直径 12.7cm
なんとたくましい鶏だろうか!ガーロ(雄鳥)だろうか、ガリーニャ(雌鳥)だろうか?
いやこれはきっとガーロに違いない。
アレンテージョの乾いた大地にすっくと立って、後に続く雌鳥と雛鳥たちの様子を見守っている…といった感じである。
この鶏は首のところに毛が生えていない種類だ。
なんという種類か知らないが、私はポルトガルで初めて目にした。
知人のキンタ(農園)でこれと同じ種類の鶏を数羽飼っていたことがある。
その内の一羽をつぶしてご馳走になったが、肉が締まってとても美味しかった。
庭中を歩き回って、土をほじくり返しながら虫を食べて成長した健康そのものの鶏の味は、ブロイラーのズワーッとした肉とは比べようもない。
スーパーの鶏肉売場には「フランゴ・ド・カンポ」(野原の鶏)つまり日本でいう「地鶏」が売っている。
ブロイラーと比べて値段がかなり高いが、味も数倍美味しいので、いつもそれを買っていた。
でもこのごろ同じ銘柄でも値段が安くなったので喜んでいたら、味もだんだん落ちてきたのでがっかりしている。
そういえば他のいろんな物の味もまずくなってきた。
EUに組み込まれて物流が良くなったおかげで品物は豊富に出回っているが、肝心の味がぐんと落ちている。
今盛んに出回っているイチゴも大きな粒でいかにも美味しそうな色だが、がっかりするほど不味い。
以前は地元の畑で取れた、小さい不ぞろいのイチゴしか売っていなかった。
でも口に含むとジワーッと甘く、香りも高く、ほんとに美味くて、感激したものだ。
先日露天市で、野菜を売っている脇に大きさがふぞろいの卵を見かけた。
12個で1,5ユーロ(約210円)
スーパーよりは少し高いがメルカドよりは安いので買うことにした。
卵を紙に包みながら「この卵はうちのガリーニャ(雌鳥)が産んだのよ」と売り手のセニョーラは嬉しそうだった。
家に帰ってさっそく卵を割ってみると、色の濃い黄身がぽっこりと盛り上がって、見るからに新鮮!
その日の夕食は自家製の納豆に新鮮卵の一品が加わった。
こんな活きの良い卵を生産者から直接買えるということはポルトガルもまだまだ捨てたものではないな~。
MUZ 2005.04.14
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