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最近の新聞記事より ~国公立大学費値上げ提言による波紋~

2024年05月15日 | 雑記

(↑「横浜イングリッシュガーデン」にて2024年5月13日撮影
※記事内容には関係ありません。)


 3週間前のことで恐縮ですが、2024年4月24日付東京新聞朝刊「こちら特報部」に掲載された記事「慶応義塾長『提言』波紋 国公立大学費値上げ『年150万円に』」に疑問を感じ、読者投稿欄に意見を投稿しました。採用されませんでしたが、記録のために載せておきます。みなさまはどのように考えますか?

 まずは、くだんの記事をここにも引用します(画像は割愛します)。

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慶応義塾長「提言」波紋 
    国公立大学費値上げ「年150万円に」

 慶応義塾のトップが文部科学省の部会で行った提案が波紋を広げている。国公立大学の学費を年間150万円程度にするという内容で、仮に実現すれば、現在の学費から約100万円の値上げとなる。学費が高い私立大と国公立大の「公平な競争」が狙いというが、識者からは「大学への投資は日本の未来への投資。むしろ学費は安い方に合わせるべきだ」との声が上がる。(山田雄之)

◆「教育の質を上げていくために」中教審で発言

 「国立大の学納金(授業料)を年間150万円程度に設定する。公立大も同様の扱いとする」。慶応義塾の伊藤公平塾長は3月27日、自ら委員を務める中央教育審議会(中教審)の「高等教育の在り方に関する特別部会」でこう提案した。
 急速な少子化で入学者数が約51万人に落ち込むと推計される2040年以降の大学教育などについて文科相が昨年9月に中教審に諮問した。

 伊藤塾長は第4回の部会で「国公私立大の設置形態にかかわらず、教育の質を上げていくためには公平な競争環境を整えることが必要」と唱え、国公立大の学費値上げを主張。これにより一部の私立大は経営努力によっては国立より低水準の学費設定で競争に参加できるとして、学生の経済状況に応じた奨学金や貸与制度も整備するとした。

 現在の国立大の学費は文科省令で定められており、標準額は年53万5800円。伊藤塾長の提案が通れば約3倍もの値上げとなる。一方、昨年度の私立大の入学者の学費は平均約96万円と大きく開きがある。

◆「大学に行けない子も出るんじゃ…」不安も

 現役の大学生や子どもを大学に通わせる親は、この提案をどう受け止めるか。
 東京都内の私立大に通う大学4年の女性(22)は「高校時代、学費が安いから国立大を目指す友人も結構いた。そんなに値上げしたら大学に行けない子も出てくるんじゃないかな」と話す。国立大に娘が通う50代の男性会社員は「大学に入るまでにも教育費はかかったし、今でも学費の支払いは大変。下には小学生の子どももいるのに…」とぼやいた。
 交流サイト(SNS)でも「年間150万円の授業料を払える家庭はそんなにない」「教育の機会均等が壊れてしまう」「私立大が授業料を下げればいい」といった批判が目立つ。

 東京新聞「こちら特報部」が同省にあらためて尋ねると、部会の担当者は「各委員から意見をヒアリングし議論をしている最中。現時点で一つの意見が独り歩きしていくのは想定していなかったし、本意ではない」と困惑する。一方、国立大を所管する別の担当者は「どうして150万円という金額が出たのか。私立大の平均額より高いですよね」と首をひねった。

 伊藤塾長の提言がどう取りまとめられるかは決まっていないが、京都大の駒込武教授(教育史)は「京大でも学費滞納で除籍とされる学生がいる。国公立大も十分に学費は高く、値上げはあり得ない話だ」と批判。むしろ問題の根源は別のところにあるとみる。

◆減らされ続けてきた「運営費交付金」

 2004年に国立大が法人化されて以降、国から大学への運営費交付金は徐々に削減され、24年度予算は1兆784億円と約1600億円減った。また、私立大の経常費補助金の24年度予算は2978億円に過ぎず、学生1人当たりに換算すると国立大生と比較して10分の1にも満たない。
 「国立大も私立大も国から配られる資金が少ない。大学への投資は、日本の未来への投資であり、その受益者は日本社会全体だ」と駒込氏は強調する。「あらゆる大学の財政状況が逼迫しているのだから、『公平な競争環境』と唱えるならば、大学のトップの役割は、国に助成を増やすよう働きかけて学費を抑えることだ」
 
