちゃん。


 


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