えつこのマンマダイアリー

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カフェの手作り味噌講座 ~初めての味噌作り~

2016年12月29日 | 本日の一品

 (仕込み後1ヶ月経過段階の“手前味噌”)

 

 こちらの過去記事の最後で触れたように、通っている近所のジム&フェで、先月手作り味噌のワークショップに参加し、“手前味噌”を初めて体験しました。「みそソムリエ」であるカフェの店長のK子さんが、ひと月に一度カフェでワークショップを始めたのです。日本人は近年家庭で味噌を作らなくなったので、“手前味噌”という言葉は比喩的に使われることが圧倒的に多くなりましたが、これはまさに本来の意味の“手前味噌”です(#^.^#)
 なお、受講料は作る味噌の量によって異なり、1㎏:1,500円・2.5kg:3,500円・5㎏:6,500円です。

【味噌 豆知識】
 「みそ健康づくり委員会」によると、「医者に金を払うよりも、みそ屋に払え」という諺が江戸時代にあったように、「みそは医者いらず」といわれるほど効用の多い食品だそうで、がんや生活習慣病のリスクを下げるというデータもあるようです。また、「みその三礎(さんそ)」(味の素・命の素・美の素)という諺もあるそうです。
 成分は、多い順に水分・炭水化物・たんぱく質・脂質・灰分など。
 原料である大豆は、発酵によってアミノ酸やビタミン類が多量に生成され、栄養価が増すのだそうです。そのアミノ酸には、生命を維持するために不可欠な必須アミノ酸がすべて含まれているとのこと。
 詳しくは、くだんの下記サイトをご参照ください。
  ◆「みその知識」
    ◇「みその歴史」
    ◇「みそのできるまで」
    ◇「みその効用」 

 <味噌の種類> (くだんのサイトや、講座で習ったことをまとめました)
 使う糀の種類によって米味噌(うるち米味噌・玄米味噌(熟成に10ヶ月以上かかるのが特徴)とがある)・麦味噌豆味噌の3種に大別され、さらに、調合味噌(それら3種の味噌のうち2種類以上を混ぜ合わせたり、複数の糀を混ぜ合わせたりして作る味噌)もあります。

 味噌の色や味は豆の種類で決まるのではなく、原料である大豆・塩・糀の割合と熟成期間によって、バリエーションが生まれます。
 大豆に対して塩が同量の場合、糀の量の違いや熟成期間によって味と色の違いが生まれ、
  多いほど甘い
  熟成期間:・長いほど色は濃くなる
         ・短いほど塩辛い
 という特徴が生まれるのです。
 塩と糀の割合によって…
  塩:糀=1:1 は「10割味噌」 1:2 は「20割味噌」…などと呼ばれます。
 の量は、煮た大豆と糀を合わせた重さの9~12%で、下限は5%です。

 八丁味噌とは、大豆糀に食塩水を入れて寝かせるという手法で作られ、ふやけるまで時間がかかる(最低2年は必要)のが特徴です。
 白味噌は、糀が多いために発酵が速いのであって、熟成期間を長くしても赤味噌にはならない、という特徴があります。

 余談ですが…
  大豆について:北海道産が高価なのは、ブランド力と輸送費のため。
            ゆえに、北海道産ではなくても、味にそれほど変わりはない。
  糀について:米が発酵して、菌糸がモコモコとついている様子が、米の花が咲いているように
          見えることから、“糀”という漢字が生まれた*
          70℃以上加熱すると糀菌は死滅する→味噌汁は沸騰させず、
          60℃くらいに温めるのがよい。
だそうです。

 * “麹”という字もありますね。違いを調べたところ、こちらにこんな説明があります。
  copy-------------------------------------------------
   「こうじ」を表す漢字は2種類あります。
   こうじは、米、麦、大豆などの穀類でつくりますが、それらのこうじ全般を表す漢字として、
   現在では主に『』という字が使われています。これは中国から伝わった漢字です。
   もうひとつの『』という字は、明治時代にできた国字(和製漢字)で、米糀のみを表します
  -------------------------------------------------copy
  中国では、こうじを作るときに麦を使ったということでしょうか。“麹”を漢和辞典で調べると、“匊”は“育てる”意だそうです。

 糀/麹については、くだんの糀屋さんのサイトこのページをご参照ください。    

 

 前置きが長くなりました。以下、ワークショップの様子を画像とともに紹介します。
 (★これより下の画像をクリックすると、大きい画像や別の画像が見られます。★リンクに別画像がある場合は、マウスオンするとその旨が表示されますが、ブラウザによっては読み込めない場合がありますm(__)m)

 

 

 

