もう何年まえだろうか、子供達上2人の就職が決まり、それを私の母がこだわってお伊勢さんに参ろう、祈願しようと言い出した。
私の母は愛知県豊橋で生まれ育ったので、お伊勢さんには子供の頃からよく連れていかれたらしい。名古屋弁とは違う三河弁で今でも「食べりん」とか言う。
車での長旅で東名で愛知県まではすいすい行けたが、そこから三重県の伊勢までは近いようで意外と遠かった記憶がある。
伊勢神宮には外宮と内宮が離れた場所に広大な敷地で存在している。
外宮を参拝した後に内宮に行った。
外宮より内宮の方が断然に広くて驚いた。いくつも鳥居をくぐりその際のルールを守って参拝して来た。
外宮を参拝した時は、明治神宮参拝のような雰囲気でそんなに特別な気持ちは湧いてこなかった。が、内宮は全然違った。
周りが森に囲まれ凛とした空気感が漂う。
あれ?なんだろう、この締まった緊張感ある空気は。私は無宗教だし信心深くない人間だが、これまで感じたことのない何かを感じ取った。
よく言葉では説明できない感覚に浸り、とにかくこれまで生きられたことに感謝する感情が湧いてくる。自分の子供のことより自分の先祖のこと、どこからやってきたのか、ずーと繋がってきた命に感謝するみたいな気持ちだった。
内宮を出たらお土産やさんの通りが続いて沢山のお店があった。
驚くほど古い歴史あるお店がいくつかあって、たかが饅頭かもしれないが早朝作り立ての赤福は素朴で素晴らしく美味しかった。
歳を重ねてキャリアも良くも悪くもいろんな経験をして気付くことが人生にはある。若いから気付くこともあれば、歳を取ったから気付くこともある。
まだもう少し生きさせてほしい。