(↑ 2022年5月26日 長野県安曇野市の「重太郎棚田」にて撮影 ※記事内容には関係ありません。)
今回は、2022年11月17日付の東京新聞朝刊の「こちら特報部」欄に載った記事を紹介します。
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精神科医の和田秀樹さんの著作「80歳の壁」(幻冬舎)が50万部を突破し、今年のベストセラーが確実視されている。いかに幸せな老後を送るかーというノウハウ本だが、その主張は節制が伴いがちな健康指南とは全く異質。そんな本が売れる背景には「漠然とした医療不信がある」と言う。その真意を和田さんに聞いた。(鈴木 伸幸)
和田秀樹さんの健康指南本 売れる背景に「医療不信」
コレステロール値 高い方が長生き
血圧・血糖値 気にしすぎなくても
好きなもの食べるのが一番
和田さんが提唱する健康法は、一般的な医療常識とは一線を画している。
「食べたいものを食べ、飲みたければ酒も飲む」「健康診断(健診)を絶対視しない」「血圧、血糖値、コレステロール値は下げなくていい」「薬は不調があるときだけ飲めばいい」
実際、身の回りを見れば、医師に従順に従った人が早死にする一方、酒を飲んで、たばこを吸っても長生きな人がいる。和田さんは「医療に不信感を持ちながらも、不安がある高齢者が僕の本を買っているのでしょう」と解説する。
もちろん、和田さんの提唱には根拠がある。肥満が問題となっている米国では死因のトップが心筋梗塞なのでコレステロール値や血圧、血糖値を下げた方がいい。しかし、日本で死因のトップはがん。心筋梗塞で亡くなる人の十倍以上もいる。「がん予防で免疫力を保つには、暴飲暴食は論外だが、過度な節制によるストレスを減らし、しっかり食べて栄養状態をよくすることが大切だ」
コレステロール値は栄養状態の指標でもある。一日当たりの肉の摂取量は、米国人が300g程度で日本人が100g程度。「普段からあまり食べていないのに、控えると免疫細胞の材料となるコレステロールが減る。肉好きな人は楽しみが減り、それがストレスで免疫力が落ちるかもしれない」
「遺伝性の疾患など一部の例外を除き、日本人はコレステロール値が高い方が長生き。むしろ低い人は極端に死亡率が高く、それが問題。精神医学的にも高い方はうつになりにくく、もっと肉を食べるべきだ」
高血圧も日本人の栄養状態が悪く、血管がもろくて脳卒中で亡くなる人が多かった1970年代までは確かに問題だった。しかし、今は栄養状態が改善して血管は丈夫になり「動脈瘤がなければ、病的ケースや頭痛、目まいといった自覚症状がある場合を除けば、まず問題ない」。
血糖値も「食事に気を付けて、歩く習慣を付けるだけで改善する。そもそも、大規模な比較調査がないので、どれだけ下げればいいのかも分かっていない」。
問題は「検査数値への過剰反応」という。日本ほど健診が頻繁な国は珍しく、それによるメリットはあるが、デメリットもある。血圧や血糖値の数値が高いと、それ自体は病気ではないのに、数値を下げるための薬が出される。「薬好き」という国民性もあって、日本は世界で最も薬の消費量が多い国の一つだ。
和田さんは「厳密には不要な薬が多い。薬には副作用がある。薬で低血圧や低血糖を起こして足元がふらつき、けがをすることもある。薬の相互作用で副作用が起こりやすくなる多剤服用の問題もある。できるだけ飲まない方がいい」と断言した。
日本の医療 目立つ制度的欠陥
通院頻度高く 検査と投薬過剰に
閉鎖的な医師の世界 異分子排除
「臓器別診療」抜本的に改革を
日本医療界には制度的欠陥がいくつかあるという。国際比較で日本は磁気共鳴画像装置(MRI)などの高度医療機器の設置台数が極めて多く、国民の医療機関への通院頻度も最多レベルにある。国民皆保険制度があるので低額な自己負担で検査を受け、薬をもらえるからだ。だが、それには問題もある。和田さんは「検査や投薬の要不要はチェックされず、増やせば医療機関の収入は増えるので、過剰な検査と投薬がまん延する」と指摘する。
また、医療従事者には大学教授を頂点とする上意下達体質が根強く、その閉鎖性は「象牙の塔」とも評される。日本医療は専門分野への特化が特徴で肝臓内科、腎臓内科と臓器別に細分化され、医師の9割以上を専門医が占める。内輪の論理が強く、各科はお互いに不干渉が不文律で相互批判はご法度となっている。
