こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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あちらの世界って信じます?

2008-12-25 23:44:43 | 訪問看護、緩和ケア
昨日、今日と3人の患者さんが旅だちました。
退院してきたときは、あと数日かなと思われる状態でしたが、皆さんとても頑張られました。ご家族も、本当によく看られて、それぞれ精一杯一緒の時間を大切に過ごされたと思います。
Yさんは、大好きなディズニーランドに行ってきたし、Oさんは、血圧が60に下がっても、ご本人の「自分でトイレに行きたい」という思いをかなえるために、ご主人が何度でも抱えて連れて行きました。最後はご主人の腕の中で息をひきとったそうです。
それから、私がお見送りしたおばあちゃんは、食べるのが大好きで、イレウスの状態でしたが、おじいちゃんが家族に内緒で食べさせているのを皆で見て見ぬふりをしていました。もちろん、結局吐いてしまうのですが、本人も食べたいし、おじいちゃんも食べさせたいのだから、「ダメ!」と言うより、納得するまでやってみればいいわけです。だって、家にいるんだから。
食べれば吐いて苦しいことがわかって、それでも食べさせて、本人も食べて、むせてしまったけれど、そこでおじいちゃんも本人も「もういい。わかった」と納得。
おじいちゃんに至っては「もう、思い残すことはない。いつ逝っても覚悟はできた」と腹をくくれて。息子と嫁はやさしくそれを見ていましたよ。
3人とも、本当に良いお別れでした。
それぞれの人生を精いっぱい生きてこられたのですね。本当にご苦労様でした。
おばあちゃんは、三味線と民謡が好きな粋なおばあちゃんで、「私が死んだら、これを着せて」と言っていた萌黄色の素敵な着物を着せました。とてもきれいでかわいらしくて、おじいちゃんは「きれいだね」と言ってぽろぽろと涙をこぼされていましたっけ・・

この仕事をしていて、よく思うのですが、患者さんが亡くなるときは、何故か次々と亡くなってしまいます。
もしかしたら、やっぱり死後の世界があって、同じステーションを使ったよしみで、声かけあって一緒に行くんじゃないでしょうか。
不思議なくらい、同じ時期に連れ立って行かれるように思えます。
船が、出るのかもしれません。
それに、逝かれる時期も、ご家族の都合や、周囲の都合なども考えていい時期を選ばれて逝くような気もします。
残されたご家族の気持ちも考えているような事もあるし・・・

夏ごろ、どうしても近所を散歩したいという患者さんがいて、時間がない事がわかったので、依頼があったその日に訪問して、翌日散歩にお連れしました。
彼は、すでに呼吸状態も悪く、痛みも強かったのですが、朝の4時頃から楽しみに待っていたということで、酸素をもって、オプソをもって、さらにクッキーやら傘やらいろんなものを持って出かけました。小雨が降っていたものの、すぐに止んでくれました。彼のもう一つの望みは、写真を撮る事でした。
息子さんの買ってくれた一眼レフのデジカメを胸に抱えて、車いすの上でも頭を起こしていることができないほど弱っていたのに、下瀬谷の川沿いの道で、おもむろに体を起こしては、何枚かの写真を撮りました。
その時、奥さんとも私とも写真を撮って、3人で撮れいることを確認したのですが・・・
(彼とは、連休を挟んだ3日後に、次の散歩の約束をしていましたが、残念ながら約束の日の朝方、旅立ってしまいました。)
後日、奥さんより、「あの写真、一枚も撮れてなかったのよ。カメラ屋さんに持っていっても、どこにも残っていないって。でも、あの時はちゃんと確認したのにね」とのこと。
「きっと、お父さん気に入って持って行っちゃったのよ。」
みんなでそう話しました。きっとそうです。

だから、今頃は、きのう亡くなった3人もいろんなおしゃべりをしながら、連絡船に乗っているんじゃないでしょうか?
それぞれの家族のじまん話に花を咲かせて。