
「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
八千草のみだれて匂ふ春の野に 南の涯に散りし恋恋ふ
三重県鈴鹿郡亀山町 波田 かずへ
南へ遠く見知らぬ国の土となつた人の上に想ひをよせる乙女心――
つまらなひ戦ひだつた。すべてのものが、すべてを捧げて、その結果が敗戦だつた。
然し、それで日本にも平和はかへつて来た。国の四季は美しくめぐり、殊に春の自然の美しさは、明るく優しく平和の象徴として訪れた。
されど――戦争に愛する人を失ひ、ふるさとにただ一人過ぎし日を偲ぶ女の胸の想ひこそ遺方なきものだつた。そぞろ歩きせし春の日の思い出語る君は亡く、一人此処に来て去来する想ひに胸を痛くしてゐるのみ。
花咲く野に、南を向いたまま、何時までも動かない姿、この平和な春をあの人にもう一度味はせてやりたかつたものを。
この明るい空の色も――
そしてこの花の香りも。 (かずへ)
今まで何度か紹介してきましたが、「平和を語り継ぐ三世代の会」では、5年前から市内外の小・中学校での平和学習のお手伝いをしています。妹の著書の朗読・ヒロシマの胎内被爆者本人の話・サダコと折り鶴の話などを通じ、生徒さんたちに平和について一緒に考えてもらう機会を作っています。2012年度の活動も無事終わりました。
80分という決して短くない時間、生徒さんたちはずっと集中して話を聴いた上で、鶴を熱心に折ってくれます。また、後日聴講の感想文を送ってくれ、「また来てください」「これからもがんばってください」と言ってくれたりして、私たちが逆に励まされています。中には、「小学校のときに続いて今回2度目だけど、また聴けてよかったです」と、自分から話しかけてきてくれた中2の男子生徒さんもいました。保護者が聴きに来てくれる学校もあります。
これまで話を聴いてくださったみなさん、みなさんとの出会いを大事に思っていますし、これからも大切にします。どこかでまた会えるといいですね...(*^_^*)