大学の医学部入試に必須の面接も懸念材料だ。「ハーバード大学など欧米の名門校では、教授に異論をふっかけるぐらいの学生が評価され、それが医療の進歩にもつながる。異分子を面接で排除し、従順そうな生徒だけを受け入れる入試では、大きな意味で医療のためにならない」と言う。
和田さんもそんな内向き志向を体感した。「私の『高齢者の精神療法の方法論』を提起した論文は、米国の自己心理学の国際年鑑に優秀論文の一つとして掲載されたが、東北大学では300人に一人しか落ちないとされる博士論文の審査で落ちた。日本では教授の意向に沿わないと外される」
いびつな診療報酬制度には改善が必要だ。現状では開業医の収入は勤務医の2、3倍にもなるため、勤務医は50歳前後で開業することが多い。ところが、専門分化されているので、自分の専門外の病気を診られない。そこで「開業医対象のベストセラー『今日の治療方針』(医学書院)に従って治療薬を出しているのが実情」という。
それもあって検査数値に頼る「正常値絶対主義」に陥りやすく、薬で数値を正常値内に収めようとする。ただ、そもそも正常値とは全世代を通じた結果の平均値。個々に固有の適正値があり、平均値に収まればいいわけではない。例えば、メタボリック症候群健診で肥満の尺度とされる体格指数(BMI)では「太り気味」の人の健康寿命が最も長い。
実際に医師が過剰に介入しないほうが健康な老後を送れるという実例もある。北海道夕張市は2007年に財政破綻し、市立総合病院が診療所に縮小され、医療機関への通院頻度は下がった。過疎化は進み、高齢化率も50%を超えた。それでも生活指導で、死亡率は悪化しなかった。「過剰な診療や投薬がなくなり、より人間らしい最期を迎え、老衰で亡くなった方が増えた」と分析されている。
もちろん、医師が不要なのではない。高度な専門医療で命が救われた例は数知れず、治療不可能な難病は減っている。問題は、権威者が一度決めたことに批判が許されず、方向修正ができない無謬(むびゅう)性だ。
日本医学界がコレステロール値などに過剰反応するようになった契機は、1980年前後に米国で動脈硬化性疾患による死者の激増が社会問題化したこと。米医学界が対策を打ち出し、日米で背景事情が異なるのに日本医学界が、それを模倣して今に至っている。
専門分野に特化する「臓器別診療」も漫然と前例踏襲が続く。高齢化が進む中、必要なのは個別の臓器ではなく、人を診て、心もケアする総合診療医であるべきだ。実際に英国では医師の半数が総合診療医で、厚生労働省はその問題を認識はしている。和田さんは「医師養成を文部科学省にせず、『厚労省が総合診療医養成の医学校を新設する』といった抜本的改革をしなければ、本当に医療崩壊が起こりかねない」と警鐘を鳴らした。
わだ・ひでき
1960年、大阪府出身。85年、東京大医学部卒。米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者医療に特化した浴風会病院精神科医師を経て、2004年、国際医療福祉大教授。10年、「和田秀樹こころと体のクリニック」を開設。22年、ルネクリニック東京院院長。「『80歳の壁』は結局、免疫力が解決してくれる」「70歳が老化の分かれ道」「老いの品格」など著書多数。
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ひと月以上前にこの記事を読んだとき、長年私が日本の医療について感じてきた問題点とその原因が整理されていることに、驚いたり溜飲が下がったりするようでした。17年前に私自身が受けた乳がん治療・6年前に義母が受けた乳がん治療・実母が老人施設で受けた医療対応などを通じ、いろいろな疑問を感じるようになっていたのです。
免疫力が低下したことによってがんが発症しているのに、がんだけを標的にした治療をすることでますます免疫力を落としてしまうという、がん治療の”諸刃の剣”のような自己矛盾性(現在は、分子標的型抗がん剤の進歩により、改善されていると想像はしますが)...。
