
カッちゃんのダチのかんちゃんは、
日々、
激しい懊悩(おうのうと読む。悩み悶える意)を心に抱き、
「オウ❗️ノー❗️(Oh!No!)」と叫びたい衝動を抑えるんやった。
理由は、
かんちゃんのお父さんが、
脳腫瘍の大手術をする日、
非常に大切なショウがある日やった。
かんちゃんは7万円出してチケットを購入して、
このショウを一年前から心待ちにしていた。
なのに、
そんな日に限って父親の大手術。
「父親についててやろう」という心と「人はどうせムエルト(スペイン語で死の意)迎えるからショウを優先しょう」という心が、
反目しながら、
父親の手術日にして大切なショウが公演される日を迎えた。
父親が手術室に入ると、
かんちゃんの先の二つの心が更に争った。
かんちゃんの母親は、
理由はわからなくとも、
かんちゃんが、
ここにいる以上に大切な何かの為に悩んでいることを感じた。
母親はかんちゃんに、
「行きなさい。あなたの信念に従いなさい」と言った。
かんちゃんは、
「でもお父さんにもしものことがあったら?」と問うので、
母親も、
「もしものことがなかったら?」と問い返し、
「あなたが後悔しない道を堂々と突き進むのよ!」と強く言った。
かんちゃんが尚も戸惑っていると、
「あなたが7万円をそれに使っていることは知ってるのよ。それだけあなたが価値を認めたものなんでしょう?行きなさい」と、
母親はしきりに言った。
かんちゃんは母親に深く感謝して、
病院を後にした。
とある会場。
たくさんの観客とともに、
かんちゃんは心待ちに席に着いていた。
ステージでは、
猫マスクした網シャツと網タイツの女が手に鞭を持っていた。
そしてこの女のすぐ前に、
犬の着ぐるみしたオヤジが四つん這いになっていた。
猫マスクの女は客席に向かって、
「今夜はワン🐶ワン🐶オヤジ百叩きショウに来ていただきありがとうニャン!派手に叩きまくるニャン!」と言って、
犬の着ぐるみオヤジへの鞭打ちを始めた。
猫マスクの女はひと鞭ごとに「にゃお〜ん!!」と鳴き、
犬の着ぐるみオヤジは鞭で打たれる度に、
「あオーん!!」と吠えた。
客席は興奮のるつぼと化し、
かんちゃんも観客たちと、
「あオーん!あオーん!」と一緒に吠えて、
盛り上がりに盛り上がった。
そしてその後、
かんちゃんの父親の手術は大成功して、
健康を取り戻した。
母親はかんちゃんに、
「あたしの言った通りでしょう?七万円の芸術かナニか知らないけど、あなたの信念が貫かれて良かったわ」と言うと、
かんちゃんはうれしそうに、
「あオーん!!」と吠えた!