えつこのマンマダイアリー

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終戦記念日に寄せて ~「平和百人一首」~ 

2008年08月16日 | 雑記
 1日遅れてしまいましたが、昨日は終戦記念日でしたね。
 終戦から63年も経過、戦争体験者が稀少になってしまった近年、テレビで追悼式典を見て初めて「今日は終戦記念日だったか...」と思い出す人が増えていることでしょう。

 以前ご紹介したように、戦後復興の時期の昭和23年に、新憲法記念事業として全国から募集されてまとめられた「平和百人一首」があります。全応募作品23,720首から選ばれた百首です。
 入選者の一人のお孫さん夫妻が、祖母が5人の子どもたちに直筆で残したカルタ(5組1,000首)と国会図書館に残る資料を元に、この「平和百人一首」を60年ぶりに復刻、編集しました。
 その入選者のおばあさま、星野せいさん(東京)の作品をご紹介します。
   外(と)つ国の人も愛(め)づらむ咲きたりて 日傘に舞ひ散るさくら吹雪は

 さらにこの春、編者の仲間による英訳と絵が一首ごとに添えられ、本の形で出版されたのが、以前ご紹介した絵本『百のうた 千の想い 甦る平和百人一首』(大竹桂子 編 稲田善樹 絵)です。

 今月一杯、この著書の原画と直筆で残されたカルタの展示を、稲城市城山体験学習館にて、「サダコと折り鶴」展とともに行っています。お近くの方もそうでない方も、奮って足をお運びください。入場無料です。(図書館と併設の建物で、涼しいですよ!)
 詳しくは、過去記事:「ご案内:『平和を語り継ぐ三世代のつどい』」をご参照ください。

 ちなみに、絵を添えた画家稲田善樹氏は、昨夏私の妹宇留賀佳代子が出版した『ピンク色の雲 ~おばあちゃんのヒロシマ~』(てらいんく刊)の挿絵を描いた画家でもあります。

 終戦記念日の昨日、改めてその百首と絵とをじっくり見てきました。戦争のない日々の喜びや国の再建への期待に溢れ、物の乏しい時代とは思えないほどのエネルギーが感じられました。また今の日本人が当たり前だと思い、そのありがたさを忘れてしまっている日々のささいなことへの感謝が、ときには訥々と、ときには清々しく謳われています。現在の日本社会とは対照的な空気が感じられます。
 私の心に残った作品をいくつか紹介させてください。

 われら選ぶ人のをさむる(治むる)新しき 国輝けと一票を投ず (東京 小川登子)

 春は花秋はもみじ葉山河(やまかわ)の 美(う)ましき国に事なあらせそ (東京 前田依子) 

 うらうらに照る陽を浴みて思ふこと つつましくしてみちたらひたり (神奈川 藍崎アキ)

 新たなる国興さむと二千尺 坑底ふかく鶴嘴(つるはし)ふるふ (福岡 安武忠利)

 出坑をまちてゐたりと妻の呼ぶ 声は明るし麦田のなかに (福島 矢内 直)

 春の野をわが恋ひくればみなし児の くろき片手にれんげ匂へり (埼玉 町田知世子) 

 還り来し父に抱かれ眠る子の やすけき見れば思ふことなし (兵庫 井上彌生)

 東(ひむがし)に美(うま)し国あり矛はすて 海に漁(すなど)り土にいそしむ (東京 伊賀良一)

 さきはひ(幸い)はここにこそあれ一つ灯に 親子五人(いつたり)夕餉たのしむ (東京 佐藤暢一)

 琴焚きて雪夜を寝(い)ねず引揚げし かの日思へばなに耐えざらむ (大阪 香島八重子)

 焼けはてし街にかへりて大工われ まごころこめて握るのみ(ノミ)かも (静岡 浅野高夫)

 土の香の身にしみてつつがなく 子らうちそろひ畑うつはたのし (静岡 立石正太郎)

 みどりよりみどりに暮るるわが家は 草ぶきなれど心やすけし (神奈川 宮地佑閤) 

 やすき世に生きて働くよろこびに みなみち足りて思ふことなし (大阪 中山勝代)

 戦ひの日々に見上げてものおぢし ことも忘るる清き大空 (東京 秋元 輝)



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