義母は90歳で乳がんを発症した、つまり、年齢的にがんの進行は遅いし、治療の副作用によるデメリットが大きいにも拘わらず、手術や補助治療(義母の場合はホルモン抑制療法のみ)をすることを前提として話が進められました。女性ホルモンを抑えることで骨密度が著しく下がることを身をもって経験していた私は、義母のホルモン抑制療法を阻止しました。骨粗しょう症の老人の骨密度をさらに下げてどうするのでしょう。骨折して寝たきりになるリスクの方が、がんの進行よりよほどQOLを下げると考えたからです。また、乳がんの経過観察期間は一般的に10年ですが、6年経過した今年で私が打ち切ってしまいました。乳がんは1cmの腫瘍になるのに10年かかる進行の遅い病気なので、今がんが見つかっても、1cmになる頃には母は106歳です。検査はもはや不要と判断したのです。もっと早く終わらせてあげてもよかったのではないかと思っているくらいです。
母は、老人施設でいわゆる多剤(10種類ほど)服用になっていました。高齢になったら血圧がそれなりに上がるのが当たり前だと思いますが、降圧剤を服用する基準を130なんていう値にされてしまっては、高齢者のほとんどが降圧剤を飲むことになりますよね。母もその例に洩れていませんでした。冬になったらインフルエンザの予防接種は”任意という名の強制接種”でしたし、それに加え、予防のための”タミフル半量服用”も同様でした。発症もしていないのに、予防と称して服用させられるのです。老健、特養、計3ヶ所に入所しましたが、どこも同様だったので、それが厚労省の方針なのでしょう。もちろん、施設なので、クラスター感染防止のための止むを得ない選択だと言われれば、ある程度は理解はできますけれども...。
まさに、義母や母の例が、和田医師が言うところの「(検査や投薬を)増やせば医療機関の収入は増えるので、過剰な検査と投薬がまん延する」です。でも、これは医療の本質そのものの矛盾が背景にあると私は思います。患者を助ける、楽にするというのが"医学"の本来の意義や目的である一方、"医療"機関として経営が成り立たなければならない、つまり、患者がいないと儲からない仕事でもあるという、"医療"本来の自己矛盾性です。患者の立場に立った、最も患者のためになる治療が、必ずしも医師としての生活を成り立たせるものとは限らないということですよね。”学問としての医学”の理想と”経営としての医療”の現実とが、残念ながら必ずしも合致しないということです。
この和田秀樹医師といい、今年残念ながら急逝された近藤誠医師といい、患者側からすれば、理想的な医療を提唱してきた名医かもしれませんが、医師側からすれば、アメリカ主導の西洋医学に追随、盲従してきた日本の医療界では、どちらかというと不都合な医師だと思います。それがゆえに、異端児扱いされ、まさに異分子として排除されてきたわけですよね。日本は、医療界でも出る杭は打たれてしまうのですね。残念なことです。まるで、フクシマの原発事故で原子力ムラの歪んだ構造が明るみに出るまでは、原子力学会で異分子として虐げられてきた小出裕章氏のようですね(^^;
閑話休題、もちろん、この記事にもあるように西洋医学の恩恵は大きいですし、私自身もその恩恵を受けてきたので、西洋医学を全否定しているのではありません。”病気(患部)を診ても病人(全体)を診ない”という西洋医学の問題点が、患部の数だけ投薬して多剤服用につながるのですよね。まさに"合成の誤謬(ごびゅう)"の類だと思います。対症療法一辺倒、患部診療一辺倒、予防接種一辺倒が西洋医学の限界であり問題点だと、私はずっと感じていました。この記事にあるように、個別の臓器や患部だけを診るのではなく、心を含めた体全体を診てケアする総合診療が医療の理想だと、ずっと思ってきたのです。
この文脈で言われるところの「方向修正ができない無謬(むびゅう)性」というのも、とても残念ですね。科学や医学に誤謬はつきもの、だからこそ”トライ&エラー”を繰り返して進歩していくべきではないでしょうか。にも拘らず、エラーがないことを当然、前提として、エラーが起きたときのことを考えないという無謬性...?!? しかも、それがトップにいる教授一人の選択に依存するなんて、なんだか怖いようです。会社の経営とは違うと思いますけれど...?(^^;
