ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

K.070. ジョッキ Caneca

2018-12-12 | 飾り棚



直径 12cm 高さ 14cm San Pedro Corval窯

 大ジョッキのビールがらくらく入ってしまうほど大きい。
 丘の上にそびえる城壁の村モンサラーシュの絵柄。

 「この村は103人が住んでいるよ」と、城壁に座って下界を見ていたお爺さんが、ずっと以前に言っていた。それから10数年が経って、下界の野山は見渡す限りのダム湖に姿を変えられてしまった。

 村のあちこちにあった廃墟は次々にリメイクされたが、村の雰囲気は変わらず、この絵の一角もこのまま。正面の城門から入って一つ目の角を左に曲ると、この場所に出る。この石畳の道を行くと教会と広場があり、さらに真っ直ぐ行くと城址に突き当る。

 城の中の小さな競技場では今年も闘牛が開催された。でもここの闘牛はスペイン式なので、観客の目の前で牛を殺してしまう。今年も批判的にTVのニュースで取り上げられていた。
MUZ 2006/09/15

 

©2018 MUZVIT

 

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K.069. 藍色の燭台 Castiçal

2018-12-11 | 飾り棚



横13cm 高さ6cm San Pedro Corval窯

 ポルトガルの蝋燭を初めて使った時は、とても驚いた。
 芯に火をつけると、溶けた蝋がポタポタと流れ落ち、やがて受け皿まで滴り落ちた。

 どうしてポタポタと落ちるのかと、じっと眺めると、どうやら蝋燭の直径と芯の関係が問題らしい。
 素朴な手作りの蝋燭なので、わりと大雑把にできているのだろう。
 燭台の受け皿は単なるデザインではなく、ちゃんと役割があるのですね~。
 しかもこの取っ手がとても握りやすい。
 取っ手付きの燭台はなぜか好きで、いい物が目に付くとすぐ買ってしまう。
MUZ 2006/08/15

 

©2018 MUZVIT

 

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K.068. ヒマワリ柄のオリーヴ入れ Azeitoneira

2018-12-10 | 飾り棚

横幅 11cm  San Pedro Corval窯

 6月にアレンテージョにヒマワリ畑を探しに出かけた。
 その気のない時には偶然目の前に現れたりするのだが、「見たいな~」と思って探し回るとなかなか見つからない。
 今回もだいたいの見当をつけて田舎道を走ったあげく、道に迷ってしまい、そこでばったりと広大なヒマワリ畑に出会った。もし迷子にならなかったら、発見できなかっただろうと思う。
 時期が遅かったのか、それともヒマワリの栽培が年々少なくなっているのか、意外と出会わない。
 スーパーの棚にはヒマワリ油とかヒマワリマーガリンとかヒマワリの種とか、いろいろ並んでいるのだが。

 このオリーヴ入れはアレンテージョのサンペドロの窯で見つけた。

MUZ 2006/07/19

 

©2018 MUZVIT

 

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K.067. レース模様のティーポット Chaleira

2018-12-09 | 飾り棚

高さ 18cm

  北部ミーニョ地方バルセロスの焼き物。
  赤土の地に白の釉薬でポチポチと模様を描く。この地方の焼き物はこういう点と線をさまざまに変化させて絵付けしているのが特徴。まるでデコレーションケーキの様に搾り出しで描いてゆくのだ。
  日本からポルトガルに来てまだ間もない頃に、夏祭りの陶器市で買い求めた。
  その頃は、日本のお茶も手に入ることがなく、代りにポルトガルでは普通に売られている、かつての植民地・モザンビークのお茶を飲んでいた。
  世界的にはセイロンなどがお茶では有名だが、モサンビークもお茶の産地として知られているらしい。
  最近はお茶も毎年、日本から緑茶を持参している。
  その後、リスボンのお茶専門店で中国製の頑丈な土瓶を買ったので、このティーポットは今ではあまり使うことなく飾り棚に収まってしまっている。15~6年も経っている割には使い込んでいないから、残念ながら古さは出ていない。
  せっかくポルトガルに住んでいるのだから、日本のお茶ではなく、もう少しモサンビークのお茶を飲んでみるのも良いのかもしれない。そうすればこのティーポットの出番も多くなる筈なのだが…。
  でもやっぱり緑茶がいいな~。
MUZ 2006/06/10

 

©2018 MUZVIT

 

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K.066. 小鳥と花模様絵皿 Prato Pintura

