山田太一著『親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと』を読みました。
普段は育児や子供の教育論的な本はほとんど読まない私ですが、久しぶりに大学生の娘とガツンとぶつかり合った後、本屋に行ったらついふらふらっと買ってしまいました。
しかし、これが良かった。名著でした。
「親が理想型の基準を持たなければ、それぞれの子どもが持っている豊かなものに気付くことができる」「闇の部分が子供を育てる」などなどハッと気付かされ、グサッと胸に突き刺さる言葉が続きます。
「理解し合うのがよき関係だという思い込みは一種の近代病」「目先の有用性にととらわれ過ぎてはいけない」など著者の視線は子育てを通じて更に社会を深く見通していきます。
そして何よりそれらが全然説教臭くなく、著者の優しい言葉、柔らかい視線で書かれていて読み終えると静かにエールを送られたような温かな気持ちになります。
読後、娘に私は自分の非を素直に詫びることが出来ました。
子育て中の方はもちろん、誰が読んでも多くの示唆が得られる名著と思いますので、是非たくさんの方に読んでもらいたい一冊です。(了)