本を買いに本屋さんに行くと、ルール本が多くて閉口します。
ルール本といってもゲームのルールや攻略本とかではなく、人生や仕事についてのルールの本です。
「成功するための15のルール」とか、「お金持ちになるための5つの習慣」とか、そういうたぐいの本を私は勝手に「ルール本」と呼んでいます。
人の行動や社会の仕組みなんかを簡潔にして、ルール化していこうというあらゆる取り組みは私を萎えさせます。
理想形を作ってそこに導いていくような考え方も私を冷めさせます。
そんなルール本嫌いな私が面白かったのがこれ。
長谷川英祐著「働かないアリに意義がある」です。
働きアリやミツバチというと働きづくめというイメージがありますが、動物行動学者の長谷川先生によると、働いているのは3割だけで残りの7割は休んでいて、その中でも1割は一生働かないというのだから驚きです。
また働く3割のアリを取り除くと働かないアリがすぐに働くようになったり、働かない1割のアリを取り除くと働くアリが働かなくなったりするというのですから更に驚きです。
要するに、アリやハチの世界では種の生存の為に働かない者を一定割合用意するというきちんとした仕組みがあって、その仕組み故に社会(種)が存続してきたということなのです。
興味深い更なる理由については本書に譲るとして、私が面白いと思う事は、なんという生物社会の複雑さよ!ということです。
こういう深遠なる仕組みが他にも沢山あって、それらが入り組んで、複雑に絡み合って人間を含む生き物や社会が形成されているということに感動を覚えます。
得てして目先の効率主義や成否に目を奪われがちですが、本当に有益なもの本当に必要なものは、一般に無駄と言われているもの、駄目とされているものの中にもあるのではないかという深い視点を私たちに与えてくれます。
決していくつかの少ないルールで束ねてしまってはいけない、簡単に良し悪しの評価を下すことなんかできない人間や社会があるということを教えてくれるオススメの1冊です。(了)
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