 まずは、味噌の試食から始まりました。
 K子先生が味噌作りを学んだ「井上糀店」(町田市)の味噌数種類と、5ヶ月前に先生の講座を受けた生徒さんが仕込んだものとをいただき、塩分量が同じ場合の材料(米/麦)の違い・糀の割合の違い・熟成期間の違いによって生まれる味や風味と色の違いを実際に味わいました。 

   

 ミネラル成分が豊富な海塩を使っているため、まろやかな味になる米糀味噌や、玄米の臭みを消すため、赤穂塩が多めの玄米糀味噌や、30割で粘りの強い麦糀味噌などいろいろ。一見色が似ているようでも、味や風味・塩加減・舌触りが違うのがよくわかりました。        

 

 次に、味噌作りの実践に移ります。今回は、米糀を使った10割(1:1)の米味噌を作りました。

<材料> (できあがりの味噌2.5㎏分)
 大豆       500g (ゆでるとおよそ倍量=1㎏ほどになる)
 米糀       1㎏
 塩        200g (ゆでた大豆+糀の10%量)
 大豆のゆで汁   お玉1~2杯程度 

<作り方>
 概要は、半日吸水させた大豆をゆでて潰し、塩と糀を予め混ぜたもの(塩切り糀)を大豆に合わせてよく混ぜ込み、硬さをゆで汁で調整し、最後に器に仕込みます。

 [大豆のゆで方] (講座では時間がないので、ゆでる過程は割愛されました=先生がゆでておいてくれました)
  1.清水でよく洗い、たっぷりの水(吸水すると倍量になるので注意)に約12時間漬ける。
  2.ザルに移して清水ですすぐ。大鍋に移し、大豆がかぶる程度の水を張って強火にかけ、沸騰したら
    丹念にアクを取り、弱火にして2~4時間煮る。途中で煮汁が減ったら水を足す。
    ※ゆで加減の目安は、親指と小指でつまんで楽に潰せる程度
    ※味噌の硬さを調整するために使うので、煮汁はとっておく

 [味噌を仕込むまで]  
  以下、画像とともに解説します。

 

ゆでた大豆を手で潰していく。
※掌の手首に近い部分で押し潰すようにしながら、体重をかけて潰すとよい。
※すり鉢やミキサーでもよい。

 
 

手で潰す場合は、手を石鹼で洗わない。なぜなら、掌の常在菌、特に乳酸菌が味噌の発酵に必要で、手を洗うと乳酸菌を落としてしまうため。また、石鹸の匂いがついてしまうため。
※子どもの手の方が乳酸菌が多いので、味噌が美味しくなる。

 
 

潰し加減は好みで。8割潰れればOK。

潰し終えたら、味噌を端に寄せて、糀を入れるスペースを作る。

★ ワークショップでは作業スペースが足りないので、タライ1つで作業するために、大豆を端に寄せて作業しましたが、家庭で作業するときは、別の器で糀と塩を予め混ぜてから、大豆と合わせる方法でもよいと思います。

 
 

スペースに糀を加える。

  
 

糀の塊をほぐしてパラパラにする。
※塊をつぶさないと、水分を含んでカビやすい。

 
 

塩を糀に加える。

 
 

糀に塩を混ぜ込む。

※塩と糀を混ぜた状態を「塩切り糀」と言い、傷みにくいので、その状態でも保存可能。

 
 

よく混ざり合ったら、寄せておいた大豆と合わせ、全体をよく混ぜ合わせる。

 
 

硬さは、冷ましておいた大豆のゆで汁で調整する。
※硬さを見ながら少しずつ加える(お玉1~2杯程度)。 

※煮汁を、プロは「アメ」と呼ぶ。

 
 

手で握って、上に絞り出すようにして硬さを見る。指の間から滑らかに出てくるようになったらOK。

 
 

容器(ファスナー付きの清潔なビニール袋 or ポリバケツ)に入れるための作業として、だんご状(味噌玉)にまとめていく。
※大きさを均一にしたり、形をきれいな球体にしたりする必要はない。ざっくりでOK。

 
 

2.5㎏の場合は袋に入れる(仕込む)。
袋の縁のファスナー部分を外側に折り返して左手で持ち、2~3個ずつ味噌玉を入れては、袋との間に空気が入らないよう、きっちり押えながら入れていく。
※空気が入ると、カビが発生しやすくなる。

 

 
 

画像のように、底が丸くなっている袋の場合は、特に空気が入らないよう確認しながら入れていく。
※左手で袋の縁を引き上げるようにし、右手の指を画像のように使って押えるとよい。

 
 

同じ作業を繰り返す。

 
 

全部入れ終えたら、上部表面を平らにならし、空気が入っている部分がないかどうか、全体を確認する。

 
 

