隊長が観賞した「テレビ番組」を紹介するシリーズの第449回は、『中国ドラマ 「君、花海棠(はなかいどう)の紅(べに)にあらず」』をお送りします。
『君、花海棠の紅にあらず』 (原題:鬓边不是海棠红、英題:Winter Begonia)は、今年の5月19日から 毎週月~金曜日 夕方5時00分~6時00分に、BS12で放送されていた中国ドラマです(日本でのテレビ放送は初)。日本語字幕放送。全49話。
尚、「隊長のブログ」で紹介した、華流(中国・台湾)ドラマの一覧は、こちらをご参照下さい 。
「鬓边不是海棠红」の中国での初回放送は、2020年3月20日から、動画配信サービス「爱奇艺(iQIYI)」でした。
プロデューサー:于正(ユー・ジョン)。監督:恵楷棟(フイ・カイドン)、温徳光(ウン・ダーグァン)。 脚本:水如天児(シュイルーティエンアル)。
主演は、黄暁明(ホァン・シャオミン)と、尹正(イン・ジョン)。
ホァン・シャオミンさんの出演映画は、2019年日本公開の 『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ』 と、
同じく 『The Crossing -ザ・クロッシング- Part II』 を、取り上げています。
この連作で、中国国民党の将校・雷義方(レイ・イーファン)役を好演しています。
また、ホァン・シャオミンの配偶者は、中国ドラマ 『摩天楼のモンタージュ』 などに主演し、アジアNo.1美女との呼び声もある 楊穎(アンジェラベイビー) さんです。
共演者:余詩曼(カーメイン・シェー)、檀健次(タン・ジェンツー)、米热(ミーラー)、劉敏(リュウビン)、李澤鋒(リー・ザーフォン)、金士傑(チン・シーチェ)、唐曾(タン・ツェン)、ほか。
あらすじ:物語舞台は、1930年代の中国北平(ほくへい:現在の北京)。京劇の人気俳優の商細蕊(イン・ジョン)は、気性が激しく頑固なため、同業者の中に京劇協会会長・姜荣寿(チン・シーチェ)を始めとして多くの敵を抱えていました。
ひょんな理由で商細蕊の舞台を見ることになった豪商の程鳳台(ホアン・シャオミン)は、客に難癖をつけられている細蕊を救います。その夜をきっかけに、二人は友情を育んでいきますが、鳳台の妻・范湘児(カーメイン・シェー)は、そんな夫の変化を快く思っていませんでした。
そんな中、日中戦争が勃発。過酷な戦火の中、更に二人の絆は深まっていきますが。。。
感想:日本人はもちろんですが、中国人にとってもそれほど馴染みのない、伝統芸能である京劇の世界を描いた作品。さらに、中国近代史を描いた歴史ドラマであるにもかかわらず、中国では2020年上半期人気ドラマランキング1位と視聴者に指示されました。
そして、第26回上海電視節(テレビフェスティバル)では最優秀中国ドラマ賞のほか、脚色賞、撮影賞、美術賞にノミネートされるなど、テレビ業界でも高く評価されてきた作品です。日本人にとっても、面白くないはずがありません。
歴史ドラマですが、セット、衣装、小道具まで、時代考証をしっかりとしているのが窺えます。撮影は、浙江省金華市にある中国最大規模のオープンセット「横店影視城」で2018年12月から行われました。
建造物だけでなく、雨の日のシーンでは、舗装されていなかった当時の道路事情をうかがわせる様に、道路は泥だらけで、水たまりが出来ているなど、細部まで目配りをしています。
第11話では、程鳳台(チョン・フォンタイ)から商細蕊(シャン・シールイ)への手土産が、RITZの縦長のクッキーの缶を登場させるなど、当時の風俗・文化の映像にも手を抜いていません。
撮影開始から初回放送まで一年強。BS12での放送は、CMが入って1時間で全49話ですが、「爱奇艺」の配信では、CMなしで45分、49話。NHKの大河ドラマなみですが、制作費はおそらく大河の10倍以上かけているのでしょう。
ホァン・シャオミンさん演じる程鳳台。気骨稜稜の実業家にピッタリです。こういう人が、京劇役者のパトロンとして存在していたのですね。
京劇の女形と言えば、映画『さらば、わが愛/覇王別姫』 でのレスリー・チャン(張 國榮)を思い浮かべてしましますが、イン・ジョンさん演じる商細蕊も負けず劣らずの色っぽいです。
キャスティングでも、主演の二人だけでなく、レギュラー出演者にも実力派俳優を揃えています。
李澤鋒(リー・ザーフォン)さん、『月に咲く花の如く』 では、一途に主人公の周瑩を想う、王世均を演じていました。本作では、真逆の自信に満ちた戯曲作家の杜洛城(ドー・ルオチョン)を演じています。
さらに、毎話登場するわけではないゲスト出演者も豪華です。
例えば、「愛される花」 の檀健次(タン・ジェンツー)が、ライバル役者・陳紉香(チェン・レンシャン)役で登場します。
また、第15話から匪賊・古大犁(グー・ダーリー)役で、黄聖依(ホアン・シェンイー) が、出演しています。
陆虎の歌うオープニング主題曲「鬢邊不是海棠紅」。王一哲の「此生此時」と許靖韻の「假戲真意」の挿入曲。信のエンディング主題曲「此生」。これらの曲も素晴らしいです。
全体的に素晴らしいドラマですが、気になるのは、登場する日本人の描き方です。第34話から登場した、日本から来たという設定の歌舞伎役者。名前が、“雪之誠” と歌舞伎俳優とは思えない名前だし、踊りを披露するのですが、衣装も踊りも滅茶苦茶です。
また、登場する日本兵も、ステレオタイプの描き方です。セリフのない兵隊くらいなら、中国人のエキストラでも良いですが、歌舞伎役者や士官兵は、日本人を起用して欲しいものです。
放送を観ていて、歌舞伎の世界のことを “梨園” と呼びますが、京劇の世界も “梨園” と名づけていることを知りました。というか、京劇の “梨園” の言葉がそのまま歌舞伎でも使われるようになったのでしょうね。
ここまで、隊長のブログを読んで『君、花海棠の紅にあらず』を観たくなった方に朗報です。明日・12月29日(水)からBS12で再放送がスタートします。放送時間は、毎週月~金曜日 あさ 7:00~7:57です。
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