あくまで私論ですが、いわゆる「脳トレ」なるものは「水が音楽を聞いている」というようなものと同類のニセ科学で、そのことはみんな承知だけれども、TVゲームだからまあいいかと思って許しているのだと思っていました。
しかし、このところの「脳トレ」は、どうもそういう性質のものでは無くなって来ているようなのでびっくりしています。公的な機関や大学の先生なんかが共同して「脳トレで認知症予防」などをしているのをみると驚きます。
短い文章では意を尽くせませんが、やっぱり私は「脳トレ」はニセ科学だと思うし、「脳トレ」では認知症を予防できないと考えています。むしろ「脳トレ」での認知症予防は、認知症に対しての誤った考え方や恐怖心を煽ることになっていると考えます。
そもそも認知症も障害も介護も、予防することが大切な事柄なのか考える必要があります。
最近、産婦人科医の大野明子さんの書いた「子どもを選ばないことを選ぶ-いのちの現場から出生前診断を問う」という本を読みました。この著書の中で、大野さんは障害児の発生予防として行われている出生前診断の非を論じられていました。予防しないことの大切さを説いているのです。
大野さんの意見は、福祉の理念に合致します。障害児の発生は予防(堕胎)が大切なのでしょうか?。予防しても防げなかった結果、あるいは予防を怠った結果が障害児の誕生ですか?。完全に予防できるようになることが良い社会ですか?。
認知症の発生のことも含めて、私達は改めて考える必要があると思います。(了)