2018-12-08 | 飾り棚

直径 21cm  REDONDO FLOSA窯

 この皿はずいぶん前に買った物で、ずっと愛用してきたから皿の縁の上薬がかなりはげている。もうそろそろ壁の片隅の飾りにしようかと思う。
 小鳥の寝ぼけた目がいい。それに小鳥と呼ぶには気恥ずかしいほど、ぶっとい。まるで翼の生えたコアラが木に止まっているようだ。
 この皿は何に使っているか…というと、夏の間、スイカを切ったのを八つほど入れる。一人前を盛るのにちょうどよい大きさである。スイカを食べるにしたがって、寝ぼけたコアラ鳥が姿を現す。

MUZ 2006/02/15

©2018 MUZVIT


K.065. エステバの花模様絵皿 Prato Pintura Flor

2018-12-07 | 飾り棚

直径 17cm  高さ 2cm
San Pedro Corval産

 春の野山を車で走ると、背丈ほどのかん木が一面に生い茂る場所に出会う。
 それは集落から少し登った丘の斜面だったり、うねうねと続く小山の道沿いだったりする。
 低い木には5センチほどの大きさの花がポッポッと咲いている。花びらは以外に薄く、真ん中にえくぼの様な模様が付いている。広い荒野を占領して茂る木にしては上品な花だ。花の色は白が多いが場所によっては、淡いピンクだったり黄色だったりする。花の名前は「エステバ」という。

 この絵皿はずいぶん前に買ったものだが、お皿に描かれている花が「エステバ」だというのはこのごろ気がついた。

「エステバ」の花の写真はこちら

MUZ(2006/01/16)

 

©2018 MUZVIT


K.064. 家の絵柄豆小鉢 Tigela Pequena Pintura Alentejana

2018-12-06 | 飾り棚

直径 9.5cm  高さ 3.4cm
san Pedoro Patalim窯

 手の平にすっぽりと収まる小さな小鉢。
 その中に描かれた大きな煙突の付いた家はまさにアレンテージョの家だ。
 アレンテージョ地方は内陸に位置するので、寒暖の差が激しい。真夏の気温は40度以上になり、冬になると気温が10度以下になったりする。今年はまだ12月だというのに暖かいはずのセトゥーバルでも朝方の最低気温が0度という日が続いた。アレンテージョはもっと寒いことだろう。

 そういう時にはこの大煙突が活躍する。
 煙突の下は台所の暖炉になっていて、パチパチと薪を燃やして家中を暖める。火の側には三本足の鉄鍋があり、その中でソッパ(スープ)をぐつぐつと煮込んでいる。
 薪は家の周りにあるコルク樫やオリーヴの木の下枝を切ったものだろう。
 家の者が寝静まった夜中にも暖炉にはホコホコとした火種が残り、朝方の冷え込みから守ってくれる。

 アマリア・ロドリゲスの歌う「Uma Casa Portuguesa」(ポルトガルの一軒の家)は聞くたびに心に沁みこんでくる。
 ポルトガル人の心の故郷はアレンテージョだという。
 この唄の「ポルトガルの家」はアレンテージョの家のことではないだろうか。
MUZ(2005/12/15)

 

©2018 MUZVIT


K.063. 白地青絵柄蓋物 Panela Pequena Pintura Alentejana

2018-12-05 | 飾り棚

直径 11cm 高さ 8cm San Pedoro Patalim窯

 この蓋物は手の平に乗るほど小さくて可愛い。
 その小さな器に細かい柄の絵付けがしてあるのが気に入って買った。

 さて何を入れてみようかな…。
 最近話題のボンボニエ風にコンペイ糖を入れたら良いかもしれない。

 パタリン窯は200年も昔から続いているという。
 古い窯場をそのまま活かしてとても感じの良い展示即売場にしている。

 ポルトガルに住み始めて間もない頃、私たちがモンサラスで知り合ったポルトガル人の新婚さんに連れられて行ったのが、たしかこのパタリン窯だったと思う。
 そのころはまだ古い窯場で焼いて、外の粗末な小屋に展示即売していた。
 その時も青い大皿を買って、ひとつは新婚さんにプレゼントして、もうひとつは家に担いで帰って、今でも大事に使っている。

 この小さな蓋物も大切にしよう。

MUZ(2005/11/18)

 

©2018 MUZVIT


K.062. 麦刈りの図絵皿 Prato Pintura Alentejana

2018-12-04 | 飾り棚

直径 22cm
REDONDO FLOSA窯

  変わった形の鎌だが、こちらではこれがふつう。
  露天市の金物屋でいつも見かける。
  日本で使われている鎌は柄が長いが、この鎌の柄はわりと短い。これでは根元から刈り取るのは無理な姿勢になってしまう。腰が痛くならないだろうか?でもこの農夫は実に楽しそうに麦刈りをしている。今にも口笛が聞こえてくるようだ。

