今から1年前。
レフティは一人前やなかった。
恋も仕事も人生も。
今も一人前やないかもしれない。
そんなレフティが、
今のカノジョと出逢ったところがあった。
そこは、
ヨットがたくさん停めてある公園で、
風がヨットを繋ぐ紐を、
鉄柱に当てて、
その音が綺麗に響き渡る。
そして、
日没が見られ、
陽が沈んでも、
湖面がしばらく反射して、
周囲を明るくさせる。
ヨットの紐が当たる心地よい音と、
日没の湖面の魔法が、
ここで10数えて恋を誓えば永遠に結ばれるという都市伝説を生んだ。
ある日、
母のサマーに怒られたレフティはむしゃくしゃして、
この公園に来た。
ちょうど、
カノジョも、
父親に怒られて、
ウツが入ったので気分直しにここに来た。
カノジョの名はナナミ。
(最初っから名前を教えろよレフティ😠 by俺)
初対面なのに、
レフティは、
「大人はさ、自分の都合がよきまるもんざえもん(全く問題無いという意のZ世代用語)なのさ。ヤだね😛」と親しく話しかけると、
ナナミも、
「親の都合は心疾し(こころやましと読む。不愉快という意の古文)に存ずるわ」と答えた。
Z世代のスラングと古文が語られ混じりあった瞬間、
二人は恋人になった。
その後は、
当ブログに、
この二人の出来事が綴られている。
(昼飯でナナミがカツカレー頼んでた時、トイレに行った隙にレフティが少しカツを食ったこと)
(北海道でホテルの一室でざこねしてた際、レフティの素足が彼女の顔のすぐそばに向けられていたこと)
(バレンタインデーのこと)etc___
しかし、
365日の月日は、
レフティとナナミに、
大きな変化をもたらした。
まず、
レフティの母サマーの血液癌の末期宣言。
ナナミの看護師学校での進路。
(ナナミは言う。
「卒業したら遠い外国の病院に行きます」
レフティは問う。
「遠い外国ってどこに行くのさ?」
ナナミは答える。
「韓国の済州島です」
これをレフティから聞いたススムさんが後から陰口叩く。
「済州島のどこが遠い外国なんだよ😛」
しかし、
レフティとナナミは、
終わりにしようとした。
恋人たちの時がフィナーレであることを薄々感じてのことやった)
レフティも、
大学の英文学科に行く為に猛勉強し出した。
仲がよく、
いつも笑い合い許し合った二人は、
ジ・エンドをキメる為に、
あの公園に来た。
二人が初めて出逢った公園。
風がヨットの紐を電柱に当て、
それが心地よく響き、
真っ赤な日没は湖面を赤くして周囲を照らす。
ナナミの提案で、
10数えようと言った。
それで、
二人は10数えることにしたが、
数えて5のところで、
急な雷雨⛈️になり、
レフティとナナミは別々の道を猛ダッシュして、
お別れした。
レフティは、
ナナミが嗚咽しながら走り去ったことを知っていた。
でも、
レフティは言う。
「ぼくは泣かない。ぼくには涙なんてないのさ」