一旦手を洗って清潔にしてから、袋の縁を元に戻し、空気を押し出すようにしてファスナーを閉じる。

 
 

5㎏分を作る場合は、バケツのような深い容器に仕込む。
容器にビニール袋を敷いて、味噌玉を入れる。
※空気を抜くため、たたきつけながら入れてもよいが、重石を載せるので、袋を使う場合ほど気を使わなくてもOK。
落し蓋をして重石を載せ、蓋をする。

 
 
 
熟成期間:半年が目安。賞味期限は、食べ始めから2年。シールを貼るなどして、
       仕込んだ日を明記する。
       熟成する環境や仕込んだ時期にもよるので、味噌の状態や自分の好みによって、
       熟成期間を延長する。

保管場所:直射日光やエアコンの風は避け、風通しのよい場所に置いて熟成させる。
       温かい場所に置けば、熟成は速まる。

管理方法:見える場所に置いて、袋が膨らんだら随時空気を抜く。
       (発酵してガスが出てくると袋が膨れるので、随時空気を抜き、上部表面と袋を
       なるべく密着させるように留意する)。
       無添加の材料を使っているため、表面にカビが生えるが、中身には問題ないので、
       取り除いてから使えばよい。
       できあがって、粒が気になる場合は、すり鉢で当たればよい。
 
 因みに、市販の味噌は、発酵によるガスの発生を抑えるために、酒精を添加しているものが多いそうです。酒精は糀の働きを抑え、発酵を止めるからです。酒精とは発酵アルコールのことで、こちらのサイトによると、食品添加物としては酒精・エタノール・エチルアルコールと表示されているようです(詳しくはくだんのサイトをご参照ください)。
 大豆が糀の働きで発酵して栄養を増していくのが天然味噌の最大の特徴でありメリットであるにも拘らず、市販品はガスの発生を抑えるために、酒精を加えて発酵を止めているわけですね。なんという皮肉な矛盾でしょうか…もったいない!
 
 
【糀屋豆知識】
 ・昔は、農家が米を糀屋に持ち込み、味噌を作ってもらっていたことから、糀屋が味噌屋になった。
 ・“国菌”に認定された麹菌を作ることが許可されている糀屋は、全国に9軒しかない。
 ・くだんの「井上糀店」は150年の歴史があり、糀屋から味噌屋になってからは50年。現在の店主は5代目。
  (因みに、無添加の各種味噌の他、手作り味噌セット・手作り生糀など、この店のサイトから購入することができます。) 
 
 
 
                                   
 
 
 
 K子先生手作りの甘酒もいただきました。
 
    
 きな粉が振ってあります。甘酒には、人間が必要とする必須アミノ酸のすべてが含まれるとのこと。糀の甘みだけなので、甘さ控えめで優しい味です。
 このカフェでは、甘酒や甘酒スムージーも飲むことができます。
 
 
 
                                    
 
 
 
 K子さんの話は、「昔は味噌嫌いだった味噌ソムリエです」との意表をつかれる自己紹介で始まりました。それが味噌ソムリエにまでなったきっかけは、お姉さまの食品アレルギーだったとか。まずフルーツアレルギーに、それから小麦アレルギーになってしまい、K子さん自身も食べるものに気を使い始めたことから、糀屋の手作り味噌と出会い…それまで食していた味噌との違いに驚き、作り方を教わったことが、現在に至る経緯だそうです。
 そして、手作り味噌を食すうちに、自分の体が変わっていくのを体感したとか。無添加味噌の効用を実感されたようです。
 
 講座は、 ポイントを押えた、とてもわかりやすい内容でした。私は味噌が大好きで、毎日のように味噌汁を作っているのに、目からウロコの情報ばかりだったのみならず、根本的なことさえ知らないでいたことを思い知らされました。日本人なのにねぇ。
 これからもなるべく味噌を手作りしていこうと思っています。市販品を買うときは、選ぶ目を凝らそうと思います。因みに、今手許にある市販の味噌2種類の成分表示を確認したところ、1つは酒精無添加でしたが、もう1つには添加されていました。今度から無添加のものを選びましょう。
 
 K子さんは私よりだいぶ若く見えますが、ふだんカフェの店長として接しているときに感じる、彼女の自然な落ち着きや外連味(けれんみ)のない静かな自信は、一体どこから来るのだろうと、ずっと思っていたのです。でも、講座を受けてわかった気がします。「お味噌がミソ」だったのですね。
 
 
 半年後を楽しみにしていてくださいね。手前味噌を披露いたします(#^.^#) 
 長くなりました。ご高覧ありがとうございましたm(__)m
 
 

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