ある建築会社の青写真やコピーの仕事をしている零細企業(小規模な資本や設備で成り立っている会社)があった。
この会社は、
仕事が早くて丹念やったので、
外向きは高評価をいただいていた。
が、
内部は、
ブラックというのも褒め言葉になるほどの暗黒企業やった。
ここに、
ゼネコンと呼ばれる、
ある、
超大手建設会社が、
この零細企業に興味を示した。
零細企業の社長は、
このゼネコンとの契約に奔走に奔走した。
それで、
このゼネコンの営業課の課長を、
社長は家の夕食に招いた。
食卓には、
すき焼きとカレーライスとミートソースのパスタが出された。
社長はゼネコンの営業課長に、
酒🍶を出しまくった。
食卓のそばにはオルガンがあり、
凄まじくデブい小学生の息子が、
音程がズレまくったシューベルトの曲を弾いた。
60代になる社長の奥さんは、
胸が少し見える、
赤いレザーワンピースを着て、
ゼネコンの営業課長に、
「あたくしは40年前のミス葛飾商店街でした」と言って、
色目を使った。
零細企業の社長自らも、
マジックを披露すると言って、
さまざまな手品をしたが、
全部失敗した。
けどゼネコンの営業課長は、
こういうアホなもてなし以前に、
この零細企業と契約したいという考えやったから、
すぐに、
仕事上での契約が成立した。
時はバブルと呼ばれる80年代後半やったから、
この零細企業は、
ゼネコンとの契約で、
のぼせ上がってしまい、
やたらと安い土地を購入した。
零細企業の社長は、
天に向かって、
「成功への鍵🔑を手にした❗️」と叫んだ!
その数年後、
バブルがはじけ、
ゼネコンが倒産した。
同時に、
この零細企業も終わりとなった。
しばらくして、
とある公園の片隅で、
あの零細企業の社長のデブい高校生になった息子が、
オルガンで、
音程のズレまくったシューベルトを弾いていた。
オルガンの横には、
茶碗が置かれ、
中には300円ほどが入っていた。
この光景を見た人々は、
口々に、
「バブルは終わった」と呟いたという。