  ルドンドの陶器は焼きがあまいので欠けやすいのだが、フローサ窯のものはわりと丈夫で長持ちするこのお皿も10年近く毎日の様に使っているが、絵付けがはげることもない。まだしばらくは使えそう。MUZ 2005/10/15

 

©2018 MUZVIT


K.061. オリーヴの実模様の深小鉢 Tigela

2018-12-03 | 飾り棚

直径13cm 、高さ7cm

 オリーヴの実を描いた陶器はいくつも持っているが、ほとんどは素朴なタッチだ。
素朴な中に勢いや何ともいえない味を感じて楽しんでいるのだが、そんな中でこの小鉢の絵付けはなかなかしゃれていると思う。

 オリーヴの実はアゼイトナス(Azeitonas)という。メルカドでは薄い紫色のものと、緑色のもの、そしてこの小鉢に描かれているまっ黒のものが売っている。
 私はいつも緑とまっ黒のアゼイトナスを半々づつ混ぜて買う。緑はちょっと渋みがあり、まっ黒はこくがあって、どちらも好き。
 しばらく水に浸けて塩抜きをしてから、この小鉢に盛る。そしてフライパンを熱してオリーヴ油を入れ、ニンニクの刻んだものを炒めてガーリックオイルを作り、小鉢に盛ったアゼイトナスの上からアツアツをかける。一日おくとニンニクの香りが染みこんだ美味しいつまみができあがる。

 オリーヴはやせた土地でも良く育つので、乾燥の激しいアレンテージョ地方では平地に限らず、なだらかな丘の斜面などにも植えられている。
 葉は独特の色、銀緑色をしている。
 畑や斜面に碁盤の目のように整然と植えられ、それが風にそよぐと葉の裏の銀色がチラチラとして、なんとも言えずきれいだ。

 オリーヴの実は塩漬けにしたり、実を絞ってオリーヴ油が取れる。
 その土地で取れたものは土地の料理に反映するので、ポルトガルに限らず、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャなど南欧の料理はオリーブ油がたっぷりと使われる。

 フランスのパリから電車に乗ってプロヴァンス地方に入ったとたん、車窓から見える畑の作物は一変して、スモモなどの果樹に混じってオリーヴの木が姿を現したのに驚いたことがある。やはり乾燥した大地と強い太陽がオリーヴの生育には必要らしい。

MUZ

 

(c)2018 MUZVIT

 


K.060. アズレージョ工房のモーニングカップ Chávena Almoçadeira com Pires

2018-12-02 | 飾り棚

皿の直径 18cm 、カップの直径 10cm

 パルメラのアズレージョ(絵タイル)工房のカップ。
 なんとどっしりと重たいモーニングカップだろう。
 カフェ・コン・レイテを入れると両手で抱えるように持たなければならない。
 朝食には、鍋で牛乳を温め、その中に「モカンボ」の粉を入れる。モカンボは麦の一種を原料に作られたコーヒー味の健康食品(?)だ。正確にはカフェ・コン・レイテではなく、モカンボ・コン・レイテと言うべきだろう。
 我が家の朝はこれがなければ始まらない。
 毎朝モカンボをかき混ぜるのはVITの役割だ。これがイタリアのカフェ・ラッテの様に巧く泡立つ。その泡立ちぐあいが難しく技術を要するらしい。朝のこだわりである。朝からカシャカシャとうるさくもある。それで私は朝から肩が凝るのです。

 我が家の朝食の基本的な献立は、風車で挽いた粉を使って、カマドで焼いたパン。パルメラの風車小屋製のパンである。
 それとモカンボ・コン・レイテ。マーガリン。2~3種類のチーズ。(セーラ・デ・エストレラ、ブルーチーズ、カマンベール等)。少しのサラダ。リンゴと蜂蜜を入れたカスピ海ヨーグルト。それに緑茶。

 ほんとのことを言うと、このカップは数回使っただけで、今では棚の飾りになってしまっている。MUZ

©2018 MUZVIT


K.059. ガ-ロのオリーブ入れ Azeitoneira

2018-12-01 | 飾り棚

直径 12.7cm

 なんとたくましい鶏だろうか!ガーロ(雄鳥)だろうか、ガリーニャ(雌鳥)だろうか?
 いやこれはきっとガーロに違いない。
 アレンテージョの乾いた大地にすっくと立って、後に続く雌鳥と雛鳥たちの様子を見守っている…といった感じである。

