ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

168. 9月の野の花

2020-10-01 | 風物

9月も末になると気温がかなり下がり、夜は毛布をがっぽり被っている。しかし昼間は天気が良いと気温が上がる。若者たちは、いや老人たちさえも短パンにTシャツ一枚の服装で外を出歩いている。私たちはというと、長袖を着てその上にフード付きのコートを羽織って、マスクと手袋をして買い物に行く。ついでに森に散歩。雨上がりでひょっとして野の花が咲いているかもしれないし、ひょっとしてキノコがむくむくと頭をもたげているかもしれない。

Dittrichia viscosa 

いつもの森に行くと、途中の道端に黄色いディトリキア・ビスコサが一斉に咲いていたが、森の中にはほんの少ししか咲いていない。それに日曜日なので、意外なことに人が行き来している。バイクの男が一台、その後にクルマに乗った老夫婦がやって来て、夫が持参したナタで細い木を伐り始めた。しばらくして伐り取った2本の木をクルマに積んで帰って行った。たぶん森の近くの人だろう。その後、がやがやと話声が聞こえて自転車に乗った数人の男たちが現れた。このごろ自転車ブームで、集団で国道を走っている。このグループも国道10号線からこの森の中に入ってきたのだろう。

森の中は何も咲いていなかった。キノコもまだ早すぎるのだろう。

森の散策を切り上げてスーパーに立ち寄ったら、どこの店も凄い人でごった返していたので、買い物は諦めて家に帰った。

翌日、月曜日なのであまり人は居ないだろうと、カーボに行くことにした。昨日のリベンジだ。カーボの駐車場はクルマが10台ほど止まっている。そこから灯台に行くと、一台のクルマが後ろをついて来た。灯台の下にクルマを停めると、そのクルマも隣に駐車した。中から女性が出て来て、さっさと歩いて行き、すぐに姿が見えなくなった。

以前にネジバナを見た場所に行くと、やっぱり出ていた。でも一本だけ。その付近を探したら、別にもう一本発見した。日本ではネジバナは春に咲くのだが、ポルトガルは秋に咲く。しかもめったに見つからない。

Spiranthes spiralis ネジバナ

 

Dittrichia viscosa 茎や葉に粘性があり、英名はノミヨケの意味がある。

 

Dittrichia viscosa

 

Urginea maritima 重さが2kgにもなる巨大な鱗茎(タマネギのようなもの)をもっている。そのため英語で"sea onion"と呼ばれ、和名も「海のネギ(海葱:かいそう)」となっている。全草が有毒。

 

Atractylis gummifera すっかり枯れてしまった葉の上に花が咲く。直径6センチほどの花、高さ4センチほどだが、茎は全然なく、枯れた葉の上にごろんと咲く。 

 

Medicago marina  花の直径は8ミリほど。草丈は20cmほど。葉は濃い灰緑色で綿毛がある。黒いのは豆のさやが弾けたあと。

 

Limonium normannicum 薄紫色の小さな花をつける。潮風に吹かれて断崖絶壁に生息する。

 

Scilla autumnalis 花の直径は1cm未満。山野の日当たりのよいところに自生。葉は2個根生し、長さ15~25cmの扁平な線形。長い葉が5月位から出て、倒れてしまうが花時にはほとんどなくなってしまう。

 

Scilla autumnalis  8~9月、鱗形は卵球形で黒褐色の外皮に包まれ、ネギのような匂いがする。花茎は高さ20~40cmになり、淡紅紫色の花を総状に多数つける。花の頃に根生葉のあるものとないものがある。

 

Scilla autumnalis 多年草。草丈は10~20㎝程度。地下に球根を持ち、根際から線形葉を出す。葉は開花時期には見られず、開花後に出る。9~10月頃、茎頂に総状花序を出し、径5~10㎜程度で淡紅紫色の花を多数つける。花被片は6個。(GKZ植物事典より)

 

Scilla autumnalis

 

Salsola vermiculata 花の直径は1センチほど。乾燥した塩性地に生育。

 

Daphne gnidium  果実は多汁質の液果で、中に卵形の種子が1個ある。樹皮と果実はときに有毒である。ジンチョウゲ(ダフネ)属はユーラシアと北アフリカに約90種が知られる。(Wikipediaより)

 

岬の野の花は9月末にしては思ったより咲いていた。今から雨が多くなるから秋の花が少しずつ増えていくだろう。 MUZ 2020/10/01

 

 

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