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 次に、私の「ミラー」欄への投稿文を紹介します(※字数制限のため、投稿時は「である調」で書いておりましたが、ここに掲載するに当たり、「ですます調」に改めています)。

my column-----------------------------------------------------------

 文科省の中央教育審議会の「高等教育の在り方に関する特別部会」で伊藤公平慶應義塾長が提言した内容が波紋を広げている、という「こちら特報部」の記事を読みました。教育の質を上げるために公平な競争環境が必要という理由で、国公立大の学費を約3倍も値上げすることを主張するものです。これに対し、京都大の駒込 武教授は「公平な競争環境と唱えるならば、大学のトップの役割は、国に助成を増やすよう働きかけて学費を抑えることだ」と主張しています。
 両者の主張は一見相反して見えますが、「お金」を思考の軸にしている点では共通しています。「人材」という言葉に象徴されるように、お金が第一義となった新自由主義社会で人がお金を産むための道具と化していると私は思います。その結果、大学も企業にとって便利なノウハウを身につけて即戦力になる「人材」を造る場所となっており、教員の研究の質が変容し、授業にも反映されているだろうことは想像に難くないです。

 でも、それは大学の本来の姿ではないはずです。個人の志向や目的に沿った学問を自由に修め、豊かな教養と思考力や人間性を備えるための手助けをする場所だと思います。社会のための即戦力ではなく、人間らしく生きるための人間力を養うための場所ではないかと。結果的にそれが社会の活力につながるはずです。そして、大学の在り方を問うことは、「学問とは何か? 人間はなぜ学問をするのか?」という本質的な問いに戻ると私は思います。

-----------------------------------------------------------my column

 

 伊藤塾長の提言の場は「高等教育の在り方に関する特別部会」なのですよね? この部会では、高等教育がどう在るべきだと議論されているのでしょうね(^^; 大学という高等教育の場が、企業に都合のよい「人材」=経済的な生産性の高い「人材」を養成する場とされるのなら、大学でなくとも専門学校があればよいではないですか? でも、実際の世の中の動きとしては、かつての専門学校が軒並み大学に改編されていますよね。学校側が自主的に転換したというよりは、国の方針なのだろうと私は想像しておりますが...。 

 現在の日本の大学生は、3人にひとりが奨学金という名の学費ローンを組み、卒業と同時に借金返済の生活になると言われています。他方で、留学生はやたらと厚遇されているらしい...。教育現場までも市場原理主義と外資への開放ですか...? 
 そんな現状と乖離した提言をなさる伊藤塾長さん...お名前が「公平」さんなのですよね。ぜひ、お名前に恥じないような提言をしていただきたいと私は思います(^^ゞ

 

なお、前回当該欄に採用&掲載された拙投稿をこちらの過去記事で読むことができます。多くの方に知っていただきたい内容なので、まだお読みでない方(特に車を運転される方)はぜひご一読くださいm(__)m

 


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2 コメント

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子供産んでも学校に行かせられない (ボッケニャンドリ)
2024-05-16 18:07:54
子供が教育を受けるのに負担のかかる国って将来があるんですかね。
留学生は優遇されてるって聞いてたので念の為『留学生 優遇』で検索してみました。
間違いなさそうです。
ま、ウクライナにポンッとお金を出しちゃう総理の国ですから何ら矛盾がありません。


下の『「幸せ」と感じる日本人、13年間で13%減…』なんて話と無縁では無いと感じます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/edf7dffc47a7e46384d8cc6dde66978e4103b706
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ボッケニャンドリさんへ:将来暗そう...(^^ゞ (takuetsu@管理人)
2024-05-16 19:10:46
ボッケニャンドリさん、裏を取ってくださってありがとうございますm(__)m 何事にも「自分の耳目で確かめる」&「一次情報に当たる」という姿勢が大事ですよね。

哀しいかな、教育だけではなく、いろいろな面でこの国の将来は暗そうに思えます。為政者が国民の方を向いていませんものね。そして、「今だけ、カネだけ、自分だけ」ですから(^^ゞ


国民の幸福感が日本より低い国は、韓国とハンガリーですか...。ドラマを観ている限りでは、韓国の現状には頷けます。日本と同様、グローバリズムの浸食?が激しいように見えます(^^;
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