 この鶏は首のところに毛が生えていない種類だ。
 なんという種類か知らないが、私はポルトガルで初めて目にした。
 知人のキンタ(農園)でこれと同じ種類の鶏を数羽飼っていたことがある。
 その内の一羽をつぶしてご馳走になったが、肉が締まってとても美味しかった。
 庭中を歩き回って、土をほじくり返しながら虫を食べて成長した健康そのものの鶏の味は、ブロイラーのズワーッとした肉とは比べようもない。

 スーパーの鶏肉売場には「フランゴ・ド・カンポ」(野原の鶏)つまり日本でいう「地鶏」が売っている。
 ブロイラーと比べて値段がかなり高いが、味も数倍美味しいので、いつもそれを買っていた。
 でもこのごろ同じ銘柄でも値段が安くなったので喜んでいたら、味もだんだん落ちてきたのでがっかりしている。

 そういえば他のいろんな物の味もまずくなってきた。
 EUに組み込まれて物流が良くなったおかげで品物は豊富に出回っているが、肝心の味がぐんと落ちている。
 今盛んに出回っているイチゴも大きな粒でいかにも美味しそうな色だが、がっかりするほど不味い。
 以前は地元の畑で取れた、小さい不ぞろいのイチゴしか売っていなかった。
 でも口に含むとジワーッと甘く、香りも高く、ほんとに美味くて、感激したものだ。

 先日露天市で、野菜を売っている脇に大きさがふぞろいの卵を見かけた。
 12個で1,5ユーロ(約210円)
 スーパーよりは少し高いがメルカドよりは安いので買うことにした。
 卵を紙に包みながら「この卵はうちのガリーニャ(雌鳥)が産んだのよ」と売り手のセニョーラは嬉しそうだった。
 家に帰ってさっそく卵を割ってみると、色の濃い黄身がぽっこりと盛り上がって、見るからに新鮮!
 その日の夕食は自家製の納豆に新鮮卵の一品が加わった。

 こんな活きの良い卵を生産者から直接買えるということはポルトガルもまだまだ捨てたものではないな~。

MUZ 2005.04.14

©2018 MUZVIT

 


K.058. テラコッタのワインクーラー Vaso da Terracota para Vinho Fresco

2018-11-30 | 飾り棚

高さ 23.5cm

 長年ポルトガルに住んでおられた坂本朗子さんの手書きの絵柄。
 ワインをこよなく愛されているご夫妻から記念に頂いた。
 今度は我が家でだいじに使って、美味しいビーニョを味わうことにしよう。

 素焼きのワインクーラーはポルトガルの赤瓦と同じ赤土で作られている。
 この中に冷えたビーニョを入れておくと、食事の間中、安定した冷たさを楽しめる。
 さて、つまみは何がいいかな~。MUZ 2005.03.13

©2018 MUZVIT

 


K.057. 黒豚飼いの絵皿 prato Pintura Alentejana

2018-11-29 | 飾り棚

直径 27.8cm Redondo

 長年ポルトガルに住んでおられた知人から頂いた絵皿。
 アレンテージョ地方の黒豚飼いはそのあたりを旅している途中で偶然見かけたことはあるが、黒豚飼いの描かれた絵皿は珍しい。
 スペインとの国境の町バランコスは黒豚の産地で、黒豚飼いの姿もそのあたりで見かけた。
 毎日広い地域を移動しながら活きの良い草やどんぐりなどを食べて育つ黒豚は健康に満ちている。バランコスは黒豚のチョリソ(ソーセージ)などが有名。

 この頃はスーパーなどでも肉売場で黒豚のコーナーが常設されている。レストランでも黒豚の料理を出す店が増えている。炭火焼のステーキなど抜群に美味しい。MUZ

©2018 MUZVIT


K.56. ニワトリ型卵入れ Galinha Caldas

2018-11-28 | 飾り棚

長さ13cm

  今年は鳥年。
 トップバッターにふさわしい物をと思い、ニワトリの卵入れを選んでみた。

 オビドスの隣町、カルダス・ダ・ライーニャ特産の焼き物。
 縮めんキャベツの葉脈まで克明に模した陶器で有名だが、
 その他にもイセエビの形、フルーツの盛り合わせの陶器などいろいろある。

 ボルダロという人が1884年に窯を開いて創始者になった。
 ボルダロの作品は手作りの良い物がリスボンの古代博物館にある。

 でもこれは型で作った超安物。

 我が家では、原則として禁煙だけれど、たまに来られる愛煙家にこれをそっと出す。
 ニワトリを持ち上げてタバコをサッと入れてすばやく蓋をすると、煙が立たない。

 本来は長さ30センチほどの大きなもので、ニワトリの蓋を取ると、卵を入れる中皿があり、12個の卵が置けるようになっている。MUZ

©2018 MUZVIT