「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点、誤字や脱字等は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
幾千万のいのちやすらぎおほらかに 新憲法は史をかぎるなり
千葉県香取郡良文村 杉村 博子
長い戦争の果に遂に聖断は降されました。傷ついた祖国の山河にも、平和と自由が蘇り激しい戦禍をくぐり生永らへた幾千万同胞は心の安らぎを得、昨日迄なかつた希望と喜びに深い感動を覚えます。平和を愛する叫びは日毎に高まり、敗戦のもたらした大きな試練にじつと堪えしのんで総ての人が美しい共同愛に生き、新日本建設の努力が力強く生まれつつあります。
新憲法は此の道を全世界に示しました。
歴史はここに未曾有の大事に逢着し、明らかに一線が画されたのです。遥かな三千年来の史上に想ひを寄せる時、心の底を貫いて洗れるひとすじの真情が、今日をして始めてしみじみと生甲斐を覚えさせるのです。
民族を越えた世界の篤い情義によつて恵まれた日日の生活のいとなみを、真に価値あるものとして、只ひたむきに課せられた重い使命に向つて再建への道を果さねばならないと信じるのです。
(博子)