ユウジとフミコという30代夫婦がいた。
必死に共働きをして、
金を貯め、
念願のタワマン購入👍
3階やった。
なので、
窓からの眺めは平凡でも、
タワマンに住んでいるという心の満足は、
大きかった。
ある日、
臨時住民会があったので、
ユウジとフミコは早く会場に入り、
前席に座ろうとしたら、
係員から何階か尋ねられ、
3階やと答えると、
係員は、
前席は高層階の方専用やから満席になった後、
適当にどこかに着席しなさいと言われた。
ユウジとフミコは驚きつつ、
心に全治2週間の傷を負った😞
けれど、
確かに、
下階に住む人たちは、
上階の人が座るまで立って待っていた。
そして、
席が足らずに、
多くの下階の人たちが立っていたら、
どこからか、
派手なドレスを着た小学生くらいの女子が、
ゴザを持ってきて、
「座りたてつかまつって」と言って、
立っている人々に投げた。
下階の人たちは喜んでゴザに上がって座り込んだ。
けど、
ユウジとフミコは哀しくなった。
タワマンには、
身分制度があるという事実に、
二人は、
慄然となった。
けど、
ユウジがへこんでも、
フミコは負けないと心に強く誓い、
タワマンアパルトヘイト(ちびっと大袈裟か🤔)に立ち向かう決意をした。
数日後。
まだまだタワマンの環境に慣れないフミコは、
コンシェルジュ(タワマンの28階に住むススムさんはフロア専属召使いと言ってるけど、正式には各フロアの総合案内サービスと定義するのが正しい。人の職種を小馬鹿にしてはいけない。ススムさん😠)を使えばエエもんを、
ついつい自分でクリーニング店から預かり物を受け取って、
大型エレベーター🛗の前に立っていた。
そこに、
キツネ🦊の襟巻きを巻いたご婦人が来て、
フミコに、
「何階まで行かれるの?」と問うて来た。
フミコが3階だと答えると、
顔付きが意地悪くなり、
「このエレベーターは上層民専用ざんすのよこの下層民が!」と罵って来た。
フミコがこの罵りに驚いていると、
エレベーターが来てドアが開いたので、
ご婦人が乗ろうとしたら、
フミコが必死にご婦人の手を引き、
「奥さま!奥さま!タワマンのご作法をお教えください!」と言った。
ご婦人は驚いて、
「手をお離し!この下層民が❗️」と怒鳴ったが、
フミコは手を離すことなく、
「お願いでございます!タワマンのご作法をお教えください!」と必死に頼んだ。
エレベーターのドアが閉まり、
上階へと上がって行った。
ご婦人が必死にエレベーターに乗り込もうとした際、
ご婦人の手荷物から、
たい焼きが1つ床に落ちた。
ご婦人はフミコに薄ら笑いを浮かべ、
「これ食べられてもよろしいのよ」と言った。
フミコは驚いて、
「そんなことできません!」とピシャりと言った。
ご婦人は落ちたたい焼きを拾って、
「偉そうなことばかり言ってこの下層民が!しょせん上層民とはデキが違うのよ」と言って、
たい焼きを食い出したので、
フミコは驚いて、
「まあ!食べられてるんですか⁉️」と言った。
ご婦人は、
たい焼きを頬張りながら、
「この下層民が!5秒以内なら食えるのよ!」と言い返した。
フミコは更に驚き、
「奥さま!5秒は過ぎております!」と言うと、
ご婦人は呆れて、
「この下層民が!上層民と下層民が同じ時間を共有するとでも思っておられるの?」と言った。
再びエレベーターが来たので、
ご婦人が乗り込もうとしたら、
フミコが再びご婦人の手を握り、
「奥さま!お願いでございます!タワマンでの生活のあり方をお教えくださいませ!」と必死に頼んだ。
ご婦人はキレて、
「手をお離し!この下層民が!」と罵っていた時に、
再びエレベーターは上階に向かった。
乗り遅れたご婦人が、
軽く化粧直しをしながらフミコに、
「あなた方下層民はお化粧品をダイソーで買われるのね。あたくし達上層民はお化粧はキャンドゥで買いますのよ」と言ったので、
フミコは思わず、
「けど奥さま。どちらも100円ショップでございますが」と言うと、
ご婦人は、
