隊長が読んだ「本と雑誌」を紹介するシリーズの第65冊(回)目は、『近藤富枝 「本郷菊富士ホテル」』をお送りします。
『本郷菊富士ホテル』は、竹久夢二、坂口安吾、宇野浩二、広津和郎ら、数多くの作家・芸術家・政治家・研究者たちが止宿し、数多くの名作を生み出したホテル(高等下宿)の全容を描く、大正文学側面史です。
著者の作家・近藤富枝さんは、1922年8月19日、東京日本橋生まれ。東京女子大学を戦時のため繰り上げ卒業し、文部省に入省。後NHKで女子アナとなりますが、終戦を機に退職。約18年の主婦生活ののち、文筆活動に入ります。婦人雑誌のルポライターとして活躍の後、最初の著作である『永井荷風文がたみ』を執筆。
以後、『本郷菊富士ホテル』などのノンフィクションや小説のほか、きもの関連、王朝継ぎ紙関連などの多くの著作を上梓。武蔵野女子大学元教授、財団法人民族衣裳文化普及協会理事、王朝継ぎ紙研究会主宰などを務めました。2016年7月24日永眠。享年93歳。
近藤富枝さんの半生は、1981年度後期NHK朝ドラ 『本日も晴天なり』 の題材になりました。ヒロインの桂木元子(近藤富枝)を演じたのは、原日出子さんです。
東京都文京区本郷に住む隊長が、昭和二十年三月まで東京府東京市本郷区本郷菊坂町(現・東京都文京区本郷)に実在していた「菊富士ホテル」に興味を持ち始めたのは、近隣を散策中に、「本郷菊富士ホテル」の跡地に建つ記念碑を、偶然見つけてからです。
(2022年8月撮影)
また、何回か書いていますが、実家が以前、本郷で旅館を経営していた からです。
感想:近藤富枝さんの叔母の羽根田延子さんが、「菊富士ホテル」経営者・羽根田幸之助さんの長男・羽根田冨士雄さんの妻だった関係性だけでは、これだけの物を書くことは、出来なかったと思います。
長年のルポライターの経験を基に、綿密な取材・調査を重ねた結果が、菊富士ホテル研究のバイブル書と言える本書を生み出したのでしょう。
さらに、上述した著名な文化人だけでなく、ニコライ・コンラドとニコライ・ネスフキーと言う同ホテルに滞在した二人のロシア人にも、紙幅を割いています。
文庫版『本郷菊富士ホテル』の発行は、中央公論社。初版刊行日:1983年4月10日。ページ数:245ページ。価格は、649円(10%税込)です。
尚、「菊富士ホテル」に関しては、これまで 『大森匂子「本郷菊坂菊富士ホテル」』 と、
『本郷に実在した「文化人版トキワ荘」菊富士ホテル』 で、取り上げています。
==「本と雑誌」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/dc30502bb229b843454e38b8994f9be0
1~50冊 省略
51冊 2020/4/4 『池波正太郎 「男の作法」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/945a81aa7409b9ecefbf75361d165c6d
52冊 2020/6/25 『芥川竜之介紀行文集』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/dadeedca3e5e80fc1250d72fa6c18a80
53冊 2020/7/23 『池永陽「コンビニ・ララバイ」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/0ded21bfc2a8aa3b71308f512f78b768
54冊 2020/7/30 『大人の御朱印 50にして天命を知る』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9df94033c4eaeeb20caa1d1f65006681
55冊 2020/8/22 『大森匂子「本郷菊坂菊富士ホテル」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a9ef620a7829e24f2ac1f43015aed4e8
56冊 2020/10/30『遊遊漢字学 中国には「鰯」がない』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b65869eec26cab46eea5af93f449be35
57冊 2021/3/12 『ドナルド・キーン わたしの日本語修行』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/1ac42b8270d7d14ff22a0db4a5d03259
58冊 2021/5/7 『1964年と2020年 くらべて楽しむ地図帳』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/230a1542e0bd16e8759e007624fe478e
59冊 2021/8/14 『よりぬき サザエさん No.6』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f970dde5d6e47e223fad4de21b378387
60冊 2021/8/27 『土地の記憶から読み解く早稲田』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5b357a1bd07b0e31edd68769dda624f5
61冊 2021/10/8 『湯島天神坂 お宿如月庵へようこそ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/303f6c324ffdaa96df0bb8cca3c74382
62冊 2022/1/16 『ちあきなおみ 沈黙の理由』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/cdbfd87565b7dcf7ab95b93aadd7af3f
63冊 2022/5/11 『閉店間際の三省堂書店本店で地図帳を購入』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c73d0019eae262929eb4e6c4ee03dbbd
64冊 2023/5/26 『池波正太郎「男の作法」漫画版』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c6cd406b9aa2dcbfea8319f2bf974d51
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