また、この記事では触れられていませんが、大学教育の段階をも含めた”医療界と製薬会社との癒着”についても、問題視している医師や医療ジャーナリストが少なからずいますね。それは今回のワクチン推進と深く結びついていると私は考えていますが、ここではこれ以上の言及は控えることにします(^^ゞ
ここまでは、医療界の思想や制度の問題についてでしたが、ここからは患者側の問題を...。だいぶ前のことですが、地元のある友人が近所の内科に風邪でかかったところ、薬を出してもらえなかったので「あの医者はヤブ医者だ」と憤慨していたことがあります。本来、風邪のウイルスに効く薬はないのですから、この医師の治療は正しいと私は思いますし、薬を処方した方が儲かるにも拘わらず患者本位の治療をしたわけですから、とても良心的な医師だと私は考えます。でも、その友人のように考える日本人は多いのかもしれませんね。(日本の医療界が抗生物質を多用したことで耐性菌を生み出す結果になったと、海外から問題視されるようになってから久しいので、医師側の実態は変わってきているとは思いますが。)
日本人は皆保険の恩恵を受けた一方で、気軽に医療を受けられるため、セルフメディケーションしなくなった or できなくなった結果、医者と薬と検査に依存するようになったのだと思います。くだんの友人の言葉にそれが如実に表れていると思います。また、今回のコロナワクチン接種率も、いつのまにか日本は世界でトップクラスになりましたが、これもそのことが背景にあると私は考えています。遺伝子に関わる初めての仕組みのワクチンであり、しかも治験中であるというのに、ほとんど抵抗もなく今までのインフルワクチンと同じような感覚で打つ人が、私の周りではほとんどだったのです。政府と政府に忖度したメディアにコロナの怖さをあの手この手で煽られまくった結果、致死率の極めて低い若年層や子どもまで接種する方向に流れましたよね。その結果、後遺症に苦しむ人が後を絶たないというのに、それをmRNAワクチンが原因だと考えることもできないなんて...残念なことです。
最後に...西洋医学を信じて医療に携わりながら、一心に患者のために尽くしてくださっている医療者のみなさまには、心から感謝していることを申し添えておきます。個々のお医者さまはほとんどそういう方だと思いますので、その方たちを傷つけたり冒涜したりする結果となってしまっては、私の本意ではありません。その点をお断りし、誤解が生まれないことを願っております。
すみません、とりとめもなく、また長くなりました。最後までお読みくださり、感謝しておりますm(__)m
だから重症なコロナ脳でも簡単には縁を切るのは忍びない。
もっとも本人は俺がそんな風に思ってるなんて夢にも思わないだろうけど(^^;
コレステロール値については只今自己責任で人体実験中。
診察は3ヶ月に1回。
前回は日曜日に薬抜き。
今度は水曜日も飲まないようにしました。
これでそこそこの値だったらまた抜く日を1日増やす。
順調に行けば来年の今頃は処方箋は破棄して残った薬だけ飲む。
いきなりゼロにするのは怖いのでそうやることにしました。
さてどうなることやら(^^;;;
※
今の健康診断って、××さん100mを15秒で走れないなんて遅いですね。
ドーピングしないとちょっとした段差で躓いて大変なことになりますよ、
なのでステロイド飲みましょうな感じ。
長年服薬してきたとすると、それは急には止められませんよね。段階を踏まないと、体がびっくりして、とんでもない反作用を起こすかも?!
「最終的には自分で試して決める」はおっしゃる通りだと思います。患者の数ほど症例があり、薬の効果も副作用も違うはずですものね。
そして、医師の助言に基づきながらも、最後は自分の左脳と右脳とが決めるのだと思います。
特に、最後の最後は右脳じゃないかな。自分が本来持っている感性、動物的本能を信じるしかないですよね。
そういうとき、自然の中で多く過ごしている人、自然のリズムに沿った生活をしている人ほど強いと思いますよ。その点、ボッケニャンドリさんは強みがありそうです(#^.^#)
※以下の例えは言い得て妙! すばらしい
ボッケニャンドリさんのブログを拝読していていつも思います、そういうわかりやすい例えがお上手~