猪突猛進 鈴木研究室へようこそ

関西医療大学大学院 教授である鈴木俊明研究室の紹介や鈴木が日頃考えている教育・臨床・研究への思いを熱く語ります。

セラピストは動作解釈ができないといけない。医師から信頼されるセラピストとは!!

2016-10-04 23:44:20 | 日記
先日のある医師(リハビリテーション科医、神経内科医)との会話です。
講演会、学会で私と医師で司会、座長をした時の話です。

運動療法をして、運動療法前には下肢装具装着であったものが、装具外せるようになった。その要因が、脳機能が改善したからである。

まず、運動療法後の装具を装着しない歩行は、足関節底屈位で膝関節は過伸展位である。ビデオをみていて、怖い、これでは明らかに関節炎を引き起こす。装具を外せたのではなく、勝手に外したわけです。

そして、その効果(??)が脳機能が改善したという短絡的な考察。考えの中に、機能障害レベルの考察が全くないという始末です。

医師は「セラピストはこれを言い出すと信用できないんだよね。鈴木先生、やはり正しい教育ですよ。」といわれました。本当です。

私は誘発筋電図を用いて脊髄神経機能の興奮性を検討しています。例えば、運動療法を行なって改善したとしても、脊髄神経機能が改善したとは怖くて言えません。

私の昔の研究で、脳血管障害片麻痺患者の持続的筋伸張における脊髄神経機能の興奮性を検討した論文があります。

Characteristics of F-wave in different stretched position of the affected arm in patients with cerebrovascular diseases. Electromyogr and Clinical Neurophysiol 43:97-101,2003

Effect of continued stretching of the affected arm in patients with cerebrovascular disease by examining H-reflex characteristics. Electromyogr and Clinical Neurophysiol 43:51-56,2003

Characteristic appearance of the H-reflex and F-wave with increased stimulus intensity in patients with cerebrovascular disease. Electromyogr and Clinical Neurophysiol 42:67-70,2002


これらの研究でも1分間の筋伸張は、伸張中は脊髄神経機能の興奮性は抑制されますが、伸張後は急激に伸張前の状態に戻ります。良い症例でも伸張後1分間くらいしか効果は持続しないのです。

こういう結果を知っているから いい加減なことは言えないわけです。


我々セラピストは動作分析ができる専門家でなくてはいけません。まずは運動学的な解釈が必要になるわけです。

機能障害を改善させることでADLを改善させる。これが’絶対に大切になります。運動学的な解釈がきちんとできるこれがセラピストの醍醐味です。

また、先週金曜日、土曜日に開催されていたボツリヌス治療学会で座長をさせていただきました。
参加された方々から、医師とセラピストの融合がある素晴らしい学会であるという投稿もありました。

しかし、この学会のなかでセラピスト主導型のボツリヌス治療のような発表がありました。これはボツリヌス治療する部位をセラピストが主治医に提言して医師とともに治療をしていくというものでした。

成功している施設のセラピストは、動作分析能力が高いということになるとおもいます。しかし、全てのセラピストに同じことはできませんよ。

治療する場所を間違ったら全く改善しないですからね。 私は「怖さと、大きな不安」を感じて帰阪しました。

セラピストはまずは動作分析です。