82歳からの旅

私の記録

  長谷川 伸作 ~ 瞼の母 ~ と 戦後の母 

2013年02月22日 20時30分34秒 | 読書
       2月22日木曜日  
 「瞼の上下をぴったり合わせ、思い出しゃあ絵で描くように
見えていた。」
 産みの母を恋い慕う番場の忠太郎 しかし忠太郎が幼い時
に、生き別れてようやく出会うことの出来た母おはまは
 現実の生活を失いたくないあまりに 心ならずも冷たく息子
を斥けてしまう。 

 幼い時から抱き続けた理想の母を「わざわざ骨を折って消し
てしまった。」嘆きが、ひいては 母の怨みが忠太郎を襲う
 「これ程慕う子の心が親の心には通じねえのだ」「おっかさん
そりゃあ恨みだ あっしは怨みますよ。」

 しかし乍ら怨みを抱いて去っていく忠太郎に、未練が生じ涙に
くれつつ息子の後を追う母は、まことの母である。

 
  闇夜に向かって「忠太郎ヤーイ」と叫ぶ母の哀しみ「やっぱり
お母さんだ」
 この母の叫びに、忠太郎の怨みもはれ
 ① 理想化された 母への一体感     甘え
 ② 母による その裏切り        怨み 
 ③ 怨みを超えた 許し 通じ合い 

 忠太郎 
 「こう上下の瞼を合わせじいっと考えりゃ逢わねえおっかさん
のすがたがでてくる それでいいんだ。「逢いたくなった俺あ瞼
をつぶろうよ。」本物の母の姿を瞼に刻み込んで去っていく忠太郎
 
 戦後 森村 誠一氏の「 人間の証明 」 の中の母は あらすじ……
 
敗戦…米軍進駐…米国文化の圧倒的進入によって踏みにじられた
日本の母の悲劇を主題
 黒人の夫、混血の息子と生別した母、
  はるばるニュウヨークから母を恋慕って訪れたジョニーを、現在の
 幸せの為に刺そうとする。
  
  その母への怨みを、母の哀しみを察して許そうとするジョニー
 息子への愛に目覚めて全てを告白する母   
  
  ジョニーは死に、母は破滅していく。子殺しまで犯そうとした母
 のエゴイズムと母への思慕の空しさが強調される…

  『人間の証明』は日本的瞼の母はもはや生きてはいけない事を…
 いや既に破滅してしまったことを訴えているドラマではないか
 
           ~ 小此木 啓吾氏 ~ の文章を読んでの
 古い記録の中から………探し出して……… 
  
 
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