えつこのマンマダイアリー

♪東京の田舎でのスローライフ...病気とも仲良く...
ありのままに、ユーモラスに......♪

第2章 怒涛の日々 2.

2007年04月11日 | 乳がん闘病記
2.
 検査着に着替え、まずは造影剤点滴用の針を腕の静脈に入れられる。同意書によると、非イオン性ヨード造影剤とかいうのらしい。
 検査着から左のお乳を出し、台の上でうつ伏せにさせられる。ゼリーみたいな柔らかいものの中にぐちゃっと入った。何やら生温かい。40分くらい微動だにできないというので、それはえらいこっちゃと、頭を右に向けて腕の位置を調整し、一番楽な姿勢を探した。
 「花粉症なんですけど、くしゃみもできないんですよね?」と訊くと、男性の技師さんは気の毒そうに「そうですねぇ、したくなっても我慢してください」と言った。やれやれ…。気分が悪くなったときにボタンを押して知らせるようにと、ゴム製のものを手に握らされた。

 筒というかトンネルというか、機械の中に入ってしばらくすると、まるで工事をしているような大きな音がして、ちょっと圧倒される。ビーーー、ビーーーーッ…トントンカンカン、トンテンカンテン…実にけたたましい。ときどき静かになっては、またうるさくなった。それでも、台も部屋も温かいし退屈なので、ときどき眠気に襲われる。

 15分ほど経ったところで、一度トンネルから出された。さっき入れた針から造影剤を入れるためだ。―ちっとも気持ち悪くならないと思ったら、まだ入ってなかったのか…いよいよ気持ち悪くなるのかな…―
 ところが、技師がいくらやっても、なかなか造影剤が入っていかない。女性の技師だか看護師だかも来て試してくれるが、やはり入らない。どこも痛くはないが、じっとしているのが辛い。―早くしてちょーだい!― 男性技師がどこかに電話しているような気配がした。

 うとうとしていると、別の男性がやってきて技師とあれこれ話をしたり、針を何度か入れ直したりする。―う~ん、ちょっと痛い…大丈夫ぅ?―
 しばらくすると、ようやく造影剤が入り始めたらしい。顔を見てはいなかったが、一同に安堵の空気が流れたのがよくわかった。技師さんも大変だ。
 後半20分の辛抱だと言われ、またトンネルに入って工事された。吐き気に襲われるかと身構えていたが、何も起こらなかった。

 全部終わって「もう動いていいですよ」と言われても、首が痛いし、固まってしまってすぐに動かない。起き上がりかけてよろめいた。―おっと、胸がはだけているんだっけ…― 男性が2人見守っているのに気づき、慌てて検査着の前を合わせながら顔を上げると、そこには昨日診察してくれたF先生が立っていた。
 恥ずかしさ半分嬉しさ半分で、「そこにいらしたのはF先生だったんですか? 昨日はお世話になりました」と頭を下げながら快活に言うと、先生は少し驚いたようだった。―不自然なほど快活だったのかな? それとも、不憫だったのだろうか?― 
 先生の代わりに技師が答えた。「造影剤がなかなか入らなかったので、F先生にいらしていただいていたんです。ずっと見守っていてくださったんですよ」 ―あぁ、最終的に造影剤を入れてくれたのは、F先生だったのか…―
 再びお礼を言って部屋から出た。

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