第４章 手術 ４．

４．
　15時少し前、麻酔薬のアレルギーテストのため、２種類の薬を腕に注射される。両方とも問題なし。

　その後入浴するように言われる。術後しばらくは入浴できないので、ゆっくり湯船につかりたいところだが、２０分で出なければならないので、カラスの行水に近い。それでも、浴室は広いし、気分転換になった。ドライヤーを看護師が部屋まで届けてくれる。なかなか親切だ。

　16：00　術後の腕のリハビリ運動のしおりをもらい、看護師から説明を受ける。手書きの図がユーモラスで笑えた。壁這い運動、羽ばたき運動、風車運動…ネーミングもユニークでおかしい。術側の腕を挙げたときの指先の最高到達点を、少しずつ伸ばしていくように言われる。それが壁這い運動だった。そのために、スケールが記された紙を看護師が壁に貼ったが、私の方が背が高いのでその高さでは意味をなさない。２人で笑いながら、手の位置に合わせて私が貼り直した。

　ルームメイトは外泊しているとのこと。退屈なので、テレビカードを買ってきてテレビを見る。自分で毎日行っている自力整体法という体操も、カーテンを閉めてベッドをきしませながらもしっかりやった。「只今とりこみ中です。ご用の方は声をかけてください」と書いた大きなカードを用意してきたので、それを洗濯バサミでカーテンにつけておいた。ふっふっふ。

　17時過ぎ、夜勤の看護師が挨拶に来る。眠れないときは睡眠導入薬を渡すのでナースコールするように言われる。寝つきの良い私のこと、要らないだろうとこのときは思う。がんの告知を受けた後でさえ、毎晩「即寝」してきた私だ。花粉に悩まされたあの日以外は。

　21：00　就寝。ところがどっこい、なかなか寝つけない。ベッドが廊下側だし、扉を開放したままなので、外の雑音と廊下の薄明かりが入ってくるのだ。おまけに、この病院は救急病院であるため、ひっきりなしに救急車が入ってくる。念のために睡眠導入薬をもらっておいた。強い薬だと言われたので、あまり使いたくないな。
　21：30　やはり睡眠導入薬を飲んだ。じきに寝つくが、3：00と5：00に目が覚める。