こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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戻りたいけど、戻れない。

2012-09-01 22:51:52 | 訪問看護、緩和ケア
ずっと、病院に通院して治療していても、入退院を繰り返していても、通院が厳しくなれば、どこかで施設や療養型の病院、それも嫌なら在宅を選ばざる得なくなります。

大きな病院であればあるほど、在院日数を減らすことに躍起になっていますし、急性期の患者さんがどんどん運ばれてきますから、慢性期の患者さんはいつの間にか押し出されてしまいます。

でも、患者さんは長年信頼して診ていただいた病院と離れるのはすごく不安だし、いったんは離れても、何かあればまた診てほしいと思うのは当たり前です。

でも・・・これがなかなか難しくなっているのが現状です。

多くは、在宅で往診医が診るようになりますが、病状に変化があった時、入院が必要になったとき、往診医からもと診ていた病院にお願いしても「ベットが開いていないので入院はできません。」と言うことがよくあるのです。

だからと言って、一概に病院を責めるわけにはいきませんよね。
急性期の患者さんがどんどん入れば、物理的に満床になるわけで、空きがないところに無理やり入れろと言っても、それは難しい話です。

なので、実際は往診医がつこうが、外来に通院しようが、ベットが開いているかどうかは、くじ引きみたいなものなのでしょう。

「ずっとかかっていたのに、よそに回された。」「病院に戻りたいけれど、戻れない。」
そんなことがしばしば起きてくるわけです。

ただ、これも病院のシステムや医師の考え方で随分と変わってくるようで、同じ病院内でも科によって全然対応が違ってきたりします。

逆に、「具合が悪くなったらすぐに病院に戻ってきてください!在宅では無理だから、最後までここでみます。」と在宅看取りご希望のご家族に繰り返す、有難迷惑のような病院もありますから、この体制の違いは私たちにはよくわかりません。


ただ、このことで一番困るのは患者さんなわけで、患者さんがアッチコチふり回されるのは、本当にどうにかしてほしいですね。

これからの動向としても、在宅療養に移行する人はどんどん増えていくようです。

末期がんの患者さんだけでなく、ほぼすべての病気の患者さんが、在宅で療養するわけですから、入院が必要なとき、希望された時の受け入れ先も整備することが、これから必要なのだと思います。


ちなみに、現在の在宅死亡者数は17.2万人で、うち訪問看護ステーションでの在宅看取りは2.5万人、つまり訪問看護ステーション自体もあと7倍必要ということになります。

これが2030年には約170万人となり、施設系が整備されても在宅死亡者数は26万人と、現在の1.5倍になると予測されています。

この人たちを含め、在宅療養をしているすべての人が、必要なときに必要な場所で、必要な治療を受けれられるような地域を作らなければ、日本の医療に未来はないような気がします。