「この下層民が!ダイソーにあなた方がウヨるからあたくし達はキャンドゥに行くんじゃござんせんの😠」とガナった。
けど、
フミコは、
このご婦人の解答には、
納得出来なかった。
またまたエレベーターが降りて来たので、
フミコはご婦人に、
「今度はお乗りください」と言ったが、
ご婦人は、
エレベーターにやって来た3人組の小学生男子に頭を下げて、
「これは成金ボーイズさま!どうぞお乗りあそばされてください!」と言った。
成金ボーイズと言われた小学生達は、
ご婦人をスルーしてエレベーターに乗り込み、
そのままドアを閉めて上に向かわせた。
フミコがご婦人に驚きの表情を浮かべていると、
ご婦人はフミコに向き直り、
「この下層民が!成金ボーイズさまに一礼もしないとは😡」とキレた。
フミコが成金ボーイズとは何なのかと問うと、
ご婦人は得意げに、
「最上層に住まわれる至高にして高貴なる方々のおガキ様なのよ」と言い、
続けて、
「成金ボーイズのグレートマザーさまが旦那様のことを亭主関白だと申されておられるの。つまり旦那様は天皇陛下をお支えしてともに政治を動かしてるということなのよ」と説明した。
フミコは、
「けど奥さま。今の民主主義に関白などのポジションがございましょうか?」と問うたので、
ご婦人はムキになって、
「グレートマザーさまが旦那様のことをおん自ら親しく亭主関白だと申されたんではございませんの!」と言い返した。
フミコは負けずに、
「亭主関白とは家庭ではご主人が強いという意味で国政とは無関係でござります!」と言った。
ご婦人はしばらく考え込み、
「あなたの言われることも最もだわ。旦那様は、有名大手企業の経営者ですけど、ブラック企業のお噂と脱税のお噂まで立てられた立派な経営者であられるのよ」と言った。
フミコは心の中で、
人をほめるつもりが人を馬鹿にしていると呟いた。
そうこうしていたら、
またエレベーターが来た。
ご婦人は今度こそ乗り込み、
フミコに振り返り、
「タワマンでのお作法のひとつ。ご自分が下層民であることを呪いあそばせ」と嫌味を言って、
上がった。
が、
エレベーターは5階で止まった。
そしてそのまま下に降りて来たが、
ご婦人の姿は無かった。
フミコは呆れて、
まさか5階の住人😳と驚いているところに、
上品そうな老婦人が来た。
そしてフミコに頭を下げて、
「ごめんなさいね。あの女性はあたくしの幼馴染みで、川辺の段ボールハウスに住んでいたの。けれど大雨で家がめちゃくちゃになったので、あたくしが5階の部屋に住まわせていたんです。けど、先程、段ボール業者の方から新居が完成しましたとのお知らせ受けましたので、あの女性の顔をあなた方は今後は見ることはないでしょう」と優しく言った。
そしてこの女性こそ、
さっきの成金ボーイズの母親で、
ご婦人がグレートマザーと呼んだ人物やった。
この女性の配慮で、
フミコのタワマンでの差別は激減して行き、
フミコはユウジとともに、
最上層に住む成金ボーイズの一家と懇意になったとのことやった。
タワマンに住むススムさんによれば、
上層階こそ、
タワマンならではの魅力に溢れていると言う。
コンシェルジュ(フロアの総合案内サービス)は、
映画やコンサートのチケットから、宅配物の管理、クリーニング預かりから外食取り寄せサービスまでする。
タワマンには、
他の住人との共有部と呼ばれる場があり、
そこには、
プールや図書館などが利用できる。
そして、
ゴミ出しがいつでも各階にあるゴミ捨て場で可能。
が、
タワマンも上層になるほど壁が薄くなるので、
隣室の音が響きやすい。
また、
洗濯物を外では干したらお下品ということから、
乾燥機で乾かす。
なによりも、
管理費の高さに加え、
それを凌駕する修繕積立金の太さには、
ゼニが飛びまくること必須!
ススムさんはこう言った。
「こんなところ、10年したら賃貸にするぜ」、と。
別居している嫁が子供と共に、
他の高級マンションにいるススムさん。
今後どうするんやろかとか勝手に俺がほざいても、
人さまのこと。
やから、
もうここで、
書き込みを終了させていただこう👍